ホタテ玉冷の2024年度消流は、円安水準の為替相場を背景に北米や東南アジアなど輸出がけん引する形で新シーズンを迎えた。昨年後半に3Sの産地価格がキロ2千円台中盤まで下がり国内外需要が伸長。このため3月の期末在庫は払底し2800円程度まで戻す「ない物高」の展開となっている。荷受や商社筋は「これ以上の製品高は国内消費にブレーキがかかる」と危機感を強めており、拡大した内販需要の確保に向け冷静な相場形成を期待している。
湧別漁協のホタテけた引自営船「第三十三ゆうべつ丸」が竣工した。中央ブリッジからおもてブリッジに変更し、船体を大型化したことで機能性・安全性が格段に向上。前方のサイドスラスターで八尺巻き揚げ時の船体調整も容易となった。竣工式で阿部俊彦組合長は元請け・建造元に敬意を表し、乗組員には「安全操業に努め一丸となって作業に当たってほしい」と要請。近く稚貝放流から本格稼働する。
4月に始まった青森県陸奥湾の半成貝出荷は、5月中旬からようやく本格化する。昨年の高水温に伴う分散後のへい死が増加したことに加え、収容しているパールネットにユウレイボヤが大量付着したため半成貝の成長不足が散見。4月末水揚量は前年同期比65%減の1760トンと苦戦を強いられている。
ボイルホタテの2024年生産量が昨年の2倍近い見通しとなる中、NET800グラムで蔵前千円弱の安価設定が現実的な相場となり、国内バイヤーの注目度が高まっている。荷主や商社筋は「引き合いが強くショートしている」「シーズン前から使う意向を示していた量販店が昨年より多い」と説明。例年以下の歩留まりでサイズもワンランク小型だが、予想以上の反響にうれしい悲鳴を上げている。
渡島噴火湾6単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部漁協)で加工貝の水揚げが終盤に入った。4月13日時点の水揚量は前年同期比3%減の3万5千トン。計画達成率は74%。日産数量は落部が370~380トン、長万部、森が約200トンなど。浜値は八雲町、砂原、鹿部の入札がキロ200円台前半、長万部、落部、森の値決めは200円。いずれも昨季の半値に落ち込んでいる。
関東甲信越でショッピングセンターチェーンを展開する株式会社ベイシア(群馬県前橋市)は3~7日、スーパーマーケット「ベイシア」116店で「ホタテ応援フェア」を開催した。ベトナムで殻むき加工した北海道産ホタテを販促するもので、原料は株式会社フーディソンから供給を受けた。中国による日本産水産物の禁輸が続く中、水産業界を応援したいという思いで着手したフーディソンの取り組みに同社も賛同。水産庁が制定する「さかなの日」とも連動し、さまざまなアイテムで売り場を盛り上げた。
森町砂原の株式会社澤田水産(澤田光社長、電話01374・8・2162)は、対米HACCPの認定取得に向け、ホタテ加工施設・設備の整備を実施した。原貝の1次処理工場や包装・梱包室を大幅に改修し、衛生管理を強化。併せて凍結設備の低温化や処理能力の増強を図った。国内や既に輸出に取り組んでいる東南アジアなどでの商品力向上に加え、米国など海外販路の拡大を目指す。
加工貝の水揚げ最盛期となった渡島噴火湾は、3月下旬から6単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部漁協)合わせ日産千トン以上と増産体制に入った。3月末の累計数量は前年同期比10%減2万1千トン。計画達成率は45%。落部、長万部が日産300トン前後となった。一方、浜値は高値200円台で推移している。
青森県漁連は2024年度の水揚げ計画を前年度実績比32%減3万5千トンと試算している。主力の半成貝が33%減2万6千トンと大幅に減産する見通し。成貝も31%減8900トンと1万トン割れの厳しい計画案となった。昨年の高水温に伴う稚貝や成貝の大量へい死を受け産卵時期の出荷は控える方針のため、4月の半成貝水揚げは大幅減となるもよう。
飲食店向け生鮮品EC「魚ポチ」や鮮魚店「サカナバッカ」を運営する株式会社フーディソン(東京都)は、ベトナムで殻むき加工した道産ホタテの販促に乗り出した。原料調達や海外輸送、現地加工のノウハウを持つ企業らと協業し、高品質商品の開発が実現。販路の一端には大手小売店も巻き込む形でプロジェクトが進んでいる。販売ルートを確立している同社が先導することで、継続的な取り組みになることに期待を込めている。