噴火湾加工貝の2024年度シーズンは、7単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部・いぶり噴火湾)合わせ前年度の若干増となる6万トンに達した。その5割強がボイル向けとみられ、製品ベースでは昨年並みの9千トン近い生産が見込まれる。相場はNET800グラムで2千円台前半と高値圏。玉冷の半値以下だが、値ごろ感につながるかは微妙な状況だ。
国内外の減産や為替相場、堅調な米国需要を背景に、玉冷や活貝輸出が製品相場を押し上げた結果、国内需要が大幅に冷え込んでいるホタテ。末端の量販店では売価を上げざるを得ない状況下、ホタテ以外の貝類に注力する動きも見られる。北海道の末端流通や首都圏の消費動向、今後の展開について探った。
昨年の全道にわたる採苗不振の影響で、留萌管内4単協(増毛・新星マリン・北るもい・遠別)の2025年稚貝生産量は前年比49%減の5億9200万粒と苦戦した。一方、今年の採苗状況は例年並みとなり、サイズも良好なことから必要量を確保できる見通し。また今年も高水温が懸念されており、着業者は「早い時期に分散できるのは稚貝にとって良いことだが、本分散までの垂下期間が長くなる分、夏場の管理に注意したい」と気を引き締める。
陸奥湾の主力・半成貝の水揚量は、4~6月で前年同期比30%減1万4千トンと大幅に減少した。2023年から続く親貝不足の採苗不振に加え、昨年の高水温、餌不足に伴う分散後のへい死が影響。浜値は初回入札から最高値を更新し、4回目にはキロ500円と過去最高値を付けた。さらに新貝は「皆無の状況」(青森県漁連)。原料不足からベビー製品の相場が押し上がっている。
三陸産ホタテは、ALPS処理水の海洋放出を巡る中国の禁輸措置の影響、温暖化を背景とした高水温によるへい死が相次ぐなど苦境が続く。2024年度の共販数量は宮城県が前年度比45%減の2942トン、岩手県は同68%減の496トンと、いずれも前年を下回る大幅な減産となった。 共販金額は宮城が前年比65%減8億5778万円、キロ平均単価は36%安290円。中国の禁輸措置による価格低迷、高水温による数量減産が響いた。岩手は57%減4億4487万円。キロ平均単価は898円だった。
佐呂間漁協は今春、干貝柱工場の一番煮熟工程をボイラー式から株式会社タイヨー製作所(北斗市)のボイルスチーマーに切り替えた。立ち上げの時間短縮や汚水処理の軽減、品質向上と、さまざまな効果を発揮している。これまで年間1400~1500トンだった原貝の処理量は、今年1650トンに増産する計画だ。
利尻漁協の天然コンブ漁が7月上旬に始まった。資源状況が良好な地区もあり、順調に採取が進むと増産が期待されるものの、ナギや天気に恵まれない日が多く、着業者は今後の海況と天候の安定を願っている。鴛泊・鬼脇両地区は7月5日、仙法志・沓形両地区が10日に解禁。25日現在、鬼脇地区以外が旗操業で2回採取した。
利尻漁協のバフンウニは、資源状況が芳しくなく水揚げは苦戦、浜値が高騰している。シケの影響で出漁できない日も多く、25日は鴛泊地区でキロ9万円(むき身)の「過去最高値」(同漁協)を付けた。着業者は「今年は驚くような値段を付けているが漁がなさすぎる。むき身で1キロ出荷できない日もある」と話す。各漁家が水揚げ後に殻をむき、身をざるに乗せて各集荷場に出荷。6月末までの集計で、数量は昨年同期比21%減の1.8トン、金額は1%減の8444万円、キロ平均単価は25%高の4万7551円。
ひやま漁協瀬棚支所のウニ漁(ノナ採り)は北、南、太櫓の3地区で操業。出漁すれば一定量は採れているものの、シケなどの影響で操業回数に浜間差が生じている。6月4日に開始。各地区の操業回数は、16日現在で瀬棚支所根付部会の南地区(43人)10回、北地区(21人)7~8回、太櫓地区(16人)20回。最も少ない北地区は「16日時点で昨年に比べ3~4回少ない」と漁協担当者。「そのため日量ノルマを一人40キロから45キロに増やした」と続ける。
明石水産株式会社の資材販売部門・焼津漁具センター(静岡県焼津市、電話054・629・0111)はマグロ一本釣り用疑似餌「マッカレルワン」の改良版「NEWマッカレルワン」を発売した。塗料の変更や新色の5色追加など従来品から3点を改良した。 クロマグロ漁獲枠が増えたことで新規漁業権取得者が増加。同社の新規購入者は前年比約2割増となった。年齢層は30代~50代が中心。地域別では日本海側からの注文が急増。富山県、島根県、北海道、秋田県からの引き合いが目立つ。