「無駄な配送コストをかけていませんか-」。電子商取引(EC)サイトを使い、「イワカキ商店」や「イワカキ屋」の屋号で三陸の海産物を販売する岩佐亘さん、玲子さん夫妻(仙台市太白区)は、小口配送に適した正六面体の発泡スチロール箱「cube(キューブ)80」を開発した。以前からある、同じ「80サイズ」の直方体の箱に比べて6割増の収容力。殻付きの生カキ5キロにぴったりのサイズ感だ。個人向け(BtoC)EC市場の拡大を後押しするアイテムとして注目を集める。
株式会社丸ほ保原商店(宮城県石巻市、保原敬明社長)は、主力事業である宮城県産めかぶの加工販売を強化する。産地ならではの鮮度と独特の食感や粘り、豊富な栄養成分をそのままパック。食品ロス削減と消費者の購買意欲向上につなげようと、自分好みに味付けできるお得なたれなし商品を新たに投入した。健康意識を背景に高まるめかぶ需要の取り込みを目指す。
理研食品株式会社(宮城県多賀城市、宮澤亨社長)を代表機関とするコンソーシアム(共同事業体)は、一年生マコンブと福島県相馬市名産のアオサ(ヒトエグサ)を大規模養殖し二酸化炭素(CO2)の吸収量を増やす研究に着手する。大気中の温室効果ガスを減らす「ネガティブエミッション(負の排出)技術」の実用化に向け、大量生産可能な種苗・養殖生産方法を開発。海洋資源の回復や食料不足の解決、海藻類に吸収・固定されたCO2由来の炭素量の評価基準確立も目指す。
岩手県の2023年度アワビ漁が終了した。県漁連のまとめによると、1号品の水揚量は101トン(前年比9%減)で、金額は8億9354万円(同41%減)、10キロ当たりの平均単価は8万8547円(同35%安)。アワビ資源の小型化や肥満度の低下、ALPS処理水の海洋放出など、さまざまな要因が複合的に絡み、厳しい共販実績となった。
株式会社海遊(宮城県石巻市雄勝町、伊藤浩光社長、電話0225・25・6851)が雄勝湾で手掛ける主力のカキ養殖が好調だ。湾の深さを生かした独自の養殖法で高水温によるへい死を回避。訪日外国人客(インバウンド)需要を追い風に売り上げを伸ばす。1月下旬にプロトン凍結機を導入。今春から冷凍殻付きの出荷を本格化する。
サーモン養殖や水産品の加工・販売を手掛ける株式会社オカムラ食品工業(青森市、岡村恒一社長兼CEO)は1月25日、マレーシアのグループ会社「センカ・トレーディング」が首都クアラルンプール近郊に物流倉庫を新設したと発表した。日本食がブームの同国で、イスラム教徒の戒律に沿った「ハラル」食品市場向けの事業展開を加速させる。
宮城県水産加工品品評会が23日、石巻市水産総合振興センターで開かれ、最高位の農林水産大臣賞に末永海産株式会社(石巻市、末永寛太社長、電話0225・24・1519)の「帆立のリッチフレーク」が選ばれた。規格外などといった理由で流通経路から外れる県産ホタテを活用し、食品ロス削減につなげた点も評価された。県を代表する水産加工品として秋の農林水産祭に出品される。
ホタテ加工大手の株式会社マルイチ横浜(青森県野辺地町、横濵充俊社長)が、新たな収益の柱の育成を急ピッチで進めている。昨年11月、定塩加工技術に定評がある8株式会社ヤマヨ(八戸市、藤田和弘社長)と業務提携契約を締結。国内で近年、生産量が急増している養殖サーモンの調達を強化する方針だ。両社と、マルイチ横浜のグループ会社を合わせた来期の売上高は150億円に達する見込み。天然資源の減少や、中国による日本産水産物の全面禁輸の影響を受ける中、互いの強みを共有することで現状を打破し、会社の持続的発展につなげる。
全漁連は15日、農林水産省に対し能登半島地震の復興に関する緊急要請を行い、森健水産庁長官に要請書を手渡した。坂本雅信会長は「水産庁を挙げて支援していただいたことに感謝申し上げる」とした上で「漁村、漁港、漁港設備、漁船などの被害が能登半島中心に起きている。漁業者の生活の再建と漁業の生業復興に向け、長期間にわたる息の長い対策が必要になると思われるが、よろしくお願いしたい」と要請した。
東京都・豊洲市場の東北産ムール貝消流は固定客を持つ仲卸業者が定番で仕入れている。ただ、以前ほど安定した入荷が望めず、仲卸業者は頭を悩ませている。
卸値は青森県産や宮城県産がキロ800円ほど。「数量が多い年は宮城県産で400円の場合もあったが、最近は現在の価格で安定している」と説明。引き合いは「入荷すれば必ず買っていく客はいる。また、新規客には青森産は身入りが良いと説明している」と拡販に努めている。