大量繁殖した「痩せウニ」の養殖試験に取り組む落部漁協は、養殖ウニの試験販売で一定の成果を得たことから、次年度は規模を拡大し事業化する。養殖開始前に3%だった痩せウニの歩留まりは、新たに開発した配合飼料の給餌で最高20%以上に向上した。この飼料開発や養殖ウニの加工・流通には㈱北三陸ファクトリー(岩手県洋野町)が協力し、同漁協が養殖したウニを首都圏の百貨店で試験販売したところ、高く評価されたため、「HAGUKUMU―UNI~はぐくむうに」のブランドで今春にも商品化する。両者は磯焼け解消と新ブランド展開のW効果に期待する。
東京・豊洲市場の真ツブ消流は国内の引き合いが低迷している。赤潮が発生した北海道太平洋沿岸の水揚げが伸びず、入荷量が乏しく、高値基調が続いているのが影響。コロナ禍が長引き、仲卸業者らは「飲食店からの当日注文は少ない。ヒモ付きでなければ売れない」と異口同音。一方で、上級グレードの荷動きは富裕層が多い香港などアジアへの輸出に傾斜している。
古宇郡漁協神恵内地区の山森漁業部(山森淳代表)は、2月25日に加工製品などを販売するオンラインショップを開設した。サイトではコロナ禍での魚価安を乗り越えようと、漁業の6次化に挑戦した思いなどを披露。淳代表の息子、昴さんと美紀さん夫妻がそれぞれの役割で奮闘しながら、神恵内での新たな漁業スタイルの確立に向けた一歩を刻んだ。
いぶり噴火湾漁協有珠支所のナマコけた引が始まった。初日の1日は、うねりが残り1隻平均40キロ前後、全船で700キロの水揚げ。シケ休み後の3日も荒天となり途中帰港となった。昨年並みかやや低調にスタートしている。
散布漁協のアサリの浜値が高騰している。12~1月に操業した機械掘りではキロ900円台~800円中心に推移。2月中旬に始まった手掘りも同900円強に付いた。4~1月のアサリの数量は前年同期比1%減の46.9トン。ただキロ平均単価が32%高の824円に上昇、金額は31%増の3866万円に伸ばしている。
遠別漁協のホタテ養殖船「丸中丸」(11トン、FPR)が竣工し、このほど母港・遠別漁港でその雄姿を披露した。先代船より容積量が拡大し、エンジンやサイドスラスターがパワーアップ。作業性や安全性が格段に向上した。同漁協理事で㈲丸中漁業の疊議博代表は「バランスが非常にいい。理想以上の船に仕上がった」と大満足。4月の稚貝出荷から本格稼働する。
戸井漁協東戸井地区でミツイシ養殖を営む芳賀浩平さんは、施設に施す独自の雑海藻対策を考案、今季から本格導入し効果が表れている。幹綱に農業用灌水チューブをかぶせるように取り付け固定する仕組みで、雑海藻の付着は大きく減少。「付いても手でなぞるだけで簡単に落ちる」と言う。毎年手間と時間をかけ行ってきた雑海藻除去の必要がなくなり、体力的負担が大幅に軽減された。
三陸の今季イサダ(ツノナシオキアミ)漁が始まった。海況に比較的恵まれ、岩手、宮城両県とも過去2年の記録的不漁からの脱出へ期待が持てるスタートを切ったが、魚影の薄さが指摘されるなど先行きは不透明。浜値はキロ60円台と、高騰した昨季に比べ大幅に下落しているものの、例年より高い水準だ。
いぶり噴火湾漁協の加工貝(2年貝)水揚げ状況は、2月末で3450トンとなった。計画に対する進ちょく率は40%。着業者は「完全回復には至っていないが生存率は向上している」と話し、3月の集中水揚げで最後の追い込みをかける。一方浜値は堅調で、キロ300円台中盤に上昇した。
札幌市の株式会社ダイホク(大場啓二社長、電話011・661・0707)は、焼きのり、昆布など乾物、昆布だし調味料などの製造・OEM(相手先ブランド製造)商品の開発を手掛け、海外にも販路を広げている。特に台湾は直接貿易を確立。ホタテ玉冷など輸出仲介業にも乗り出し、今秋には札幌市に台湾のテレビ局と直接商談ができるオンラインブースを開設。道内食品企業の販路拡大を後押ししていく。