今年の秋サケ商戦を展望する一般社団法人北海道水産物荷主協会(会長・長谷川博之株式会社イチヤママル長谷川水産会長)主催の第47回全国サケ・マス・魚卵大手荷受・荷主取引懇談会が5日、札幌市のホテル・グランドメルキュール札幌大通公園で開かれた。前代未聞の低生産、超高値形成が想定される来遊予測を踏まえ、消流安定の活路を意見交換。親製品は生鮮消化や高付加価値化、国内加工への回帰などが示された。一方、キロ1万円超の警戒感が漂ういくらは産地と消費地の情報共有で需給・流通動向を見極めた冷静対応などが糸口に挙がった。
オホーツク海沿岸の漁場造成を含む7月末水揚量は、前年同期比10%減の14万4380トンとなった。北部が10%減6万730トン、南部が10%減8万3650トン。計画全体の達成率は54%。紋別、常呂漁協が2万トンを超えている。歩留まりは全域的に10%前後と低く、組成も小型傾向となった反面、堅調な海外需要を背景に浜値はキロ300円台~200円台後半と昨年の約1.5倍に伸長している。
羅臼漁協の天然コンブは、3月に接岸した流氷の影響で陸側漁場の資源状況が芳しくない。8月に入って自由操業での採取が進んでおり、着業者は「出漁日数は順調。少しでも多く水揚げできれば」と力を込める。7月22日にスタート。同月7回、8月は7日現在で6回と順調に出漁。約130人が着業する。
厚岸漁協の青ツブ主体のツブかご漁が7月1日に始まった。つぶ漁業部会湖内班の林敏昭班長(速風丸)は息子・諒さんと操業し、日量平均200キロを水揚げ。「ハシリは漁も値段もあまり良くなかった。時季にもよるが、資源は総体的に若干減り気味」と話す。厚岸湖内を漁場に湖内班の3軒が着業。かご数は上限200個、青ツブの漁獲サイズは班で自主規制を設け、殻長8センチ以上に設定する。
網走湖で漁獲する西網走漁協のシジミ漁は、序盤から好調に推移している。後続群が潤沢で水揚量が増加し、販路も拡大したことで、多い時は昨年の約2倍となる1人当たり日量140キロを出荷している。漁期は5~10月。噴流式じょれん底引網で37軒が着業。規定殻幅は14ミリ以上。年間計画は500トンで昨年より100トン上乗せした。6月末水揚量は前年同期比89%増の223トン。7月も好調な水揚げを継続している。
アウトドア企業のパタゴニア日本支社(神奈川県横浜市、マーティ・ポンフレー支社長)は7月23日、東京都内で開催したシンポジウムで、日本の沿岸環境再生を目指すプロジェクト「Ridge to Reef(リッジ・トゥ・リーフ)」の始動を発表した。環境省との協定に基づき、山から海まで一体的に捉える「流域思考」で海洋環境の回復を図る。同シンポジウムで浅尾慶一郎環境相とマーティ支社長が「流域の視点からの沿岸生態系の再生を通じた里海づくりの推進に関する協定書」に署名した。マーティ支社長は「陸と海のダイナミックで有機的なつながりを認識することが重要。官民が連携することで、長期的な環境目標の達成に向けた取り組みに勢いを与える素晴らしい事例になる」と強調した。
浅尾環境相は「連携協定の締結により、取り組みの相乗効果が発揮され、里海づくりのさらなる広がりにつながることを期待している」と述べた。環境省が推進する「戦略的『令和の里海づくり』基盤構築支援事業」と連携し、パタゴニア側は全国12カ所のパイロット(試験)事業地で実証実験を予定している。
岩手県水産技術センター(釜石市)は7月30日、2025年度(9月~来年2月)の県沿岸への秋サケ回帰予報を発表した。予測値は尾数で3万3千尾、重量93トンで、いずれも人工ふ化放流事業が本格化した1984年度以降で最低だった前年度から2割程度減少する見込み。東日本大震災前の3カ年平均(2008~10年度)の0.4%程度とした。回帰時期は10月下旬と12月中旬を中心に9月下旬~1月中旬と見込む。
宮城県南三陸町でワカメ養殖を手掛ける漁業者グループ「BN有機藻類研究会」はこのほど、藻類では東北初となる日本農林規格「有機JAS」の認証を取得した。農薬や化学肥料に頼らずに生産された食品であることを認証する制度で、将来的には健康意識の高い欧州など海外への売り込みも視野に入れる。海洋環境が厳しさを増す中、生産するワカメのブランド化を図り収益向上や地域漁業の振興につなげたい考えだ。
第27回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」(一般社団法人 大日本水産会主催)が20~22日、東京ビッグサイトで開催される。出展は前年を上回る650社、1592小間で、出展小間は過去最高の規模となる。「コミュニケーションとイノベーションで創造する『ぎょしょく』の未来」を開催テーマに掲げ、魚食拡大の取り組みや商談機会の創出のほか、業界を明るく導く最先端技術が体感できる3日間となりそうだ。
羅臼漁協の春定置が8月10日に終漁した。主力魚種ではトキサケが今年も不振。ブリは4日現在の集計で数量が前年を3割下回っているものの、単価上昇により金額は2割増となっている。
4日現在でトキサケの数量は、低調だった前年を65%下回る2.2トンに低迷。金額は71%減の805万円、キロ平均単価は17%安の3646円。