海外マーケットの大幅な需要回復に伴い、昨年から継続する輸出主導のホタテ玉冷。米国の減産や物価高、円安相場が大きく影響し海外需要がけん引する形で新物シーズンに突入した。製品価格は3Sの産地蔵前がキロ3千円台中盤から強含みの展開。このため国内消費は下降の一途をたどっている。量販店に加え、コロナ禍の収束感から動き始めた外食産業の引き合いも消極的。円安進行で「輸出主体やむなし」との見方はあるものの、消費地からは冷静な価格設定を望む声が強まっている。
海の男の心情を歌った曲で知られる演歌歌手・鳥羽一郎さんの新曲のミュージックビデオ(MV)に、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ、宮城県石巻市、阿部勝太代表理事)が特別出演した。「カッコよく、稼げて、革新的」という「新3K」の新たな水産業のイメージを確立し、担い手を増やすことを目指すFJ。鳥羽さんがメンバーの心意気に感動し、共演が実現した。
輸出主導の相場高で始まった今年の内販は、コロナ禍による「巣ごもり需要」が続きながらも、量販店では売価設定を上げざるを得ない現状に苦慮している。新物の取扱量を抑えながら、すし種や刺身商材で提案。品ぞろえとして確保するが、品質重視の観点から生玉を強化、メニュー提案型の訴求に力を入れる。札幌、首都圏の消費動向、今後の展開を聞いた。
食品に関わる事業者は元来、食中毒菌などの付着・増殖、異物混入など人体への危害要因を排除することが責務。食品衛生法の改正で2021年6月から、その危害を分析し防止につながる加熱・冷却・包装などの重要工程を継続的に監視・記録する「HACCP」に沿った衛生管理の導入・運用が完全義務化された。本特集では衛生・品質管理の動向や関連機器・システムなどを紹介する。
ひやま漁協乙部支所ナマコ協議会加工部門は、今年も送風式乾燥ナマコの「檜山海参(ヒヤマハイシェン)」やアカモクといった加工品の販売促進に力を入れる。ブランド力が後押しとなり檜山海参は国内外からの引き合いが増加。アカモクは道の駅や物産店といった個人客向けに加え、道外の高級ホテルでも業務用に流通するなど新たなブランド品として存在感を発揮している。
道漁協系統・関係団体は16、17の両日、札幌市の第2水産ビルで通常総会を開き、2021年度事業報告と22年度事業計画を承認した。任期満了に伴う役員改選が行われ、漁連、共済組合・JF共済推進本部、基金協会のトップが交代するなど新体制が発足。全道組合長会議では漁業経営の安定・強化、漁場の安全確保と水産資源の適正利用の枠組み構築、漁業実態に即した水産資源の持続的利用と増大対策、漁場環境の保全・継承の4項目を決議した。
斜里第一漁協の有限会社北洋共同漁業部(伊藤正吉代表)は、定置網漁で水揚げしたサケ・マス、カレイ類など漁獲物の価値向上に挑戦を重ねている。「1円でも高く」の意識を共有し、12人が一丸で実践。従来の活じめに加え、今年から春定置のサクラマスを皮切りに胃洗浄の鮮度保持技術を導入した。併せて加工場を構え、液体急速凍結などを基盤に個人客を中心に斜里産の拡販に乗り出す。
水産庁は2021年度の水産白書を公表した。特集にはコロナ禍による水産業への影響や新たな水産基本計画を取り上げた。生活様式の変化から食の需要が外食から内食へと変化したことや、家庭用冷凍食品の需要が増えたことを掲載。過去の基本計画の概要を振り返るとともに、今年3月に策定された新基本計画の概要や方針を示している。水産物消費の動向も取り上げている。
食品加工の株式会899社シャイン(岩手県大船渡市、桑野祐一社長、電話0192・25・1477)は、未利用資源を使った商品開発に力を入れている。コンブの仮根(ガニアシ)はこれまでほとんど使い道がなかったが、高い栄養価に着目。粉末化して付加価値を与えた。桑野社長は「捨てられていた海藻や魚も見方を変えれば宝。漁業者の所得向上につなげたい」と話す。
札幌市の株式会社PLUSワン(範國完次社長、電話011・817・6255)は、包装資材の企画・販売と併せて道産素材を使った水産品・菓子などオリジナル商品を販売展開している。コロナ禍以降、従来の観光土産品向けから自家需要向けを強化。水産品では「食べるラー油」など日常の食卓に上る総菜品を打ち出し、拡販に臨んでいる。