水産研究・教育機構の開発調査センターは、不漁対策の一環として、大型サンマ漁船によるアカイカ釣の兼業試験を実施した。漁獲量の面では兼業は可能であると見込まれ、今後採算性について評価していく。
北海道定置漁業協会(馬場浩一会長)は23日に網走地区から毎年恒例の現地対話集会をスタート。7月8日にかけて全道8カ所で開催し、今年の秋サケ定置漁解禁を前に、全道の定置業者らに資源状況、定置経営の現状と課題、消流動向と流通対策事業(次号以降に詳報)、漁業共済と積立ぷらすの事業推進について情報提供。意見や提言を受けていく。25日は帯広市で十勝・釧路地区対象に開催。馬場会長はあいさつで「秋サケは北海道の水産業にとって大変重要な資源。試験研究機関、関係機関の支援をいただきながら道増協と連携して資源の早期回復・安定に向けた取り組みを進めるとともに、国や関係機関に定置漁業の経営安定に向けた諸制度の維持・改善などの働き掛けを強化していく」と強調。また、消費流通、国が進める新たな資源管理への対応などの課題に対し「諸活動を進めていきたい」と協力を呼び掛けた。
東京・豊洲市場で23日、北海道噴火湾産毛ガニの取引が始まった。1尾600グラムで卸値がキロ1万8千円の高値で始まり、一部の仲卸は仕入れを断念。毛ガニは全体の相場が上昇しているため、夏のギフト需要が低迷し、飲食店のコース料理など客単価の高い販路に流れている。
根室市の株式会社兼由(濱屋高男社長、電話0153・27・2231)は、レトルトパウチ・煮付けシリーズの順調な売れ行きが続いている。2008年からサンマを皮切りに道産主体に魚種、味付けのバリエーションを増やし、シリーズ累計販売数は23年で2千万パックを超えている。一昨年にスケソ2種類、昨年にサケ3種類を投入し、総アイテム数は30種類に拡充。今年は道内で水揚げが定着してきたブリで4種類を発売予定。
後志管内沿岸のウニ漁は、赤(エゾバフンウニ)の出荷量が大幅に減少した昨年に比べ若干増加傾向にあるものの依然漁獲量は少なく、白(キタムラサキウニ)のみを漁獲する着業者が大半を占める。「今季はそれなりに身入りが良い」とし「あとはコンブで見えていない所にどれくらいあるか」と今後の漁況を注視している。
枝幸漁協のナマコ漁が始まった。昨年と変わらず漁獲許容量(ノルマ)は1隻7トン。初日の水揚げから地区間差が見られたものの枝幸地区では1隻400~500キロと上々のスタート。各自で乾燥作業を行い、10月後半に製品出荷していく。ナマコけた漁は14隻着業。漁獲サイズは110グラム以上。今年の漁期は6月16日~8月3日。資源保護のため8月末の漁期を短縮し毎年8月1週目に終漁。10月20日ごろに「枝幸産北海キンコ」のブランドで出荷する。
白糠漁協の丘ツブかご漁は水揚げに漁場間差があり、下側で操業する船が灯台ツブの日量ノルマを揚げるなど比較的順調な漁模様で推移している。浜値は毛ツブがキロ200円台と高く、着業者は「昨年の倍くらい」と話している。
紋別漁協所属・紋別共同定置(代表・飯田弘明組合長)の第2グループ(代表・大澤眞人副組合長)で稼働する新造船「第五翔運丸」(19トン、FRP)がこのほど竣工した。船体の大型化、ユニックの増基に加え油圧、給排水などのスイッチ盤を3カ所に配置するなど作業性、機能性が格段に向上。定置船の漁船リース事業活用は4隻目となる。6月2日に母港・紋別港でお披露目。大勢の関係者が見守る中、餅まきを行い安全操業を祈願した。
浜中・散布両漁協のさお前コンブ漁は20日に計画日数を消化し終漁した。昨年は資源状況が悪く操業を断念したため2年ぶりの採取。着業者は「順調に採れて良かった」「コンブが揚がると浜に活気が出る」と笑顔を見せる。浜中漁協は6月15日に解禁し19、20日と続けて操業した。山﨑貞夫組合長は「計画の2日間操業でき、2年ぶりにさお前を揚げられて良かった」と安どする。
福島県葛尾(かつらお)村でバナメイエビの陸上養殖を手掛ける「株式会社HANERU(はねる)葛尾」(松延紀至社長)は24日、3年間の試験養殖期間を経て初めての商用出荷を開始した。同社によると陸上養殖したバナメイエビの事業ベースでの出荷は東北初。初回出荷量は約4千尾で、年間3万尾を目標とする。当面は県内の飲食店などと直接取引する。被災地復興に弾みをつける新たな特産品として期待される。