岩手県の久慈市漁協(川戸道達三組合長)は11日、久慈湾で養殖したギンザケ「久慈育ち琥珀サーモン」1.6トンを今季初水揚げした。需要の高まりや飼料など生産コストの上昇を受け、昨季より2割ほど高いキロ900円台で取引された。7月下旬までに660トンの水揚げを計画する。
宮城県の石巻魚市場に1日、県産のトラウトサーモン(ニジマス)が2年ぶりに入荷した。ギンザケ生産者の阿部郁也さん(有限会社グルメイト=本社・石巻市湊西=専務)が試験的に養殖した3トン。記録的な高水温が続く中、ギンザケより成長が早く、養殖期間を短縮できるトラウトへの関心は今後、買受人の間でも高まることが予想される。今季の入荷量は4月末までに計30トンを計画する。
宮城県内トップを切って、石巻魚市場に3月28日、県産の養殖ギンザケ5.2トンが入荷した。高水温により稚魚の池入れが例年より3~4週間ずれ込んだ影響で、昨季より25日遅い初入荷。待ちわびた花形の到来に市場は活気づいた。サイズは1.5キロが主体。初回としては大きく、平均単価はキロ1240円と、昨季を142円上回った。入荷は切れ目なく続く。
盛信冷凍庫株式会社(宮城県石巻市、臼井泰文社長、電話0225・95・7615)などは3月、宮城県産養殖ギンザケを使ったオンライン料理教室を開く。時短をテーマに、複合フィルムメーカーのクリロン化成株式会社(大阪市)とコラボ。高機能素材の調理袋を用いることで手軽においしく作れ、臭いや掃除の手間も軽減できる点をPRし、魚食普及につなげる。
東京都・豊洲市場のいくら消流は相場が下げ基調下、販売は伸びていない。年明けからしょうゆの卸値は秋サケ子が1回、マス子は3回値下げ。仲卸業者は「飲食店などの顧客にとって市場の商材はどれも高騰しているため、相場が下げ止まるまで待っている状況。その分、売れ行きは悪い」と明かす。
岩内町は青森県の株式会社オカムラ食品工業、同社グループ会社の日本サーモンファーム株式会社と包括連携協定を結び、トラウトサーモン(ニジマス)の海面養殖試験を推進。加えて、岩内沖の海洋深層水を活用した陸上の蓄養試験にも取り組んでいる。
泊村と古宇郡漁協が海面養殖に取り組む「北海道とまりカブトサーモン」は昨年11月にトラウトサーモン(ニジマス)の種苗約1万1800尾を投入し、今春には3期目の水揚げを目指す。昨年6月上旬の2期目の水揚げでは約12トンを出荷。生存率9割超。平均重量2.2キロだった。2023年度はいけす円型20メートル1基を増設し、4基体制とした。
近年低水準で年変動や地域間格差が大きい秋サケ資源の早期回復、ふ化放流事業の安定継続に向け、道水産林務部は試験研究機関や民間増殖団体の有識者で構成する「秋サケ資源対策検討会議」を設置した。8月末までをめどに4回開催し、減少要因の分析と効果的なふ化放流などを検討し、対策を取りまとめる。
江差町とひやま漁協江差支所の江差サーモン部会が取り組む江差港内のトラウトサーモン(ニジマス)養殖は、2年目の昨年12月に八雲町熊石から搬入した平均体重800グラムの幼魚約4千尾を投入した。18日には1回目となる魚体の成育測定調査を実施。平均体重は1.1キロと順調に成長している。調査には漁業者に加え、ひやま漁協や江差町役場、檜山振興局水産課、檜山地区水産技術普及指導所の担当者らが参加。測定で釣り上げたサーモン5尾のうち最大が約1.3キロ、最小が約1.0キロだった。
最終盤を迎えた2023年度の岩手県の秋サケ漁は過去最低の水揚げで漁期を終えることが確定的となった。県の漁獲速報(10日現在)によると、海と河川を合わせた回帰実績は4万4千尾、130トンで、過去最低水準だった前年同期に比べて尾数で74%減、重量で70%減。19~21年度の稚魚放流は不調に終わっており、来季も厳しい漁模様が続くとみられる。