網走漁協のサケマス定置網で、秋サケが低調な滑り出しとなった。初日の2100尾以降、水揚量が伸びず、秋サケ定置網漁の本番を前に、着業者は不安な表情を見せている。一方、浜値は高値基調。オスメス混みでキロ千円台前半と堅調にスタートした。9月1日~8日に14軒31カ統で操業。1日が6軒で2160尾、2日は13軒で2100尾。浜値は1日がキロ1378円、2日は1414円。同漁協市場によると「目廻りは3.2キロ。昨年の出足も1300尾程度。あまり変わらない」と話す。
余市郡漁協の大定置網漁が8月12日に始まった。網入れが昨年に比べ若干遅く、ブリの出足は昨年を下回る漁況。4~5キロの小型中心。一方、市況は高単価を形成している。
えりも漁協のオオズワイガニは今年も順調な水揚げが続いている。数量は好調だった昨年同期を1割強上回り、単価も4割高に上昇、金額を6割増に押し上げている。水揚げは大サイズ中心で、小は海中還元を徹底、漁の持続化に向け資源保護に努めながら操業している。昨年度実績は数量が前年度比8割増の1900トンと大幅に増産。加えてキロ平均単価も2.4倍の684円に上げ、金額は4.3倍の13億円に伸長。近年は主要魚種の秋サケの不漁に加え、赤潮以降ツブなどの資源が低迷する中、組合を支える魚種の一つに成長している。
えりも漁協のコンブ採りはこれまで順調に出漁。全10地区の累計採取日数は、不漁だった昨年の最終実績98日(320時間)を大きく上回り、5日現在で165日(607時間)とした。昨年に比べて総体的に繁茂状況も良く、増産が期待される。同漁協は「昨年が極端な不漁で最近の中では最も悪かった」とし、今季の増産に期待。全体の採取日数は「一昨年(228日)が良かった。今年もそれに近いくらい出られれば」と海況と天候の安定を願う。
2025年の北海道の秋サケ定置網漁がシーズン入りした。漁期前予測では未知の低生産。加えて在庫薄、海外産の高値相場などで製品単価は強含みの様相で、引き続き、水揚げの回復も見据えた国内外の販路堅守、消流促進が課題に挙がる。道漁連販売第二部の倉地宏樹参事(販売第二部長事務取扱)に商戦展望、流通対策の重点などを聞いた。
道漁連、北海道秋鮭普及協議会は今年の秋サケ生鮮販促で、SNSのLINE広告を活用したターゲティング戦略の新たな消流宣伝を展開する。併せて連動した道産水産物が当たるキャンペーンの当選者を拡充し、訴求力をアップ。POPなどによる店頭販促、動画配信のレシピ提案も引き続き実施し、「旬」や「北海道産」を前面に生秋サケ、生筋子の消費拡大を図っていく。
近年回帰数の減少とともに成熟年齢の若齢化がみられている北海道のサケ。道総研さけます・内水面試験場では成長と生残や成熟との関係が変化してきている状況に着目、解析を進めている。成長と生残の関係では降海1年目の初期生残率が低下する一方、初期成長が上昇傾向で初期の高成長が生残の条件になっていることを示唆している可能性を推察。「変動する海洋環境がサケにとって厳しくなっている表れの一つ」との見解を示す。
函館市漁協のイカ釣船は主漁場を前浜(津軽海峡)中心に移して操業しているが漁模様は低調に推移している。水温も高く、着業者は「いけす出荷用として魚倉に入れたイカが弱り死んでいく」と影響を話す。
太平洋側の青森・岩手沖で好漁のスルメイカ。多くのイカ釣船が集まる中、道南・えさん漁協の所属船も八戸や久慈沖などで操業、型は小さいものの好調な水揚げで推移。今後もイカの北上に合わせて各地で操業していく。
厚岸漁協のアサリ漁は1月から禁漁期前に当たる7月上旬までの出荷量が昨年に比べ増産となった。全体で前年同期比11%増の989トン。キロ平均単価は5%高の739円と前年を上回った。着業者は禁漁明けの好漁況持続に期待している。