石巻専修大(宮城県石巻市)の鈴木英勝理工学部准教授らの研究グループは、県内に豊富に水揚げされるホウボウ科の底魚カナガシラについて、2日間程度であれば新鮮な刺身として提供できるとの研究成果をまとめた。鮮度、うま味、歯応え、身色の4点を考察した。主要魚種の漁獲量低迷が続く中、漁業者の所得向上にもつながる低利用魚の活用に期待が集まる。
株式会社JALUX(東京都)はノルウェー水産物審議会(NSC)と協業して、旬のノルウェー産新物サバを冷凍せず生のまま空輸し、「サバヌーヴォー」と名付けて販売を始めた。冷凍されていない生のノルウェー産サバの輸入は日本初の取り組み。肉厚で脂乗りが良く、ふわっとした今までにない食感も味わえるという。JAL国内線ファーストクラスの機内食で提供するほか、首都圏のスーパーマーケットで販売する。
留萌管内(増毛・新星マリン・北るもい・遠別漁協)の秋サケ定置は、地区間の差が大きく開いた。北部2単協は好漁となった昨年を上回る水揚げだが、南部2単協は半減以下と苦戦。9月29日現在の管内水揚量は累計790トン、前年同期比15%減と昨年を下回っている。一方浜値は卵需要の高まりを受けメスがキロ千円台前半と堅調に推移している。
道東巻網のマイワシは、9月末までにTAC(25万608トン)の56%となる13万9655トンを漁獲した。ただ、50グラム台中心の小型組成に加え、大きな群れもなく、昨年同期と比べると9%下回っている。
散布、浜中両漁協の成コンブ漁が終盤を迎え、9月末までに昨年並みの操業日数を確保した。特に序盤の7月は天候とナギに恵まれナガを順調に採取。一方アツバは繁茂状況が芳しくなく苦戦を強いられている。
厚岸漁協のアサリが例年に比べ好値で推移している。水揚げも順調。かき・アサリ班の遠田城義班長は「コロナ禍以前のこの時期は平均単価がキロ400円台だが、今年の9月下旬は600円台と高い」と手応え。各漁家の漁場管理などが奏功し「全体的に水揚げも悪くない」と話す。
北海道の秋サケ定置は9月漁で久々に3万トン近くを水揚げした。9月後半からオホーツク、根室海峡などでまとまり、日量千~2千トン台が続き、休漁明け27日には3500トンと盛漁水準も記録。直近5カ年では最多ペースで10月漁に入った。ただ、太平洋側の釧路・十勝・日高各管内では秋サケが大量死する異変が発生しており、今後の漁況が注視される。
オホーツク海沿岸のけた引は、9月末で27万532トンの水揚げ。計画達成率は92%となった。猿払村が唯一4万トン台、宗谷、紋別、常呂が3万トン台。8単協が前年同期を上回った。歩留まりは12~13%台で、9月としては比較的高い水準。大半が3S中心の組成。浜値はキロ200円台中盤~100円台中盤と高値基調を維持している。
サンマ棒受網漁は9月下旬、公海を漁場に大型船主体の操業で根室・花咲港の荷揚げは週1回の頻度と厳しい漁模様を余儀なくされている。群れが小さく、痩せ細った魚体が主体で、根室漁協所属の大型船船主は「漁場にいる50トン程度のサンマを30隻で分け合っている」と苦境を話す。市況は高値で推移し、水産加工業者は生鮮送りや加工用の原料確保に苦慮。漁業者、加工業者とも道東沖での漁場形成による今後の増産に望みを託している。(7面に関連記事)
北海道の水産資源に定着してきたブリ。各地で船上活じめによる鮮度・品質管理、商品開発などの取り組みも進んで、生産・加工流通の各分野で存在感が高まっている。昨年は過去最高の1万5000トン台を記録。農水省の集計によると、養殖業を除く海面漁業生産では初の全国トップとなった。今年も秋サケ定置の解禁で水揚げ・流通量が増えだし、商戦が本格化している。