生産者と消費者の架け橋に―。海藻専門加工卸、株式会社リアス(船橋市、坂詰和枝社長)の坂詰和仁専務は、キャンピングカーで全国を巡り三陸産ワカメを中心にPR販売している。震災復興の一助にと始めた。生産者から買い付け、連携するスーパーで店頭販売し浜の思いを消費者に直接伝える「顔の見える流通」に注力。「産地の営業マン」と自負し、周りからは「わかめアニキ」の愛称で親しまれる。産地や消費地で絆を深める〝旅〟は6年目を迎えている。
秋サケの消流環境は、昨年の生産が平成に入って最少となり、親製品、魚卵製品とも繰越在庫が低水準で新漁期入りする。ただ、高コストでの供給から中国輸出が依然低迷、国内も輸入物との競合で末端の需要が縮小し、消費も減少傾向。消費の回復と国内外の需要確保が引き続き懸案で、北海道の秋サケ業界は本年度、旬期消費を促進する「生鮮対策」、売り場拡大に向けた「国内対策」を拡充。生産回復を見据えた「輸出対策」も推進し、魚価と消流の安定を目指す。
戸井漁協汐首地区で一本釣りに着業する下山明仁さんは、函館市のフランス料理オーナーシェフの坂田敏二さんと共同で神経じめ鮮魚の品質を追究している。定期的に調理直前の身質や熟成による変化などを分析し、食材としての味や使い勝手を高める処理・出荷方法などを検討。併せて蓄積した特長や調理方法などの商品情報を販路開拓に活用し、新規需要先の獲得を目指していく。
札幌市の水産品・冷凍食品卸、丸一大西食品(株)(滝井義明社長、電話011・641・8180)は、特殊冷凍技術を活用した高品質の冷凍刺身商材の拡販に乗り出している。トレーなどの容器に凍ったまま盛り付けるだけで刺身盛りをつくることができる商品展開。量販店などの人手不足や廃棄ロスの課題解消などを含めて提案していく。
グループ会社の栄興食品(有)に最新の冷凍技術「3D冷凍」のフリーザーを導入。直線的に一方向から冷気を当てるエアブラスト方式とは異なり、高湿度の冷気で食材を全方位から包み込んで短時間でむらなく冷凍。食材の表面乾燥や氷結晶の膨張など冷凍のダメージを防ぎ、同社は「解凍後のドリップがほとんどない」と強調する。
青森県外ケ浜漁協の蟹田地区でかご網や刺網漁に着業する髙森優(ゆたか)さん(鷹丸)は、傷が付き活魚で出荷できないクロソイやカレイなどの付加価値向上に力を入れている。えら切りと神経じめを施し、3キロ詰めの発泡を「未利用魚セット」と名付け、主に関東圏の消費者へ提供。「力強い漁業の新たなスタイルを発信していきたい」と意欲を燃やしている。
ホタテ養殖の各種機械を製作・販売する佐呂間町の株式会社森機械製作所(森光典社長)は、船上でも使えるコンパクトサイズの「酸素濃縮装置OPD―B(船用)」を開発した。コンプレッサー内蔵型の酸素マイクロバブル発生装置。循環ポンプをつなげるだけで酸素濃度が一気に上昇する。生存率の向上が期待できるため、稚貝分散や耳づり作業時の使用者が増えている。
稚内市の水産加工・丸共水産株式会社(宮本宜之社長、電話0162・23・4050)は、消化管での吸収性に優れた低分子糖鎖「糖鎖オリゴマー」の量産技術を開発した。札幌市手稲区に製造拠点「札幌ファインケミカル研究所」を構え、16日生産を開始。カスべ由来のコンドロイチン硫酸などを使用し、3年以内に年間1トンの生産を確立。健康食品や化粧品、医療用の素材などに拡販を目指す。
日報ビジネス(株)主催の「2017札幌パック」が21~23日の3日間、札幌市白石区流通センターのアクセスサッポロ(札幌流通総合会館)で開かれる。食品産業界のニーズに対応した包装に関わる最新の技術・情報・システムが一堂に集結する北海道内最大級の包装・食品産業イベント。23回目を数える今回は「環境に適した包装と安全・安心の食生活」をテーマに、平成27年の前回を上回る146社(321小間)が出展する。
宮城県女川町の地方卸売市場竣工式が5月30日、同市場で挙行された。東日本大震災で被災した施設の新設復旧で、女川漁港に東、中央、西の各荷捌場と管理棟が4月までに完成。水産の町・女川の拠点となる魚市場の完全復旧でしかも高度衛生管理型となり、水揚げ増加、復興の弾みにと期待が膨らんだ。
岩手県大船渡市のカレーハウス・KOJIKA(鈴木典夫代表、電話0192・47・4777)は5月、レトルトの「三陸まるごとあわびカレー」2千食をほぼ完売した。地元のホタテとカキを次の素材にカレー製品の開発を進め、早ければ7月に販売する。
あわびカレーは180グラムをレトルトパウチに入れ2700円と高価。4分割したアワビ1個が入る。三陸まるごとシリーズの第2、第3弾として、同市綾里地区のホタテ、赤崎地区のカキに白羽の矢が立った。
鈴木代表は「カキは商品開発が終わって量産する段階。ホタテは9割方開発できた。7月までに(パッケージの)箱ができればいい」と笑顔で話す。早くも盛岡市の百貨店から、アワビを含む3種類をセットでギフト製品にという話がきているという。