岩手県の久慈市漁協(皀健一郎組合長)が久慈湾内で試験養殖しているギンザケの3季目の水揚げが27日、始まった。最終試験の位置付けとなる今季は、8月中旬まで約20回にわたり前季実績の5倍となる計200トンの出荷を目指す。成育は順調で、ブランド化に向けた取り組みも進行中。事業化に移行する来季に弾みをつけ、不漁にあえぐ浜に新たな活力を導く。
ノルウェーのプロキシマーシーフード社(ヨアキム・ニールセンCEO)は、静岡県駿東郡小山町に、日本最大級のアトランティックサーモンの閉鎖循環式陸上養殖施設を建設する。4月26日に着工し、2023年6月末竣工予定。初出荷は24年半ばを見込む。年間約6300トン(ラウンドベース)を生産、富士山麓の潤沢な湧水で育てた良質なサーモンとして日本市場に投入する。増産を視野に隣接地の取得も検討している。
昨年まで18年連続でサケ水揚げ日本一を誇っている北海道斜里町。ただ、全国的状況と同様、近年漁獲量は減少傾向で、資源の底上げ・安定を目指し、自然産卵できる河川環境を復活させるプロジェクトに乗り出している。その資金調達と周知・PRで、ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディング(CF)を開始した。目標額は300万円。7月15日まで寄付を受け付けている。
札幌市の食料品卸・株式会社エスワイエスウイング(依光博文社長)は3月中旬に札幌市豊平区に食のセレクトショップ「らうすプラス」を構えた。干物やサケをメインとした水産品に、全国各地から取り寄せる名物商品を“共演”。併せて羅臼町認証店として羅臼昆布など特産品を取りそろえ、道都・札幌市民の魚食拡大に臨んでいる。
来遊資源の低迷が続く秋サケ。気候変動による海面水温の上昇などの影響が指摘される中、道総研は温暖化のシナリオに基づき、サケ稚魚の降海時期の沿岸水温の将来変化を予測した。併せて放流適期への影響を分析。北海道沿岸全域で適水温の開始時期、終了時期とも早まることが分かった。適水温期間は特にオホーツク、根室で短くなり、サケ稚魚の生残にマイナスの影響をもたらす可能性が示唆された。
岩手県宮古市の宮古漁協(組合長・大井誠治県漁連会長)は18日、海面養殖している「宮古トラウトサーモン」の今季出荷を始めた。市魚市場に活じめした3.3トン(1963尾)を上場し、最高値はキロ1450円。2季目を迎えた実証試験は好スタートを切った。秋サケなど主力魚種の水揚げ不振が近年続くなか、新たな地域ブランド創出に期待が高まる。100トンを目標に7月中旬まで週1回のペースで水揚げし、県内外への流通を図る。
宮城県産養殖ギンザケが10日、今季初めて水揚げされ、女川魚市場に入荷した。落札価格はキロ900~870円、平均879円。コロナ禍での巣ごもり需要を背景に、量販店向けが安定化するなか、昨季を若干上回る初値について「適正価格」ととらえる関係者は多い。成育はおおむね順調で、水揚げは7月下旬ごろまで続く。
岩内町は10日、青森県でサーモン養殖事業を展開する株式会社オカムラ食品工業(青森市)、同社グループ会社の日本サーモンファーム株式会社(青森県深浦町)と岩内町役場で連携協定を締結した。トラウトサーモンの養殖や蓄養に岩内沖の海洋深層水を活用できるかを検証するため、両社から養殖技術など包括的なアドバイスを受ける。
宮城県産養殖ギンザケの今季(2021年)生産量は1万4600トン前後になりそうだ。昨季から若干の減産となる見込みだが、成育はおおむね良好で3月中旬ごろから水揚げがスタートする予定。新型コロナウイルス感染拡大に伴う巣ごもり需要を背景に在庫消化は進んでいるとみられ、活発な取引が期待される。
東北3県(青森、岩手、宮城)の秋サケ漁が、今季も極度の不漁に終わることが確実となった。各県のまとめによると、1月31日現在の沿岸漁獲量は青森1340トン(前年同期比31%減)、岩手1277トン(同30%減)、宮城457トン(同31%減)。採卵用の河川捕獲も低水準で、サケが回帰する4年後の漁況も危ぶまれる。