本場折浜の促成マコンブは6月が天候に恵まれ順調に収穫が進行、順次終漁している。生育状況はばらつきがあるものの、昨年に比べて毛(ヒドロゾア)の付着が少なく増産を見込む浜もある。ただ、間引き時期などに付着が散見したコンブノネクイムシによる脱落の影響が残り減産となる着業者もいる。
道漁連は4日、道昆布事業協同組合の総会で、本年度の道内コンブ生産予想を、昨年度実績(1万2245トン)比20%減の9812トンと発表した。過去最低だった2022年度実績(1万970トン)を下回り、初めて1万トンを割り込む記録的な不漁となる見通し。地区別では日高や釧路、根室の太平洋側で繁茂状況が悪く大幅な減産が予想される。
昨年4月に設立50周年を迎えた株式会社寺島商会(函館市、寺島達則社長)は、漁業者の声を参考に利便性や作業効率化などを追求したコンブ関連機器を製作販売。最近では主力の洗浄機で作業負担を軽減できるコンパクトタイプの新型を打ち出したほか、コンブの巻き取り機も製作。また、曲げ・レーザー両加工機の導入で板金加工の精度向上を図ったほか、多様な部品・文字看板などの製作も新たに手掛け関係先に提案している。
釧路市東部漁協のさお前コンブは6月27日に初水揚げ。翌28日の操業で計画日数の2日間を消化し終漁した。雑海藻が繁茂する一方、全般的にコンブの資源状況は薄く着生漁場に船が集中。実入りなど生育状況は漁場でばらつきがあった。
農業生産法人の株式会社流山(七飯町、宮本英樹代表取締役)が運営する積丹町の積丹しおかぜ羊牧場は2020年から東しゃこたん漁協の美国地区浅海部会や積丹支所青年部のウニ養殖用ホソメコンブを羊の飼料に活用し羊肉のブランド化を推進している。ウニと藻場の循環型再生産・積丹方式による持続可能な漁業の一端を担い、水産と畜産の連携に取り組んでいる。
道東の今年のコンブ採取がさお前を皮切りに始まった。ただ全般的に資源量が乏しく、歯舞・落石・根室の3漁協が着業する貝殻は例年に比べて解禁日を半月遅らせたほか、釧路管内は3漁協が中止となる異例の操業体制となり大幅な減産が見込まれる。漁場には雑海藻が広く繁茂、コンブが着生する場所は限定的で、7月に始まる成コンブ漁も厳しい操業が予想される。
道水産物検査協会(小倉啓一理事長)は14日、札幌の第二水産ビルで通常総会を開き、本年度の事業計画を決めた。主軸のコンブ格付数量は昨年度実績比5.3%減の1万1600トンに設定。オホーツクから太平洋沿岸にかけて流氷が接岸した影響や、全道的に天然の繁茂状況が懸念されることなどを踏まえて計画した。
えさん漁協尻岸内地区の養殖コンブは、5月25日にミツイシの収穫が始まり、生産作業が本格化している。昨年の採苗と種付けする時期が遅れたものの、大きな影響なく生育。実入りも順調に進み、着業者は今後のさらなる成長に期待を寄せている。
羅臼漁協昆布青年会(佐野亘会長)は昨年、羅臼昆布を粉末化した商品「羅臼昆粉(こんぷ)」を開発した。原材料は昆布のみで天然、養殖の2種類を瓶詰めで展開。料理に混ぜたり、ふりかけて使える。購入者から「おいしい」と応援する内容の手紙が届くなど反響もあり、佐野会長は「積極的にPRしていきたい」と力を込める。
前浜資源の維持・増大に欠かせない海藻藻場。増毛漁協(石田和夫組合長)は2004年から海中に鉄分を供給する日本製鉄株式会社の鉄鋼スラグ製品「ビバリーユニット」の設置に取り組んで、磯焼けで減少したコンブ漁場の再生・回復の効果を実感している。22年にも設置地区を拡大した結果、藻場造成を確認。22年度に引き続き、今年3月19日にJブルークレジットとして認証された。