宮城県南三陸町でワカメ養殖を手掛ける漁業者グループ「BN有機藻類研究会」はこのほど、藻類では東北初となる日本農林規格「有機JAS」の認証を取得した。農薬や化学肥料に頼らずに生産された食品であることを認証する制度で、将来的には健康意識の高い欧州など海外への売り込みも視野に入れる。海洋環境が厳しさを増す中、生産するワカメのブランド化を図り収益向上や地域漁業の振興につなげたい考えだ。
第27回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」(一般社団法人 大日本水産会主催)が20~22日、東京ビッグサイトで開催される。出展は前年を上回る650社、1592小間で、出展小間は過去最高の規模となる。「コミュニケーションとイノベーションで創造する『ぎょしょく』の未来」を開催テーマに掲げ、魚食拡大の取り組みや商談機会の創出のほか、業界を明るく導く最先端技術が体感できる3日間となりそうだ。
羅臼漁協の春定置が8月10日に終漁した。主力魚種ではトキサケが今年も不振。ブリは4日現在の集計で数量が前年を3割下回っているものの、単価上昇により金額は2割増となっている。
4日現在でトキサケの数量は、低調だった前年を65%下回る2.2トンに低迷。金額は71%減の805万円、キロ平均単価は17%安の3646円。
道東沖のマイワシ棒受網漁は水揚げが7月末現在で前年同期の2割台と大幅な減産で推移している。序盤漁場の釧路沖で漁が続かず、6月後半から移動した落石寄りも苦戦。組成も近年の小型化が続き、生鮮向けに加工業者が切望する100グラム以上とかけ離れた50~60グラム主体。関係者は道東沖に滞留する暖水塊の影響や資源量と回遊域の相関などの要因を推察し、北上群の先行きを注視している。
水産庁が7月29日に発表した北西太平洋(道東~常磐海域)のサンマ長期漁海況予報によると、今年の漁期(8~12月)を通した来遊量は昨年並みの低水準。10月上旬ごろまでの漁期の前半は昨年を下回る一方、後半は昨年を上回る予測。また、小売店の生鮮売り場に並ぶサイズの1歳魚の漁獲物に占める割合も昨年並みだが、体重は昨年を上回る見通し。分布が昨年は日本に近い1区中心だったのに対し、今年はより沖合の2区が中心で、商戦は尻上がりの展開も想定される。
福島県浪江町の株式会社かもめミライ水産(大澤公伸社長)は、マサバを付加価値の高いブランド魚として安定生産しようと陸上養殖技術の確立に取り組んでいる。「福の鯖(ふくのさば)」と名付け、今年4月に初めて出荷した。食中毒の原因となるアニサキスの寄生を限りなく低減した生食可能なマサバは町の新たな名産として期待を集めており、大澤社長は「天然魚を超える養殖魚を生産したい」と意気込む。
国産サンマのブランド価値を高め消費拡大につなげる「日本産さんま推進プロジェクト」が7月1日に発足した。全国サンマ産地市場流通連絡協議会の下部組織として設立され、発起人である気仙沼魚市場買受人協会の阿部泰浩理事長(株式会社阿部長商店代表)が代表に就任。阿部代表は設立理由について「産地が連携し交流を深めることで需要の底上げにつながる」と説明する。日本国旗をイメージした日の丸の中をサンマが泳ぐプロジェクトのロゴマークは国産の魅力を力強く表現した。阿部代表は「日本産のサンマは近年、マーケットでの存在感が薄れつつある」と危機感を募らせる。以前は「鮮魚をはじめ冷凍や干し、缶詰など加工製品が一年を通し店頭に並び、日本の魚食文化の象徴といえるほど食卓になじみの深かったサンマだが、近年は旬の時期だけ注目される魚種になってしまった」と説明。「他魚種の商品が増える中、常に売り場にある魚種に戻していかないと消費は回復しない」と続ける。
東京都・豊洲市場のマイワシ消流は千葉県・銚子産が主力の展開となっている。昨年は北海道産と青森産が中心だったが、今年は安定供給に加え、数年ぶりに脂の乗りが良く、青魚の主役の座を獲得している。銚子産の組成は90~100グラム中心。入荷状況にもよるが、相場は良品の4キロ38~40尾がキロ800円。取り扱う仲卸業者は「近年は脂が薄い状況が続いたが、今夏は脂がある。北海道産の同サイズと比べて銚子産の方が安く、近場なだけに鮮度も高い」と評価している。
サロマ湖3単協(湧別・佐呂間・常呂)で稚貝の仮分散が始まった。採苗器の付着は良好で、成長も良く、十分な数量を確保できる状況。採苗不振で苦戦した昨年とは異なり、3単協とも7月後半から例年通りに開始した。一方でシュウリガイ(ムラサキイガイ)など付着物が多く、高水温の傾向にあるため、慎重な作業を心掛けている。
礼文島の天然コンブ漁が最盛期を迎え、自由操業での採取が進んでいる。今季はナギや天候に恵まれない日も多いが、島全般的に繁茂状況が良く、着業者は「順調に水揚げできれば」と力を込める。