つくだ煮や塩吹きを中心に製造販売する株式会社浪花昆布(神戸市、小濱敬一社長)は、2月にスコットランド・グラスゴーで開催された「ミシュランガイド2025授賞式 イギリス・アイルランド」のパートナー企業となり、世界的人気を誇る日本食に欠かせない昆布やだしの魅力を発信。試飲・試食を通しトップシェフらに昆布の持つうま味や味わいを伝え、新たな料理表現が生まれる機会を創出した。
道水産物検査協会がまとめた2024年度の道産コンブ格付実績は、前年度比33%減の8213トンと過去最低に落ち込んだ。渡島や日高、釧路、根室、宗谷といった主要地区が軒並み過去最低を更新。太平洋側を中心に23年の記録的高水温で採取対象となる資源が減少したことなどが影響した。道内全体の格付実績は減少傾向が続き、19年度以降4年連続で過去最低を更新、22年度はピークだった1989年の約3割となる1万970トンまで低迷した。23年度は1万2245トンと低水準ながら5年ぶりの増産に転じたものの、24年度は初めて1万トンを割り込む異例の大減産となった。
えさん漁協の養殖は、生育を促すため株密度(コンブの本数)を調整する間引き作業が行われている。各地区の部会長によると、促成マコンブはおおむね順調。一方、ミツイシは芽落ちが散見し予備コンブを活用して回復を図った。
各種昆布製品を加工販売する株式会社マツモト(大阪府堺市、松本紳吾社長)の「とまらないふりかけ」が継続的な人気を誇っている。「北海道お土産グランプリ」(FMノースウェーブ主催)で2年連続金賞を受賞、テレビ番組でも取り上げられ直営店・ECともに売れ筋商品のひとつに。比較的若い年齢層からも好評を得ている。
道産コンブの大減産と価格高騰により、消費地にも大きな影響が及んでいる。加工メーカーは原料を必要分手当てできず、原材料に加え物流費やエネルギー費などの上昇も相まって休売や終売、値上げを余儀なくされているほか販売にも苦慮。問屋在庫も乏しく「玉がなければ商売にならない」と頭を抱える。関係者は今夏の生産回復を切望している。
函館市が事業主体となる函館マリカルチャープロジェクト(内閣府「地方大学・地域産業創生交付金事業」)のイベント「-次世代へつなげる価値と魅力『函館真昆布』-」が1日、函館市民会館小ホールで開かれた。昆布関係者や市民ら約150人が参加。老舗レストランを経営する株式会社五島軒(函館市)の若山豪社長が主力のレトルト商品「函館カレー」に函館真昆布だしを使いリニューアルした経緯などを話したほか、関係者によるパネルディスカッションでは食材や研究の視点から魅力を語り、次世代に残していくための課題を示した。
日本昆布協会(吹田勝良会長)は2月26日、理事会を開き、北大北方生物圏フィールド科学センターの四ツ倉典滋教授が取り組む環境耐性株の育種を柱とする研究に対し奨学寄付金(300万円)を提供することを決めた。
財務省の通関統計によると、2024年の食用干し昆布の輸出数量は前年比33%減の338トンと過去10年間で最も少なかった。主力の台湾が同3割減少。主に流通する釧路産ナガコンブの大減産などが影響した。
総務省の家計調査によると、昨年1年間の1世帯(2人以上)当たりの昆布購入金額は、富山市(前年比4%減1618円)が全国主要52都市の中で最も多く、3年連続全国一を堅持した。昆布つくだ煮は福島市(同43%増2209円)が前年6位から順位を上げトップに。両品目ともに上位は近畿、北陸、東北の都市が大半を占めた。
戸井漁協小安地区は4年前に促成養殖で成熟誘導技術(人工的に子のう斑を形成させる技術)を他地区に先駆けて導入。高水温下の2023年も採苗遅れはなく、導入以降は毎年安定した種苗生産を行えている。従来より沖出し時期が前倒しされ海面養成期間を長く確保できるため、着業者は生育面でも効果を実感している。