青森県むつ市の川内町漁協(今進組合長)はホタテ付着物の堆肥化処理施設整備を進め、11月21日、稼働開始を予定する。年間500トンを超えるムラサキイガイなどの付着物を、組合員が一般廃棄物として同市の委託施設に預け焼却処理してきたが、処理費用の上昇などから漁協自前で堆肥化し有効利用を図る。
オホーツクホタテけた引漁の水揚量は、北部、南部合わせ10月中旬時点で23万6660トンとなった。前年実績と比べ16%増産。大半の漁協が昨年の水揚げを上回り北部は2割、南部は1割の増。宗谷、猿払村が4万トン、枝幸が3万トンを超えた。9月後半の歩留まりは北部で10~11%台、南部で11~12%台、アソートは大半が4S、5S中心、浜値はキロ170円台~110円台となっている。
いぶり噴火湾漁協の本年度加工貝(2年貝)出荷は、へい死の大量発生で減産が避けられない状況だ。当初計画量は、稚貝の成育悪化で例年より減った耳づり本数を踏まえ、前年度実績より3割減の9250トンと設定したが、これをさらに下回る見通し。「昨季実績から半減する可能性もある」(同漁協)深刻な事態で、着業者は「へい死がまだ止まっていない」と危機感を強めている。
来年1月から本格出荷となる渡島噴火湾の加工貝(2年貝)が一昨年度に続き、またしても大量にへい死している。6単協(長万部、八雲町、落部、森、砂原、鹿部漁協)とも8月から9月にかけて多発しており、来年は、ある程度回復した昨季の水揚量を下回る可能性が高い。ここ数年続いている不安定な成育に関係者は頭を抱えている。
日本海のかご養殖で成貝のへい死が数年続いている。寿都町漁協では今年も多発しており、水揚量は昨年に続き50~60トンと低水準の見通し。小樽市漁協や留萌管内でも増加傾向にあり着業者は頭を抱えている。
岩手県南部でホタテの採苗分散が進み、稚貝の不足する浜が多くなる。採苗器への付着が少なく、稚貝の成長を待ったり、目合いの小さなふるいで選別し確保に懸命だ。コツブムシ(ウミセミ)の食害も示唆される。分散作業がほぼ終わった唐丹町漁協では「予定の半分」。南部一帯で余剰は見込みづらく、補充は難しくなる。
噴火湾一帯で、採取したばかりの稚貝が大量にへい死している。地区間で差はあるものの、特に深刻なのがいぶり噴火湾漁協の虻田、豊浦、礼文地区。漁業者によると仮分散後の8月末時点で1漁家当たり8~9割が死滅しているという。渡島管内6単協でも例年以上のへい死を確認。このため全道各地の養殖漁家から緊急調達する動きが相次いでいる。
4、5日に発生した台風21号で、鹿部漁協の一部のホタテ養殖施設が被災した。切断したけたや脱落・絡まった耳づりなど計32台が被害に遭い、復旧不可能な施設を7、8日に台船で引き上げた。渡島総合振興局によると出荷できないホタテを合わせた被害総額は6300万円に上る。
陸奥湾で全自動ホタテ耳吊機「TEC─3」を導入した漁業者の評判が一段と高まっている。へい死が増えた昨年以降、手で差し込む耳づりよりも成長・生存率が良いためだ。機械化に伴う作業効率の向上やコスト削減効果に加え、貝にも優しい機械であることが分かってきた。「もう手差しには戻れない」と口をそろえる使用者。導入効果を実感する声が相次いでいる。
宮城県のホタテで中心となる移入半成貝養殖に経営の厳しさが増している。貝毒規制が深刻なへい死に拍車をかけ、価格の低下ももたらしているためだ。養殖存続が危ぶまれかねない生産者が増えている様子で、11月から活発化する今季移入は数量のいっそうの減少が必至。代替となる地種や移入当年貝、越冬貝も模索される。