水産庁が7月30日に発表した北西太平洋(道東~常磐海域)のサンマ長期漁海況予報によると、今年の漁期(8~12月)を通じた来遊量は漁獲量が過去3番目に少なかった昨年と同等の低水準。また、1歳魚の割合は昨年並み、体重は昨年を下回り、厳しい漁況が続く様相。ただ、日本に近い1区の分布量が昨年より多く、加えて中・大型船が前倒しで出漁予定。商戦の早期本格化と水揚げ増につながる展開が期待される。
岩手県水産技術センター(釜石市)は7月31日、2024年度(9月~来年2月)の県内への秋サケ回帰予報を発表した。予測値は数量4万4千尾、重量136トン。いずれも人工ふ化放流事業が本格化した1984年度以降で最低だった前年度並みで、東日本大震災前(2008~10年度の3カ年平均)の1%にも満たない見通し。回帰の中心は12月上中旬とみる。
羅臼漁協の春定置で水揚げするブリは、漁場間差が大きく組合全体で好調だった前年同期を下回る水揚げ。春は8月10日で切り上げとなるが、昨年は秋にも獲れ、累計で過去最高の水揚げに達しただけに、秋漁での伸長に期待がかかる。
7月下旬に始まった網走漁協のマス小定置で、カラフトマスの水揚げが振るわない。過去最低となった昨年の序盤より苦戦を強いられ、網起こしは週1~2回ペース。一方でエイやシイラの入網が目立っている。海況の変化に困惑している着業者には、親魚の確保や網揚げ規制など、今後に不安を抱く出足となった。
網走漁協のタコ箱が好調だ。各船の水揚量が急増しており、鮮度保持を優先し1隻日量1.8トンのトン数制限を設けている。浜値はキロ900円台後半と好値。昨年より若干下回るものの高値基調を維持しており、水揚げ金額は前年同期比3割増に伸長している。
羅臼漁協の天然コンブは資源状況が悪く減産の見込み。繁茂漁場は限られ、特に下側で悪い。また、7月20日に解禁以降天候や海況にも恵まれず、同月の採取が2回にとどまる厳しい出足となった。8月からは自由操業で水揚げしている。
サロマ湖3単協(湧別・佐呂間・常呂漁協)で稚貝の仮分散が始まった。外海の採苗は昨年より少なく、湖内の付着も低調のため、ふるいから落ちる下のサイズも丁寧に採取している。着業者は「ぎりぎり間に合う程度」と話し、慎重に作業を進めている。
新規就業者の確保・定着には資金や技術習得の支援などに加え、ハラスメント対策やCSR(企業の社会的責任)なども重要要素になっている。また、小・中・高校など学びの場で漁業に触れる機会を得られても就職先はより良い求人条件を求め、別の業界に進むケースも少なくない。漁業人口や生産量の減少が止まらない中で、若者をはじめ就業志望者は業界の宝。担い手確保や育成を担う各機関ではその宝を発掘、未来につなぐため、それぞれの活動に取り組んでいる。全国漁業就業者確保育成センターは、漁業会社や漁業を営む個人(漁師)を対象に“サポーター”と位置付ける一般会員枠を設けている。担い手の確保や育成を目的とする同センターの活動に賛同する会員を募るもので、働き方改革などに取り組む組織・個人が条件。サポーターを巻き込んで漁業界全体で働きやすい環境を生み出す狙いがある。センターのホームページでも紹介。小・零細企業や個人でも、アクセス数の多い同サイトを通じて、就業希望者へ情報発信できる。参加条件に合致したことを公表することで、特に水産高校の教諭や家族が安心して就職を促せるメリットも生み出す。
いぶり噴火湾漁協でミズダコの漁獲が伸び悩んでいる。タコ箱に加え底建網でも苦戦しており、4~6月の水揚量は前年同期比6割減の1トン余りと低調だ。浜値も弱含みの傾向にある。虻田地区でタコ箱に着業する田所信二さんは「春から夏にかけて陸に入る“通りダコ”を狙っているが、小さい子ダコは入っても水揚げできる大きさのタコは6月後半まで見なかった」と話す。6月末に一度まとまり「1はい100箱揚げて久々の10尾。尾数は今年最高。サイズは1尾6~7キロ主体だった」と話す。
根室の花咲ガニ漁は7月10日に始まり、歯舞漁協ではメスの高値でキロ4千円台を付けるなど序盤から強含みの様相を呈している。7隻が着業し、11日に約1トンを初水揚げ。日量は少ない日で600~700キロ、多い日で1.5トンほどを水揚げしている。