留萌管内4単協(増毛・新星マリン・北るもい・遠別漁協)で、地まき用稚貝の出荷作業が始まった。シケ休みは少なく出荷ペースは順調だが、例年にない成長不足と生残率の低下で、計画粒数に対する出荷量は7~8割にとどまる見込み。各単協とも成長のもうひと伸びに期待を寄せている。
道総研函館水産試験場は戸井漁協小安・東戸井両地区と連携、成熟誘導(人工的に子のう斑を形成させる技術)を用いた早期生産種苗のマコンブで試験養殖を進めている。通常の促成マコンブより沖出し時期を前倒しできるため、成長が早く、付着物増加前に収穫できることや厳冬期の間引きを避けられることが利点。「この養殖方法を確立できれば生産性・作業性の向上につながる」と浜側の期待も大きい。
留萌管内のニシン刺網が新星マリン・北るもい漁協で盛漁期に入った。3月後半から各地で掛かりだし4月上旬は多い船で3トン台の水揚げ。5日の新星マリンはメスの発泡が3千箱に上向いた。放卵寸前の成熟した魚体が多く、大がキロ600円台の好値発進。増産傾向のため7日時点で300円台と安値に振れたが好漁は続いている。
コロナ禍の影響を大きく受けた玉冷消流。内販は外食産業で苦戦しているが、巣ごもり需要に伴う量販店やテイクアウトを生かした回転ずしは順調に消化している。一方、海外では需要回復の兆しが顕著で在庫確保に向け輸入が加速。期首在庫は昨年の3500トンを下回る予測で、2021年度シーズンを迎えた消費地では新物のサイズアソートと冷静な価格帯に注目が集まっている。
甘エビ(ナンバンエビ)の加工販売で6次化に取り組む北るもい漁協所属の有限会社蝦名漁業部(羽幌町、蝦名弥代表、電話0164・68・7777)は、家庭で本格料理を楽しめる簡単調理のミールキットを開発した。併せて製造工程の機械化を推進し、生産増大に備えた。4月中を予定している直営店「甘えびファクトリー」の今期オープンから販売を始める。
後志総合振興局は独自事業の一環で、新規に後志産ニシンの利用拡大策を推進する。地元で獲れるニシンの成分や脂質を科学的に調査。客観的なデータを管内の水産加工会社や漁協に提供、活用策を探る際の基礎材料としてもらう。
同振興局水産課は「ここ数年、日本海沿岸ニシンの資源量が増えているが、魚体や脂乗りの面でブリストル産と比べて評価が高いかと言えば、必ずしもそうではない」と指摘。一方で「ブリストル湾でのニシン漁は日本向けの採算が合わず敬遠されており、昨年はそこにコロナ禍が追い打ちをかけた。輸入物の調達環境は決して良好ではなく、後志産の仕向先を拡大する余地があるのでは」と現状認識を示す。
東しゃこたん漁協古平地区のエビかご漁は序盤の水揚げが伸び悩んでいる。3月下旬で唯一着業する第二十七長洋丸の茂木隆文組合長は「資源が少なく、昨年に比べ漁模様は多少悪い」と話す。
道水産物検査協会がまとめた道産コンブ格付実績は、3月単月が前年同月比9%減の497トンにとどまり、2020年度累計で過去最低だった前年度を0.4%下回る1万2873トンに落ち込んだ。
ニシン刺網に着業する湧別漁協の工藤輝之さん(第八晴龍丸=6トン)はイセ7割の仕立て。足棚は鉛付きのものに加え、今年から150グラムの鉛線入りを使用し2種類を使い分けている。出荷後に作業場で漁具・漁法を説明してくれた。
釧路市東部漁協のホッキは、今季から1隻増の6隻体制となり、全体の供給量が増えたことで3隻が地方送りを強化、販路拡大に注力している。発泡に貼る独自シールも作成し、船ごとに色分け。船名を売り込むとともに、責任出荷で品質の安定・向上につなげていく。