道総研さけます・内水面水産試験場は6月28日、今年の北海道の秋サケ来遊数予測値を昨年実績比8.5%減の1677万2千尾と発表した。予測通りの場合、平成以降最低。加えて近年の若齢化傾向による平均目廻りの小型化が続けば、沿岸漁獲量は重量ベースで4万トン台前半。3年連続の5万トン割れで、秋サケの生産・加工流通は依然厳しい局面が懸念される。
小樽市漁協のウニ漁は海藻の繁茂状況が芳しくなく、特に赤(エゾバフンウニ)の数量が伸び悩んでいる。着業者は「赤が全然見えない」と嘆く。一方で、浜値は堅調に推移している。6月16日以降はコロナ禍による出荷調整などのため、昨年同様に例年よりも1時間短い3時間の操業。解禁日の5月15日から6月15日までは2時間と短縮していた。高島地区の成田学指導漁業士は「6月の操業回数は例年と同じくらい」と説明。ただ「今時期は白(キタムラサキウニ)が多いが、それにしても赤がいない」と話す。身入りは「個人的には赤、白ともまずまずと感じている」と続ける。
宮城県漁協(寺沢春彦組合長)は6月30日、塩釜総合支所で2021年度通常総代会を開き、当期剰余金1億1365万円(前年度比55%減)を計上した20年度業務報告を承認した。新型コロナウイルス感染症による需要減退が直撃し、販売事業が落ち込んだが9期連続の黒字を確保した。
「第40回全国豊かな海づくり大会~食材王国みやぎ大会」の開幕まで100日となった6月25日、県庁で記念イベントがあった。海洋プラスチックごみ問題を考えるシンポジウムや県警音楽隊のミニコンサート、県内特産品の販売などを通して全県的な機運醸成を図った。
札幌市の株式会社ケイアイフーズ(渡辺浩社長、電話011・787・5975)は新たな商品・販売戦略に乗り出している。第1弾で取扱品目の昆布など海産乾物を組み合わせた「炊き込みご飯の素」シリーズを商品化。土産品ルートなどに加え、ネットショップでメニュー提案と併せて簡便・時短調理の需要などに売り込んでいる。
漁業者を中心とする団体「ブルーフォーラム」は持続的な漁業の実現と、それを目指す漁業者の地位向上に力を入れている。エンジンオイル製造販売の株式会社フューエルエフィシエンシーが全国の漁業者に声を掛けて結成。メンバーの収益向上、操業コスト削減、資源保護の後押しなど多面的に支援する。参加人数は7月1日時点で約300人。メンバー同士で情報共有しながら、漁業を通して環境への配慮や社会貢献に向けて活動している。毎週金曜日にオンライン会議を開き、団体や同社が進める取り組みについて話し合っている。
1日付で就任した水産庁の神谷崇長官と倉重泰彦次長、渡邊毅漁政部長らは同日会見し、今後の方針や抱負を語った。水産改革や漁業法改正、不漁問題、コロナ禍への対応など課題が山積する中での新体制スタート。「水産庁の考えを浜に、漁業者一人一人に理解してもらえるよう努めていく」と語り、漁業者の所得が向上し、加工・流通業者は円滑に事業を行えるよう、各施策に取り組んでいく。
歯舞漁協所属「共栄丸漁業部」の宮下道博さんが考案した海獣対策の「定置網用仕切網」が昨年、実用新案に登録された。たまり網の中ほどに設置することで、網内部が前・後部に分かれ、仕切網の目合いを通過できる魚だけが後部にたまる仕組み。海獣は後部へと浸入できず、漁獲物の食害軽減につながる。宮下さんは2年間の試験導入で「アザラシによる被害が大幅に減った。漁獲量への影響もなく、むしろ伸びた網もある」と効果を実感する。
昆布森漁協仙鳳趾地区のホッカイシマエビかご漁は、出足低調だった後上向き基調に転じた。中サイズ主体の組成。着業者は「これからが本番」と話し、今後の盛漁に期待を込める。
斜里第一、ウトロ両漁協の春定置はサクラマスが出足中心にまとまった一方、トキサケが不振だった昨年を下回る水揚げで終盤を迎えている。ニシン、ホッケ、スケソなど他魚種も低調だった昨年よりは獲れているものの、浜値は安値基調。漁場差もあり、盛り上がりに欠いている。