礼文島の天然コンブ漁が最盛期を迎えている。香深・船泊両漁協ともに自由操業で水揚げしているが、今年採取対象となるコンブの資源状況は良好だった昨年を下回り、着業者は「生産は大幅に減りそう」と見込む。香深漁協は7月17日に解禁。濱谷厚志さんは「どこもホソメばかり。今年採れるコンブは少なく部分的に繁茂している状況。ハシリは尺忍で採取しコンブはあったが5~6月の日照不足が影響したのか実は薄かった」と振り返る。
渡島噴火湾6単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部漁協)で稚貝採取が始まった。採苗器の付着率は全域的に極めて低く小型のため苦戦を強いられている。漁家ごとに格差もあるが、下のサイズも採らざるを得ない状況。このため陸奥湾から補充する動きも見られる。
東日本大震災で被災した三陸・常磐の水産加工業の販路回復・拡大を後押しする「東北復興水産加工品展示商談会2024」が9月3、4の両日、仙台市青葉区の仙台国際センター展示棟で開かれる。同地域の約130社800アイテムが集結。なじみの前浜ものや水揚げが急増している南方系の魚、フードロス問題解消の観点からも注目の未利用魚などを独自の技で加工した多彩な商品を全国のバイヤーにPRする。
遠洋漁業を営む開洋漁業株式会社(青森県八戸市、河村桂吉社長、電話0178・33・1575)は、キンメダイとムラサキイカ(アカイカ)の消費拡大を目指している。八戸港に船凍品を水揚げしてもキンメは流通範囲が狭く、供給過多の状況。不漁のスルメイカに代わる魚種として需要が高まるムラサキイカとともに味の良さを広く発信し、経営の安定につなげる。
留萌市の株式会社ヤマニ野口水産(小野寺正司社長、電話0164・42・1127)は、主力・珍味の商品展開で新ブランド「RUMOY」(留萌)を立ち上げた。ギフトにも照準を合わせ、風味や食感の中身に加え、斬新なパッケージ、高級感のあるデザインなど見栄えも重視。サケのとば、ジャーキーの5アイテムをそろえ、珍味・つまみの新たな需要層の獲得に取り組んでいる。
株式会社極洋は2024年秋の新商品として、市販用商品8品、業務用商品38品の合計46品を9月1日から順次発表する。外食では人手不足対応、家庭ではタイムパフォーマンスや本格的な食品を求められており、「かんたん・本格!こだわりプラス!」をテーマに商品を開発した。市販用では同社初となる「鍋つゆ」市場に参入する。
閉鎖循環型陸上養殖の水質浄化で課題となる硝酸態窒素の処理。道総研さけます・内水面水産試験場はゼロエミッション化に向け、自然界に排水することなく、生分解樹脂を使って気体窒素に還元する除去技術を開発した。サクラマスの飼育試験では飼育水中に硝酸態窒素が蓄積した環境で飼育した場合、成長やスモルト化(銀化変態)、成熟に影響することも示唆され、飼育魚の成育環境の最適化と併せて道内施設に普及を進めていく。
東京都・豊洲市場のシジミ消流は北海道・大樹産シジミの相場がキロ5千円と同時期に入荷している高価格帯の青森県・十三湖産(2200~2100円)の2倍以上の高値に付いている。毎年調達する固定客を持つ仲卸業者しか扱わない最高級品。仲卸業者は「卸値は年々上がっているが、顧客も増えている」と話す。大樹産は19日と22日の2日間のみ入荷。7月下旬は土用の丑の日でウナギとと共にシジミも「土用しじみ」として需要が高まる時期。販売する仲卸業者は「幻のしじみ」と書かれた付属のポップを付けて大樹産を売り込んでおり「旬にこだわる飲食店が期間限定メニューで提供している。希少性の高さから特別感のある一品に仕上げているのだろう」と推察する。
香深漁協のホッケ刺網は島西側の元地沖などに船が集まり漁場が形成されている。春に比べて漁は減っているものの、着業者は「日量1トンは切れず悪くはない」と話す。投網後数時間で水揚げする日網で操業し高鮮度出荷している。
近年の水温上昇がコンブの生育や品質、種苗生産などに影響を及ぼす中、北大と南かやべ漁協、フジッコ株式会社、理化学研究所の4者が連携し、放射線照射による突然変異誘発技術を用いた高水温耐性株の育種に注力している。昨年9月に海中投入した育種種苗(マコンブ)は高水温下で生育した個体も多く、今年6月段階で通常養殖(促成栽培のマコンブ)に比べて優良な形質を持つものもあった。高水温耐性を持つことで種苗投入期を早められ十分な養成期間を確保できる利点があるほか、収穫期の品質低下や不純物付着を抑制することも期待され、本年度も優良個体を選抜するとともに品種登録も視野に研究を進めていく。