理研ビタミン(株)は6月3日、業務用向けの新商品「三陸産わかめ唐揚げ(冷凍)」を発売する。水分含有の多いワカメは油で揚げるのが難しく、市場に流通するような同様の商品はこれまでになかった。海藻加工を主力にしてきた同社が切り込むことで、ワカメの新たな食シーンを創出する。
味付けしたワカメにから揚げ粉をまぶしたもので、揚げるだけで完成する簡便商品。唐揚げ粉には主力事業の一つである食品用改良剤を活用。調理後、長時間経過してもさくさくした食感や香ばしい風味を保つよう仕上げた。
東北地方の水産物・水産加工品が一堂に集結する「東北復興水産加工品展示商談会2019」が6月25、26日、仙台市の仙台国際センター展示棟で開かれる。震災復興に向けて奮闘する東北の水産業界が連携し、国内外のバイヤーに加工技術や商品力をアピールする。5回目となる今年は、料理を実演する「ライブキッチン」を設置するなど新企画も展開。水産加工品のより幅広い活用法を来場者につかんでもらう。事前登録による個別商談会に特に力を入れ、昨年以上の成約率を目指す。
青森県のナマコ漁業で漁港を利用した新たな増殖手法が見えた。県の試験で、防波堤の開口部の海底に特殊なブロックを沈めて空気だまりを作り、ナマコを漁港内に封じ込めることに成功した。人工種苗を付着させた採苗器を漁港内に垂下、成長させて港外の漁場にホースで放流する簡易で低コストの手法も奏功。
青森県は陸奥湾のホタテ養殖で、安定生産に向け協業化モデルの育成に乗り出す。着業者の高齢化や後継者、労働力不足が進行しているためだ。4地区で検討会を設け本年度にモデルを策定、来年度に実践して効果を検証し、周知したい考えだ。
宮城県のホタテ水揚げはペースアップが遅れている。例年、大型連休に向け出荷が増えるが、4月中旬から水揚げが始まった昨秋移入の北海道産半成貝も、先行した地種養殖と同様に、成長が鈍くまだわずか。4月下旬で地種含め1日5トン程度にとどまっている。価格は400円台前半から半ば。半成貝は生残率は上がっている模様で、連休明けから水揚げが活発化する見込みだ。
青森県八戸市の八戸みなと漁協(岡沼明見組合長)が同市湊町に整備した海業支援施設「浜市場 みなとっと」が21日、オープンした。八戸近海の新鮮な魚介類がそろう直売所や食堂、体験実習室などを完備。地元の海の幸をアピールし、水産業振興と地域活性化につなげたい考えだ。
製麺会社であり、首都圏を中心に業務用食品卸を営む株式会社麻生(神奈川県平塚市、麻生政雄社長)は、2年前に新設した岩手県釜石市の工場の機能を生かして水産品の拡充を図っている。急速凍結機を複数台導入して付加価値を高めた商品を効率良く生産。三陸沿岸の地元企業と協力しながらオリジナル商品の開発を進めている。
岩手県陸前高田市の広田湾特産、エゾイシカゲガイは100トンの生産が目標だ。天然採苗で養殖、2年で出荷サイズに育ち、すしネタとして高値で販売。唯一の課題となる採苗の安定が目指される一方、わが国の継続生産で「オンリーワン」となる「広田湾産イシカゲ貝」のアピール、ブランド力発揮にも力を入れる。市の支援が大きく、県も協力。今年は着業者が3人増加する。
宮城県産ホヤは水揚げが増え始め、6、7月が盛漁期となる。暖かくなって需要が伸びてきたが出荷量にまで及ばず、浜値、市況とも昨シーズンを下回っている。韓国禁輸の「逆転敗訴」も影を落とす。仙台市場に直送する県漁協谷川支所谷川支部(石巻市)の馬場伸一養殖組合長は、今季の厳しさを覚悟しながらも望みをつなぐ。
仙台市の笹かまぼこメーカー・株式会社松澤蒲鉾店は、魚原料を使った新機軸のスイーツ「ととをかし ふ和(わ)らん クリーム&チーズ」を開発、若い世代の女性の支持を得るなど新たな消費層を開拓している。このほど開かれた第71回全国蒲鉾品評会で水産庁長官賞と東京海洋大学学長賞をダブル受賞するなど業界でも高い評価を得ている。