北るもい漁協の羽幌地区で、今年から札幌中央卸売市場への直送を開始したことからアンコウが昨年より好値を付けている。肝は一時、キロ3万円近く上昇した。出荷量の増減や札幌市場の相場次第では通常の上場と変わらない場合もあるが、出荷先を選択できる生産者の収益アップにつながっている。同漁協では天塩地区が数年前から札幌市場への直送を実施しており、同様に羽幌地区と苫前地区の一着業者も今年から開始した。「地元運送業者の要望を受け、札幌直送は発泡表面に魚種、キロ数を漁業者に明記してもらっている。荷造りの仕方はこれまでと変わらない」と羽幌市場。アンコウのむき身はキロ800~700円、カスベは1200~800円で、通常の上場と大差はないが「高級品の肝は高値が付くため、むき身や他魚種も一緒に送っている。出荷先は生産者の判断に任せている」と話す。
いぶり噴火湾漁協の2025年度加工貝(2年貝)水揚げ計画は、前年度実績の3割減となる6千トンを試算している。減産は昨年の採苗不振を受け、今春に垂下した耳づりが減少したため。伊達地区では沖洗いを進めていることもあり、「早出し」の開始時期は昨年より半月ほど遅い11月中旬ごろを見込んでいる。同漁協によると「今年の耳づりにはイガイなどの付着物が多く、各地で沖洗いに専念している」状況。伊達支所でも「作業工程上、早出しは例年より遅れる」と話す。
北海道の秋サケ定置網漁は10月下旬に入ってさらに日量が落ちて2万トン割れの様相を深めている。道漁連の集計によると、23日現在で前年同期比67%減の1万2144トン。昨年急落の最低水準だったオホーツク・西部の枝幸、猿払村、中部の雄武、沙留なども休漁を挟んだ操業で盛り上がりがなく推移し、加えて追い込み時期にクラゲが多くなり、サケの寄りに影響や大量入網で網起こし、選別に労力を要する事態も発生。3年連続の減産模様で終盤に向かっている。
北海道の秋サケ定置網漁が急落に見舞われている。日量が極度に低水準のまま盛漁時期を経過し、2万トン割れも視野に入る凶漁の様相。いくらやフィレー・ドレスの製品価格が空前の高値形成となり、秋サケの需要減退が想定される一方、大半の浜が価格高騰にも補い切れない落ち込み。加えて河川そ上も全般的に不調。増殖団体・生産者・加工流通業者の秋サケ業界各方面に影響が懸念される。
散布漁協のマダラ刺網は好調な滑り出し。10月1日に始まり、多い船で日量200箱以上を水揚げ。10日までの全体数量は前年同期比55%増に伸ばしている。1箱4尾入れが主体。浜値は強含み。
青森県むつ市の大畑町漁協(田髙利美組合長)が、今月からキタムラサキウニの陸上蓄養を開始した。冬季の身入り維持・促進を図り12月に出荷、年末年始の需要に応える。餌は町内の量販店で廃棄されるキャベツの外葉を有効活用、魚市場構内に設置した小型水槽で飼育する。水産庁の補助を受けた海業取組促進事業の一環として調査・研究を進め、将来的には殻むき体験など通年の観光誘致も構想、地域漁業の振興を図る。
添加物など食品加工資材の販売・開発の青葉化成株式会社(仙台市、石田守社長)は、ホヤに豊富に含まれ脳の調子を支える存在として注目される脂質「プラズマローゲン」を手軽に摂取できるサプリメント「ほやプラ」を10月末から販売開始する。ホヤむき身を原料に、安定化が難しいとされる同成分を独自技術で高品質に製品化。同社はホヤの食用以外の活用を広げ、養殖業増進への貢献を開発目的のひとつに掲げている。プラズマローゲンは人間の脳や心臓などに多く含まれる脂質で、特に脳の働きに重要な関係を持つとされる。同社によると加齢や認知症により脳内の同成分が減少するなど研究が進んでおり、特にホヤには人間と同じ性質のプラズマローゲンが多く含まれることが知られているという。認知症予防や睡眠改善など利活用が期待される一方で、酸化しやすく成分の保持が難しい特性があった。同社はホヤ由来のプラズマローゲン研究を進めていた東北大学未来科学技術共同研究センター・宮澤陽夫教授と共同で、その安定化を模索。以前開発した魚油のDHAを粉末化する技術を応用し、3年の試行錯誤を経て多様な活用が見込める加工原料に仕上げた。
福島町の有限会社ヤマキュウ西川水産(湯浅哲社長、電話0139・47・2139)は、イカのとんび(口ばし)を有効活用した商品などの展開で、新ブランド「ウエマチストア」を立ち上げた。商品形態、パッケージなどターゲットに応じて新機軸を創出。訴求力を高めて販売拡大に取り組んでいる。本体のヤマキュウ西川水産はスルメなど乾物卸に特化。「ウエマチストア」は冷凍食品・加工品などを展開していく。「上町」は地元で昔から呼ばれている会社所在地の集落名で「小さい町の小さい集落から新しいものを発信していくという意味を込めた」と湯浅社長。また、今後、水産以外の素材を使った商品開発も計画しており「ストア」と名付けた。
東京都・豊洲市場の北海道産新物いくら消流は、異次元の値上がりで仲卸業者や来場者が混乱している。10月中旬の卸値は北海道標津の上級品でしょうゆがキロ1万9千円、塩が3万円。しょうゆは今後の集荷で2万円に達する見通し。記録的大不漁は予測されていたものの、想像以上の高騰に新物を扱う仲卸は困惑。年末商戦の販売計画の見直しを進めている。標津の商材を扱う仲卸はしょうゆの1パック500グラムを9500円で仕入れ。「次回の入荷はキロ2万円になる。今期の新物は超高級すし店でしか扱えない。最近増えているカジュアルな高級店では赤字になる」と指摘する。
古典落語にちなんで毎年秋に開かれている「目黒のさんま祭り」が12日、東京・目黒区で開かれ、気仙沼市から届いたサンマが振る舞われた。今年のサンマは豊漁や大型など事前の評判が良く、「この日をずっと楽しみにしていた」と待ちわびていた区民も。物産展など区民祭りとの共催で、区の友好都市である気仙沼市は各所にブースや催しを設けるなど、産地と消費地の交流の絶好の機会となった。お祭り全体で前年を上回る4万8千人が来場し、秋の味覚を楽しんだ。