北海道での魚類養殖事業化による生産増大の可能性を探るため、道水産林務部は15日、木古内町の木古内漁港・釜谷地区に設置したいけすにサクラマスの稚魚400尾を投入した。来年6月下旬ごろに水揚げ。今後は育成作業などの業務を委託した上磯郡漁協の組合員が給餌。道は今後、生残率などのデータを収集するほか、販売戦略を練り上げていく。
岩手県山田町の三陸やまだ漁協(生駒利治組合長)は、山田湾でトラウトサーモン(ニジマス)の海面養殖試験に着手した。秋サケの記録的な不漁が続く中、新しい収入の柱を育てるのが狙いで、初年度の水揚げ目標は50トン。2023年度からの事業化移行を視野に、自動給餌器を活用するなど省人化によるコスト削減効果も確認していく。
東京・豊洲市場のいくら消流は、道産中心に国産秋サケ子の相場が品薄、高値基調で荷動きが鈍い。末端の飲食店では通常よりグレードを落とした仕入れで、国産いくらを手当するのは一部の高級店。大衆店は輸入のマス子などにシフトしている。
岩手県の久慈市漁協(皀健一郎組合長)はサケ・マス類の海面養殖事業の区画漁業権免許を取得し、久慈湾のギンザケ養殖を本格始動させた。稚魚60トンの搬入が間もなく完了。一般公募で決めた「久慈育ち琥珀(こはく)サーモン」のブランド名で、来年5~8月に前季の4倍となる600トンの上場を目指す。
今季も低水準の来遊状況で終盤を迎えた北海道の秋サケ。道総研さけます・内水面試験場の解析によると、中期までの来遊実績は海区・地区間で明暗が大きく分かれているものの、オホーツクや根室などで2016年級の5年魚が漁期前予測を大幅に上回っている。資源が低迷傾向となった成熟年齢の若齢化から、高齢化へ回復局面入りが期待されるという光明も差している。
日建リース工業株式会社を代表機関とする「地下海水陸上養殖サーモンバリューチェーン改善促進協議会」が進める「三保サーモン」(写真)ブランド化の取り組みが水産庁の2021年度バリューチェーン改善促進事業に採択された。静岡・三保地区で展開している地下海水を用いたサーモンの陸上養殖事業において、生産性改善や品質向上、ブランド化を図る。
北海道の秋サケは、太平洋側の不振が際立っている。特にえりも以西は昨年比2割減の漁期前予測を大幅に下回る水揚げで推移。日高地区も全域が極度に落ち込んでおり、赤潮の発生によるへい死被害だけでなく、漁業者からは来遊阻害などの影響を指摘する声が上がっている。一方、ここ2年は11月に入って伸びが見られ、切り上げまでの上積みに期待もつないでいる。
北海道の秋サケ定置は、道漁連の集計(速報値)によると、10月25日で昨年の最終実績(4万5385トン)を超え、低水準ながら2年連続の増産が確定した。オホーツク、根室・北部などで10月中・下旬の水揚げが急落した昨年に比べて持続。前半低調だった大所のオホーツク・東部地区ではウトロ、網走の両漁協が不振の昨年実績を上回り、斜里第一漁協は切り上げまでの上積みに期待をかけている。
ひやま漁協の秋サケは今季、水揚額が初めて7億円を突破する見通し。6地区の累計額は19日現在で前年同期比約2倍の6億6854万円に上る。瀬棚支所の水揚げがけん引し、1995年の合併組合が誕生以降、これまでの最高だった2006年の約6億8千万円を上回るのが濃厚だ。
北海道の秋サケは10月中旬に入って水揚げペースが鈍化し、最終5万トン前後の様相を呈している。浜値は再上昇し、単価高が顕著。道連合海区の集計で10日現在の水揚金額は353億9906万円と、昨年の最終実績(約350億円)を超えた。全道を底上げする健闘を見せたオホーツク・中部地区(常呂~雄武)では史上最高額に達する漁協が相次いでいる。