青森県漁連は2021年度内に、養殖ホタテのマリン・エコラベル・ジャパン(MEL)認証の取得を計画している。資源・生態系の保護など環境に配慮した生産団体としての認証取得に向け、年内に申請する予定。国際的な信頼性を高め国内外流通の維持・拡大を目指す。
北海道産タコは浜値が強含みの様相で滑り出している。製品在庫が低水準下、出足の水揚げが低調。加えてアフリカダコが冬漁の不振で搬入減の見通しとなり、加工原料の代替需要が強まっている。ただ、同様の品薄で高騰した2018年に消流の鈍化、相場の反落を招いており、コロナ禍による消費行動の変化も相まって警戒感が存在。価格形成は今後の漁次第で先行き不透明感を抱えている。
陸上養殖の産業化を事業としている株式会社さかなファーム(東京都)は10日、運営するサスティナブルシーフードに特化したECサイト「CRAFT FISH(クラフトフィッシュ)」で、 陸上養殖で育てたバナメイエビ「幸えび」の販売を始めた。
「幸えび」は、関西電力株式会社とIMTエンジニアリング株式会社の共同出資で2020年10月設立した「海幸ゆきのや合同会社」が手掛ける陸上養殖による国産バナメイで、これまで一般販売はしていなかった。
一般的なバナメイは輸入物が多く、 国産で陸上養殖で生産されたものは希少性が高い。最先端の設備で生産し、薬品や抗生物質などを使わず、清潔な環境で成育することで、泥臭さや雑味の少ない陸上養殖の利点を生かした品質に仕上げている。
函館市釜谷町に製造工場を構える有限会社タカハシ食品(本社・東京都、高橋誠社長、電話042・536・8288)は、北海道産ホッケを皮切りに焼成済みの塩焼きを新たに商品展開している。一つ一つ手間暇をかける製品作りを踏襲。特に臭いや調理の手間を敬遠する首都圏の消費動向を踏まえ、手軽に食べられる本格焼き魚の提供で魚食拡大に臨んでいく。
西網走漁協(清野一幸組合長)の「網走湖産しじみ貝」が農水省の地理的表示(GI)保護制度登録後、最初の水揚げシーズンを迎えた。シジミの北海道最大の生産地・網走湖では徹底した資源管理と鮮度保持を武器に5日から操業を始め、新たなブランド展開をスタート。待望のGI登録を追い風に産地偽装の排除と販路拡大を目指す。
宮城県南三陸町歌津の建設業、株式会社 阿部伊組(阿部隆社長、電話0226・36・2311)は、陸上養殖した希少海藻マツモを練り込んだクラフトバターを開発した。マツモの持続可能な生産と消費の実現を通じて、異業種から新風を吹き込む。15日に電子商取引(EC)サイトで予約の受け付けを開始し、6月1日から順次発送する。
海藻類加工販売の株式会社ヤマコン(名古屋市、山下秀和社長、電話052・681・9201)はこのほど、各種海藻を使った新商品を発売した。道産昆布4銘柄をブレンドした「万能きざみ昆布」、粘りの強い食材を使った「オクラと3種の海藻ミックス」、減塩タイプのカットわかめとあおさの計4品。いずれもパッケージ裏面にレシピを記載するなどして食べ方を提案する。
ひやま漁協奥尻地区青年部成養部会(雁原幸正代表)が取り組むイワガキ養殖は、将来的にシングルシード方式を柱とする生産を目指している。出荷までの養殖期間が短く生産効率が上がることが利点。加えて、型や身入りの安定化も期待できる。昨年からは本格的に「奥伎(おうぎ)」の名称でブランド展開。雁原代表は「シングルシード生産が確立できれば、奥尻産イワガキのブランド力を高めることができる」と強調する。
羅臼漁協のバフンウニたも採漁は3月の操業日数が伸び、数量・金額は昨年を上回るペースで推移している。うに漁業部会の濱田久吉部会長は「餌となるコンブなど海藻類の繁茂状況が芳しくなく身入りが悪い。それでも操業回数でカバーしている」と説明する。
「あらためて反対」「納得できない」―。国が4月13日に方針を明らかにした東京電力福島第一原発の処理水放出。大量の海水で希釈し、放射性物質の濃度を国の基準より十分低くすると説明するものの風評被害への懸念は強い。宮城県漁協の寺沢春彦組合長は「まずは国民や諸外国への説明責任を果たさなくてはだめだ。安心が担保されない限り到底受け入れられない」と憤りを隠さない。福島県や隣県の漁業関係者らは風評の恐ろしさが身に染みている。