道総研は2022年度から日本海沿岸に存在する身入り不良の未利用ウニに秋から人工餌料を与え、国産ウニが品薄高値となる冬に出荷できる養殖技術の開発に新たに取り組む。研究期間は24年度までの3カ年。開発技術の活用で、日本海の漁業生産額が現行の7億7千万円から11億7千万円へ増加を見込んでいる。
国立研究開発法人国際農林水産業研究センター(国際農研)はこのほど、閉鎖循環式屋内型エビ生産システム(ISPS)に関する特許や知見などの成果を活用したコンサルティング事業を行う初のベンチャー企業「合同会社Shrimp Tech JIRCAS」(マーシー・ワイルダー社長)を設立した。稚エビの生産効率を高める技術を追求するとともに、コンサル事業とも合わせ、陸上養殖による国産バナメイエビの安定供給を目指す。
ロシアのウクライナ侵攻への日米欧の先進7カ国(G7)の経済制裁などで、ロシア産水産物を扱う関係者は影響に懸念を強めている。商社・輸入業者は「直近は大きな影響はない」とする見方も多いが、「先行きは見通せない」と情報収集に追われている。
神奈川県三浦市三崎の鮮魚卸・活々水産合同会社(電話046・854・8008)は、前浜産を仕入れた当日に東京都内の飲食店へ配達する「朝どれ鮮魚」に力を入れている。大庭剛社長が三崎市場で一尾一尾精査。欠品のリスクや手間を惜しまず、商材の価値を最大限に引き出す販売に臨んでいる。
1月11日の余市郡漁協を皮切りに始まった後志北部以北の日本海沿岸ニシンは、2月中旬以降増産基調を示すなど順調な水揚げペースで推移している。一方、例年通りオスの荷動きが鈍いものの、コンテナ不足などで北米・カナダ産の搬入に不安定感を懸念する加工筋が数の子製品の原料手当てを強化。流通関係者は「卵の抜け具合など魚体の状態にもよるが、メスの価格が大きく下落することはないだろう」と見通す。
札幌市の水産物卸・株式会社フジウロコ大橋水産(大橋誠一社長、電話011・709・1221)は、干物を皮切りに加工品の製造販売を強化している。基盤にGSK株式会社(大阪市)の特殊冷風乾燥機を導入。併せてコロナ禍を受けた業容安定に向け、催事販売や自動販売機の設置などで小売りに乗り出している。納入先や購入客の評判も上々で、今後、増産体制を整え攻勢をかけていく。
道南本場折浜の促成マコンブは、地区によって生育状況にばらつきがある。現在間引きに加えシケで絡んだコンブをほどくなど各作業を進めており、それらが終了した後は施設の横張りに移行、成長促進を図る。
総務省の全国家計調査によると、昨年1年間で1世帯(2人以上)当たりが購入したホタテの平均数量は、前年比2%減の560グラムとなり、4年ぶりに減少へ転じた。海外需要の高まりで価格が上昇し、国内消費が伸び悩んだため。100グラム平均価格は220円となり同2%高となった。
宮城県産養殖ギンザケの今季(2022年)生産量は1万6千トン前後になりそうだ。昨季から約200トンの増産となる見込みで、コロナ禍による巣ごもり生活で高止まりする内食需要に対応する。成育が順調に進んでおり、水揚げは例年通り3月中旬ごろに始まる予定。生産者は早期出荷などでチリ産ギンザケとのサイズ競合などを避け、好値維持を図っていく。
上磯郡漁協木古内地区の養殖ワカメは3月から主力となるボイル塩蔵の生産が始まる。「成長にばらつきがある」と話す着業者もおり、今後の生育促進に期待している。