三陸産ホタテは、ALPS処理水の海洋放出を巡る中国の禁輸措置の影響、温暖化を背景とした高水温によるへい死が相次ぐなど苦境が続く。2024年度の共販数量は宮城県が前年度比45%減の2942トン、岩手県は同68%減の496トンと、いずれも前年を下回る大幅な減産となった。 共販金額は宮城が前年比65%減8億5778万円、キロ平均単価は36%安290円。中国の禁輸措置による価格低迷、高水温による数量減産が響いた。岩手は57%減4億4487万円。キロ平均単価は898円だった。
佐呂間漁協は今春、干貝柱工場の一番煮熟工程をボイラー式から株式会社タイヨー製作所(北斗市)のボイルスチーマーに切り替えた。立ち上げの時間短縮や汚水処理の軽減、品質向上と、さまざまな効果を発揮している。これまで年間1400~1500トンだった原貝の処理量は、今年1650トンに増産する計画だ。
留萌管内の稚貝仮分散作業が7月中旬に始まった。各地で十分な付着量となり、必要量は問題なく確保できる見通し。サイズも大きめで例年より早いスタート。目合いはすでに1分5厘を使用している。今年も高水温が心配されることから着業者は「夏場の管理に注意したい」と声をそろえる。
昨年の採苗不振を受け、留萌管内漁協組合長会(会長・佐藤満北るもい組合長)は8日、採苗技術の確立や経営支援などを盛り込んだ要請書を岡嶋秀典道水産林務部長に手渡した。岡嶋部長は「稚貝生産の4割を占める留萌管内の採苗不振は全道に与える影響が大きい。きめ細かく状況を把握しながら対応していきたい」と応じた。佐藤会長はじめ新星マリンの山田博文組合長、増毛の石田和夫組合長、遠別の疊議博組合長が訪庁。道側は他に山口知子成長産業担当局長、藤田瑞代技監が対応した。
オホーツク海沿岸の漁場造成を含む6月末水揚量は、前年同期比8%減の8万9860トンとなった。北部が3%減の3万9290トン、南部が11%減の5万570トン。全体計画量に対する達成率は34%。頓別、枝幸、常呂、西網走が昨年を上回るペース。歩留まりは6月段階で9~10%前後と低調。アソートも5S中心が多い。一方で浜値はキロ300円前後から200円台中盤の高値で推移している。
稚貝出荷を終えた留萌管内4単協(遠別・北るもい・新星マリン・増毛)で成貝の出荷作業が進んでいる。仕向けは韓国向けの活貝主体に一部国内加工向け。浜値はキロ500円台後半~400円台後半と堅調だ。一方、昨年11月から今年2月ごろまで出荷していた三陸向け半成貝は昨季比約2割減となった。道漁連留萌支店によると、4単協合わせた韓国向け活貝の2024年度(4~3月)出荷量は前年度比28%減の3900トン、同じく三陸向け半成貝は17%減920トン。昨年末に成長不足やへい死が散見され、年明けに一定程度成長したものの、いずれも減少した。現時点では1キロ当たり6~8枚前後。4月の活貝出荷量は111トン、5月530トン。当面夏場まで続く。
オホーツク海北部4単協(宗谷・猿払村・頓別・枝幸漁協)の本操業は、宗谷、猿払村が日産400トン台とペースアップ。各単協とも6月はシケ休みが多く足踏みしており、挽回すべく本格的な水揚げに入った。一方で歩留まりは各単協とも昨年より低く、今後の向上に期待を寄せている。宗谷(20隻)の水揚量は漁場造成を合わせ17日現在8880トン。白幡秀晃ホタテ部会長(大和)は「ノルマは1隻20トン前後。C海区の真ん中から沖で操業しているが、シケが多く、出漁回数は昨年より10日ほど少ない」と説明する。また「陸の歩留まりはいいが沖はいまひとつ。9%程度と上がっていない。アソートも今の場所は小さめで恐らく5S主体」と話し、数値の上昇を願っている。
北海道ほたて漁業振興協会は12日、札幌市内第2水産ビルで通常総会を開催。2025年度は全道水揚げ計画が33万6千トンと6年ぶりに40万トンを下回る見通しの中、生産・流通の柔軟な対応を図り国内外の販促強化を進める。任期満了に伴う役員改選では会長に沖野平昭会長代理を新任した。24年度事業報告について、玉冷は米国減産や円安基調の為替動向から輸出主導に伴う流通価格の高値推移によって国内売り場の維持対策を継続。冷凍ボイルは中国の輸入停止措置で大きく増産し量販店主体に販促強化。輸出促進対策ではアジア圏の末端業態向け消費開発などを実施。流通対策費は計画比58%減6274万円、消流宣伝事業費は同15%減8467万円などとなり、繰越金は2億7520万円。
オホーツク海沿岸の本操業は、2日までに北部(宗谷・猿払村・頓別・枝幸漁協)、南部(雄武・沙留・紋別・湧別・佐呂間・常呂・網走・西網走漁協)の全域がそろい本格スタートを切った。北部は猿払村が日産450トン、南部は常呂、紋別が約270トンの水揚げ。各地歩留まり、組成の状況を見ながらペースアップしていく。
ホタテの新物商戦を展望する道水産物荷主協会(長谷川博之会長)主催の第31回全国ホタテ大手荷受・荷主取引懇談会が5月27日、京王プラザホテル札幌で開催された。原料確保に伴い製品高となったボイルの消化、輸出主導で高騰した玉冷の冷静な価格形成や国内販路の安定維持に期待する意見が示された。当面は米国関税の行方に注目が集まる。