漁済連は7月24日、東京都内で6月の通常総会で会長に就任した奈良満宗谷漁協組合長(道共済組合長)の新任会見を開いた。岩下巧専務理事ら役員も出席し、経営方針や抱負などを語った。漁業者のセーフティネットとして安定的に機能する制度を維持していくことが「組織の使命」と示した。奈良会長は自身が漁業者で、浜の思いが制度に反映されることを望んでいることを強調。「かつて、ホタテの大暴落や爆弾低気圧などの自然災害に直面した際、漁師として『ぎょさい』があって助かったという思いがある。直近ではコロナ禍など今までにない事態にも対応した」とし、共済制度の必要性を訴えた。
ロシア極東カムチャッカ半島沖で7月30日に発生した巨大地震による津波で、宮城県気仙沼市ではカキ養殖施設に被害が及んでいる。湾内の有人島・大島では養殖いかだの転覆や流出被害が確認されており、漁業者は「東日本大震災からようやくここまで戻ってきた矢先だったのに」と肩を落とす。津波注意報が解除され、1日に復旧作業を開始。宮城県などは県全体の詳細な被害状況の把握を進めている。
ここ数年、カラフトマスの水揚げが伸び悩む網走漁協のマス小定置は、低水準ながらも昨年よりやや多いペースでスタートした。一方、海水温が高めに推移しているため、着業者らは今後の漁況に不安を感じている。
日高定置漁業者組合(佐藤勝組合長)は今年度から環境保全対策事業「『さけの里』森づくり」に着手した。生業・定置網漁の主力魚種・サケの資源造成を担うふ化場の運営に不可欠となる増殖用水・地下水(湧水)の安定確保で森林の「水源かん養機能」を考慮し、施設内に植樹。10年計画で全10カ所の増殖施設に実施していく。定置網漁業経営の組合員47人が賛同し、苗木の購入費を拠出。植樹木は保水能力を有することに加え、寒冷地に適応・生育可能で成長が早い早生樹「春蘂柳(はるしべやなぎ)」を選定した。
礼文島の天然コンブ漁が最盛期を迎え、自由操業での採取が進んでいる。今季はナギや天候に恵まれない日も多いが、島全般的に繁茂状況が良く、着業者は「順調に水揚げできれば」と力を込める。
国内外ともに多くの販路を開拓したホタテ。特に玉冷は輸出主導の中、日米関税交渉が当初米国提示の25%から15%に妥結したことで、税率の縮小、確定による計画の立てやすさから、複数の商社筋は「商談が今後、活発化していく」との見方を示す。米国の末端消費を不安視する向きもあるが、当面は輸出主導の状態が続きそうだ。国内消費はさらに厳しい展開が予想される。
6月29日に日本産水産物の禁輸解除を発表した中国政府は、7月11日に3社の施設登録を認可、その1週間後には対象水産物を公開するなど、輸入再開に向けた手続きを矢継ぎ早に進めた。今後の冷凍両貝の引き合いが注目される。
噴火湾加工貝の2024年度シーズンは、7単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部・いぶり噴火湾)合わせ前年度の若干増となる6万トンに達した。その5割強がボイル向けとみられ、製品ベースでは昨年並みの9千トン近い生産が見込まれる。相場はNET800グラムで2千円台前半と高値圏。玉冷の半値以下だが、値ごろ感につながるかは微妙な状況だ。
国内外の減産や為替相場、堅調な米国需要を背景に、玉冷や活貝輸出が製品相場を押し上げた結果、国内需要が大幅に冷え込んでいるホタテ。末端の量販店では売価を上げざるを得ない状況下、ホタテ以外の貝類に注力する動きも見られる。北海道の末端流通や首都圏の消費動向、今後の展開について探った。
昨年の全道にわたる採苗不振の影響で、留萌管内4単協(増毛・新星マリン・北るもい・遠別)の2025年稚貝生産量は前年比49%減の5億9200万粒と苦戦した。一方、今年の採苗状況は例年並みとなり、サイズも良好なことから必要量を確保できる見通し。また今年も高水温が懸念されており、着業者は「早い時期に分散できるのは稚貝にとって良いことだが、本分散までの垂下期間が長くなる分、夏場の管理に注意したい」と気を引き締める。