道漁連営業第一部の大谷内優部長は、冬場のシケで大幅な減産が懸念されるオホーツク海の本年度生産計画量について、当初計画より6万トン超の減産を示唆した。
岩手県の唐丹町漁協管内で15、16日、ホタテの採苗器が投入された。試験採苗器への付着急増を受け同漁協が投入を判断。県南部で最も早くなった。広田湾漁協でも15日、広田支所管内の広田湾側に採苗器の半分の投入を指示した。
青森県漁連は、本年度のホタテ水揚げ計画量を前年度実績比14%増の7万トンに設定した。計画の6割強を占める半成貝の成長が良く、小型だった昨年とは打って変わりLサイズ中心。県漁連では「最終的に7万トンを超える可能性もある」としている。
終盤に入った噴火湾渡島側の加工貝(2年貝)水揚げは、4月末で7万5000トンに達した。昨季実績比23%の増産。鹿部、砂原漁協は終漁、ほか4単協の水揚げは5月まで続く。4月の浜値はキロ250~230円と依然、高値傾向にある。
冬場の大シケに伴うオホーツク海沿岸のホタテ減産は、4単協が当初の漁獲計画を2~5割減に下方修正した。7単協は資源量調査を継続中。死滅規模の全容は明らかになっていないが被害は全域に及んでいる。組合からは「水深15メートルの浅場は一掃された」、「被害は50メートルラインまで広がっている」といった声が出ている。
小樽市漁協のホタテ養殖漁家は17日から採苗器の投入を始めた。平年は5月の連休明けで20日ほど早い状況。年明け以降水温が高めに推移したことなどが要因とみられ、今季は産卵が平年より2週間以上早く開始。後志地区水産技術普及指導所によると、4月中旬の採苗器投入は「統計史上最も早い」という。
【中国・大連、乳山=松本名司】中国のホタテ需要に陰りが見えてきた。主流を占めていた片貝製品の原料である北海道噴火湾産の両貝冷凍が高騰しているため。中国の製品加工大手は付加価値を上げて販促に努めているが、原価の安い国内産イタヤガイをホタテ貝殻に乗せた商品が人気を集め、現地加工筋が軸足をシフトするなど、ホタテ消費の失速感は否めない。今季は過去最高の4万トンに達するともいわれる両貝冷凍の消費見通しなどを、加工最盛期の中国乳山市と大連市で取材した。
道北日本海の前浜で3月末から母貝の一部が産卵している。平年より20日ほど早い産卵開始で、年明け以降水温が高めに推移していることなどが要因とみられる。採苗器の投入時期も早まるかは不透明だが、稚貝出荷の進ちょくとの兼ね合いもあり、着業者は産卵状況、ラーバの出現など今後の動向を注視している。
噴火湾渡島側の加工貝(2年貝)は、3月下旬から4月上旬にかけキロ230円前後の価格帯。一時180円台まで下がったが、出荷調整を行い持ち直した格好だ。3月末の6単協累計出荷数量は4万7000トン。
【アメリカ・ニューベッドフォード=松本名司】世界有数のホタテ漁獲量を誇る北米東海岸は、全米で95%の水揚げを占める一大ホタテ生産地。主要漁業基地の一つ、マサチューセッツ州のニューベッドフォードで、確立された資源管理状況や今後の漁獲見通しを取材した。北米ホタテガイ協会のロス・パーシュ会長は、産学官が一体となった計画的な漁獲体制を強調。より厳しい漁獲制限を設けた2年間の自主規制を経て、漁獲量はことしから回復する見通しを明らかにした。