北海道の花咲ガニは、主産地・根室管内が今年も低水準の水揚げで、過去10年で最低だった昨年に次ぐ少なさとなった。消費は道内中心。ふるさと納税は根室の特産品として認知度向上につながっているものの、「三大ガニ」(タラバ、ズワイ、毛ガニ)に比べると消費者への浸透は薄く、加工流通業者は「チルドだと花咲ガニ本来の味を知ってもらえ、それが需要増につながる」と考える。水揚げは道東海域(釧路・根室)が中心。根室振興局の集計によると、今年の管内全体の水揚げ数量は昨年比10%増の82.6トン。キロ平均単価は高騰した昨年に比べて24%下回る1064円で、金額は16%減の8791万円と伸び悩んだ。
毛ガニは北海道産が主産地・オホーツク海の増枠などで3年ぶりの増産となったものの、1100トン台にとどまる見込みで依然低水準。一方、浜値は大平洋では昨年より安値に振れ、2001年以降の今世紀最高値に急騰した昨年が天井となったが、オホーツク海はホタテの減産も絡んで昨年並みの高値を形成した。冷凍品の荷動きは相場の高止まり、越年在庫の残存などから低調に推移し、年末需要期を迎えている。
根室管内5単協(歯舞・根室・根室湾中部・別海・野付漁協)の野付尾岱沼共同海区が1日に始まった。初日は巽沖造成(16隻)が126トン、29号外海造成(11隻)が49トン、合計175トンの水揚げ。巽沖の組成はL、M主体の大型組成で、キロ980~920円と高値のスタートを切った。
道水産林務部森林海洋環境局成長産業課長の西恒法氏は、11月6日に新横浜プリンスホテルで開かれた日本昆布協会「秋の例会」で講演。「道産コンブの生産安定化に向けて」と題し、海洋環境の変化などにより減産傾向が続いている現状や、道が今年3月に策定した生産安定対策に基づいた各取り組みについて解説した。
釧路市内4漁協や釧路市などで組織する釧路市養殖事業調査研究協議会やニチモウ株式会社、株式会社マルサ笹谷商店などが釧路港で取り組むトラウトサーモン海面養殖試験は、11月27日に今期の水揚げが終了した。最終日は約2.6トン(1290尾、平均体重約2キロ)を生産。同協議会の市原義久会長は「海水温が高い時期もあったが、無事に水揚げされ、来年につながる成果が得られて良かった」と話す。
2025年度のスルメイカ漁が漁獲可能量(TAC)を超過し、北海道では渡島管内の定置網で自主休漁を強いられた。知事管理枠の追加配分措置も取られたが、少量の追加にとどまった定置網では実質漁獲できない状況が11月後半まで続き、対応に苦慮する漁業者の声も聞かれた。南かやべ漁協では、10月から大定置でまとまり始め、同月後半には1地区で千箱に増えるなど盛漁となった。しかし11月上旬に自主休漁が要請され放流を余儀なくされている。定置網漁業者からは「ブリやサバと選別できるはずもなく、イカの割合が入網した魚の半分も占めたら、魚全てを放流せざるを得なかった」と困惑する。
全道漁協女性部と道漁連は今年も10月に札幌市の小学生や高校生、生活協同組合コープさっぽろ組合員を対象に「浜のおかあさん料理教室」を3カ所で開催し、道産水産物のおいしさを伝えた。魚食普及を目指し、1991年から実施。コロナ禍で2020、21年は休止となったが、昨年までの開催回数は150回を数え、参加者は6300人を超えている。また、道女性連が初開催の昨年同様、9月に立命館慶祥中学校・高等学校で高校3年生の選択授業「フードデザイン講座」の授業の一環として出前授業を実施した。
余市郡漁協のアンコウ刺網漁は11月まで低調な水揚げが続いている。一方、浜値は11月にキロ千円台後半まで上昇し、12月に入って800円台に落ち着いた。
渡島管内のスケソ刺網は、序盤から薄漁が続き荒天の沖止めも頻発、操業隻数が増えた11月も低調な水揚げ。水深400メートル以深が主漁場となる中、1隻1~3トン前後と勢いを欠き、沖側主体に形成しているため出漁を見合わせる船も少なくない。魚体は良く卵も真子(成熟卵)に近づいているが、仕事買いの様相を呈し、浜値はキロ200円台と高騰している。
船舶用電子機器総合メーカーの古野電気株式会社(本社・兵庫県西宮市、古野幸男社長)は、遠隔から定置網の様子をリアルタイムで確認することができる定置網モニタリングシステム「漁視(りょうし)ネット」(以下、FMS)を開発。定置網内部を把握し、ピンポイント操業を行うことで経費を圧縮して利益を確保する、引き算の定置網経営に貢献している。