最終盤を迎えた2023年度の岩手県の秋サケ漁は過去最低の水揚げで漁期を終えることが確定的となった。県の漁獲速報(10日現在)によると、海と河川を合わせた回帰実績は4万4千尾、130トンで、過去最低水準だった前年同期に比べて尾数で74%減、重量で70%減。19~21年度の稚魚放流は不調に終わっており、来季も厳しい漁模様が続くとみられる。
平日はオフィス街、週末はイベント会場といった人が集まる場所に出向いて消費者と近い距離でサービスを提供できるキッチンカーが、水産業界でも魚食拡大の新たな販売手法としてビジネスチャンスを広げている。Googleトレンドによるとコロナ禍だった2020年以降「キッチンカー」のウェブ検索数が伸長するなど消費者側の注目度も上昇。事業者は新規顧客層の開拓、商品開発のヒントなど、キッチンカー販売ならではの効果を上げている。
石川県能登半島で最大震度7を観測した地震で、農林水産省は11日、石川県内に69ある漁港のうち7割を超える50漁港で防波堤や岸壁の被害を確認したと発表した。荷捌き所や製氷施設など共同利用施設も20カ所以上が損傷した。津波で転覆や沈没、座礁した漁船は少なくとも145隻に上る。能登の漁業関係者の多くが避難しているため、被害の全容はつかめていない。今後、被害が拡大する可能性がある。
「サーモン養殖シンポジウムinおおつち」が昨年12月15日、岩手県の大槌町文化交流センター(おしゃっち)で開かれた。基調講演や、県内でサーモンの海面養殖を手掛ける全6市町の担当者による事業報告などを通し、成果や増産に向けた課題を共有。養殖事業の持続的発展につなげた。
昨年11月に行った青森県陸奥湾の2023年度秋季実態調査によると、今年の半成貝や新貝に向ける稚貝(23年産)のへい死率は、分散前の未分散稚貝が全湾平均52.5%と深刻な状況にあることが示された。最もへい死した10年度の66.6%に次ぐ高さ。保有枚数は8億7404万枚で、過去10年平均15億4千万枚と比較し43%減少した。親貝の保有枚数も7115万枚と少なく、目安となる1億4千万枚の49%減と半減している。
燃油・資材価格の高騰、海洋環境の変化による水産資源の減少・変動などに加え、ALPS処理水の海洋放出に伴う中国の日本産水産物禁輸措置といった難題を抱えた水産業界。ただ、足元の現場では逆境を乗り越えるための努力を重ねている。新年が夢と希望に満ちた年になることを祈念して、「水産UP(アップ)」と題し、進化や向上に挑む事例を取り上げた。
2023年はホタテを取り扱う関係者にとって激動の1年となった。玉冷は長引く円安を背景に海外需要がけん引し価格高騰のまま新シーズンに突入。東京電力福島第一原発のALPS処理水放出後は最大輸出相手国の中国が水産物の禁輸措置を断行し流通環境が一変した。冷凍両貝輸出が止まったことで産地の玉冷生産が増加。国や地方自治体はじめ民間企業の支援、マスコミ報道の影響も奏功し、だぶついた在庫はどうにか消化されている。しかし関係者は「24年が正念場」と強調。23年は8月までに北海道水揚量の4分の1に当たる約10万トンが中国へ輸出されており、24年は膨大な量の消化に向けた代替先確保が最大の焦点となる。
宮城県漁協は2日、県産乾のり「みちのく寒流のり」の今季初入札会を塩釜総合支所・乾のり集出荷所で開いた。販売枚数は2502万3800枚(前年同期比14%増)に上り、1枚当たりの平均単価は17円95銭(同2倍)と過去10年で最高。猛暑による高水温のため最も遅い共販開始となったものの、上物主体に数量もまとまったことから引き合いは強かった。
水揚量日本一を誇る岩手県のアワビ(エゾアワビ)漁が苦境に立たされている。海水温の上昇やウニの食害などによる磯焼けが深刻化。不漁とともに小型化も進み、干鮑(かんぽう=干しアワビ)に適したサイズは近年なかなか見かけなくなった。資源の回復が見通せない上、ALPS処理水の海洋放出という新たな難問が追い打ちをかける。漁業者だけでなく、加工会社も疲弊している。
温暖化による海水温の上昇で、宮城県で本来は東北より南に生息するチダイの水揚量が急増している。西日本ではマダイが旬を外れる夏にも味が良いことから重宝されるが、なじみの薄い県内では低単価などを理由に敬遠され市場に流通しにくい「低利用魚」。仙台農業テック&カフェ・パティシエ専門学校(仙台市宮城野区)の学生がおいしく食べて活用しようと、利益アップにもつながるレシピを考案した。