イカ、マグロを主力としてきた函館市の(株)道水(髙野元宏社長)は、ホタテの玉冷製造に乗り出した。付加価値の向上を求め、全国初となる「スチールベルト式プロトン凍結機」を導入。高品質な冷凍品の量産で後発の弱さを克服し、生魚から冷凍主体の売り場に舵を切った首都圏・量販店の動きにも対応する。原貝ベースで年間2千トンの処理を目指し国内外に良質な玉冷を提供していく。
米国輸出の鈍化で国内消費が焦点となるホタテ玉冷は、4S以下を中心に量販店や回転ずしチェーンの消化が順調だ。北海道では大容量パック主体に売り場を拡大。100グラム298円の特売も見かけるようになってきた。一方本州量販店は納品先によって拡販に差があるようだが、総体的に「内販1万トン強の消化は可能な数字。回復傾向にある」とみる関係者が大半を占めている。
オホーツク海南部の本操業は8単協(雄武、沙留、紋別、湧別、常呂、佐呂間、網走、西網走)合計で5万5000トンを水揚げした。7月末達成率は47%。沙留、西網走が5割超え。歩留まりは11~12%台と例年より低く、アソートは5S、4S中心。値決めはキロ140円台~120円台で推移している。
噴火湾で稚貝を採取する採苗作業が終盤を迎えている。今年は全湾的に小型傾向。比較的十分に採取できたが、必要分を確保するのがやっとだった地区も。1分以下のふるいを使った漁業者が多く、8月中旬の仮分散は成長の進み方次第で例年より多少遅れる可能性もありそうだ。
留萌管内で稚貝の仮分散作業がスタートした。4単協(増毛、新星マリン、北るもい、遠別漁協)とも昨年より多く付着し、成長も早く大型傾向。1分2厘~1分5厘のふるいで始める地区が多い中、増毛は過去に例のない2分で開始。どの地区も十分に確保できそうだ。
青森県はこのほど、陸奥湾養殖ホタテの本年度春季実態調査結果を公表した。2017年産のへい死率は平年値をやや下回ったが、異常貝率は調査を始めた1985年(昭和60年)以降3番目に高い数値となった。県は夏季の高水温に加え潮流にも注意した養殖施設の安定化や収容枚数の適正化を促している。
渡島噴火湾で来季に出荷する加工貝の耳づり作業が終了した。本数は各浜で異なるが「開始当初の見込みより下げることができた」と話す漁業者も少なくない。今後の成育次第で来季の出荷量が左右されるため、漁業者は天候に注意しながら安定した海況となることに期待している。
いぶり噴火湾漁協の伊達地区でホタテ養殖を営む佐藤三男理事は、一昨年から酸素濃縮装置を導入し、耳づり作業の一時保管に使用している。春定置では活魚出荷にも効果を発揮。「生存率や鮮度が確実に高まった」と驚いている。
いぶり噴火湾漁協の本年度加工貝販売計画は、前年度比3割減の9720トンを試算している。3月に始まった耳づり作業は数軒を残しほぼ終了。へい死や変形・欠刻が多く施設に垂下した割合は地区間で差がある状況。漁業者は今後の管理に気を引き締めている。
道ほたて漁業振興協会は本年度、輸出に依存した流通環境から大きな変化が想定されるため、国内消費回復に向け量販店を主体とした迅速な販促対策を重点化。消流刺激策として多様なメディアを活用し普及PRを進めていく。14日の通常総会で事業計画を決定した。一方不在だった会長には常呂漁協の髙桑康文組合長が就任した。