丸大佐藤水産(佐藤大紀社長)は、「魚屋大ちゃん」と冠した移動販売の鮮魚店で魚食需要に応えている。4月から札幌市郊外の拓北・あいの里地区に週5回、箱型の軽トラックで出向いて提供する。その日に札幌市中央卸売市場で仕入れた魚介類の鮮度や接客サービスの評判が口コミで広がって顧客を獲得。飲食店卸で経営基盤を固めながら、商品の充実など”行商スタイル”の進化を目指していく。
大樹漁協の秋サケ自営加工は、大樹さけ定置共同経営体が手掛ける船上活じめ製品の拡販に取り組んでいる。生鮮出荷に加え、昨年から塩蔵品(新巻き・山漬け)を差別化して売り込み。また、生筋子も血合いがなく、きれいで鮮やかな見栄えなどが評価を得て、量販店からの引き合いが強まっている。
道漁連は、本年度の道内コンブ生産見込みを1万2508トンとした。8月末時点の集計で、6月末に示した当初見込みから92トン下方修正した。過去最低だった昨年度実績(1万970トン)に比べると14%上回る。地区別では、当初見込みに比べて函館地区が233トン減3813トン(うち養殖178トン減3553トン)、日高地区は変わらず2400トン、釧路地区は198トン増3228トン、羅臼を含む根室地区は175トン増2350トン(同15トン増90トン)、北見地区は6トン増141トン、稚内地区は240トン減568トン(同128トン減109トン)。
北海道の秋サケ定置漁はオス、メスとも異常高騰の昨年より安値でスタートした。8万トン超の水揚げ予測、昨年産の消化・在庫状況に加え、ロシア・アラスカのマス豊漁などから下方修正の滑り出しは予定調和。ただ、価格形成は全網出そろう今週から本格化。中国の日本産禁輸措置で保管場所を含め冷凍品の行き場に懸念を抱え、生鮮消化の促進、通年商材の売り場再構築に向けた適正価格の見極めなど正念場の年となる。
えりも漁協のタコ箱は赤潮以降不振に陥っていたが、今年に入って漁が回復の兆しを見せ、冬島地区では日量1トンを超える船もある。着業者は「この先どうなるかと思ったが漁が見えてよかった」と安ど。価格も高値を維持しており、水揚げに力が入っている。
中国の日本産水産物全面禁輸措置に伴う対応として、道はホタテなどの消費拡大に向けた緊急対策を取りまとめた。道漁連と連携し、全国の量販店など約900店舗で販売・試食会を行うほか、SNSを活用した情報発信や大都市圏の駅広告で道産水産物をPRする。またオーストラリアなどで現地試食会を開き中国以外の輸出拡大を図る。これらの事業費には1億円を充てる。
札幌市の株式会社千和(竹原和男社長、電話011・299・3266)は、水産素材のパウダー加工とそれを活用した商品開発の企画・コーディネートを手掛けている。調味料、ラーメンのスープたれなどの新商品創出と併せて通常廃棄される規格外品や殻など副産物の活用を後押し。土産品向けなど市販用商品に加え、ズワイガニとシシャモのパウダーを使ったメニューを全面に打ち出したラーメン店が登場し、業務筋需要の開拓に手応えを得ている。
西網走漁協のシジミ漁は、後続群が順調に成長し、1人当たりの日量許容漁獲量(ノルマ)80キロをコンスタントに漁獲している。一方産卵状況について、同漁協は8月中旬に中規模産卵を確認しており、資源確保にも期待を寄せている。
えりも漁協の採りコンブは7月を中心に天候とナギに恵まれ採取日数を伸ばしている。8日現在の全地区延べ日数は192日に達し、昨年実績(143日)を大幅に上回るペースで操業。ただ浜によってはシケで大量に抜けて岸寄り。海に残るコンブも傷物が多くなってきたという。
えりも漁協(坂本好則組合長)がえりも岬地区に整備を進めていた水産物荷捌施設が竣工、供用を開始した。車両の乗り入れ禁止をはじめ、漁獲物や施設の洗浄などに使用する海水の紫外線滅菌装置やサニタリー設備の導入など衛生管理の強化に加え、氷の安定供給や活魚出荷の体制を構築。漁獲物の品質・鮮度保持を徹底し、付加価値の向上につなげていく。