後志管内泊村と古宇郡漁協が取り組む盃漁港カブト地区での海面養殖試験で1日、サクラマス295尾が初水揚げされた。村によると、生残率は約9割と高かった。13日には、別のいけすで養殖しているトラウトサーモン(ニジマス)も水揚げする見通し。昨年11月にいけす2基を設置、サラクマス約300尾、トラウトサーモン約600尾の幼魚を投入。漁業者約20人で魚類養殖部会を設立、給餌などを手掛ける。来年水揚げ分まで、村の補助事業で養殖する。
斜里第一、ウトロ両漁協の春定置はサクラマスが総体的には出足が早く、良型で水揚げが順調な一方、ホッケなどがいまひとつ。トキサケは盛り上がりに欠けるものの、不振だった昨年よりは見え、6月の伸びに期待がかかっている。
海水温の上昇など海洋環境の変化を受け、スルメイカなど天然回遊魚の水揚げが伸び悩む北海道日本海沿岸。安定的で持続的な漁業生産体制の構築を目指し、トラウトサーモン(ニジマス)養殖を推進する動きがひやま漁協管内を中心に活発化している。現状は自治体と漁業者が連携し、試験段階で実施しているが、水揚げ3期目を迎えた八雲町熊石では生産実績を積み重ね、事業化も視野に入れている。さらにせたな町大成区では初水揚げ。生産性や採算性などクリアしなくてはならない課題を抱えているが、道産養殖サーモンのブランド確立による苦境打開への挑戦が拡大している。
日本水産グループの弓ヶ浜水産株式会社(鳥取県境港市、竹下朗社長)は18日、岩手県大槌町で海面養殖したギンザケ「岩手大槌サーモン」を今季初水揚げした。並行して養殖中のトラウトサーモン(ニジマス)は7月初旬に水揚げ開始予定。全量活じめが大槌産の特長で、今季は2魚種で計300トン強の出荷を見込む。東北や北海道でテレビCMを放映するなどPRも強化。町内では一貫生産体制の構築や、淡水ギンザケのブランド化に向けた取り組みが活発化している。
日高管内の春定置は連休明けから水揚げが本格化し、地区間で差はあるものの、総体では本マス(サクラマス)が昨年並みに順調だ。今季はマスノスケが小ぶり主体ながら例年になく乗網。トキサケも不振だった昨年に比べ良好な滑り出しを見せている。
岩手県宮古市の宮古漁協(組合長・大井誠治県漁連会長)は4月28日、宮古湾で養殖した「宮古トラウトサーモン」約3.5トンを市魚市場に今季初出荷した。2019年度から2カ年の養殖試験を終え、昨年秋に区画漁業権の免許を取得。キロ2千円の最高値を付け、海面養殖事業の持続的発展に向け幸先の良いスタートを切った。今季は湾内のいけすを2基から3基に増設。7月中旬までに昨季より30トンほど多い120トン強の出荷を目指す。
岩手県山田町の三陸やまだ漁協(生駒利治組合長)は15日、山田湾で養殖試験中のトラウトサーモン(ニジマス)を初水揚げした。昨年秋に投入した400グラムの種苗は5カ月で2キロほどに成育。型も良く、キロ平均1200円台の高値で取引された。秋サケの不漁が深刻化する中、2023年秋の事業化移行が目標で、自動給餌機を活用した省人化効果も確認した。今季は7月上旬までに約50トンの出荷を目指す。
岩手県の久慈市漁協(皀健一郎組合長)は14日、久慈湾で養殖しているギンザケ「久慈育ち琥珀(こはく)サーモン」の今季の水揚げを開始した。3カ年の実証試験を経て、念願の事業化移行を果たした初年度。海況変化の影響もほとんど受けず、成育はおおむね順調という。8月上旬までに600トンの生産を目指す。
岩手県の2021年度秋サケ漁は3年連続で過去最低を更新することが確定した。県の漁獲速報(最終)によると、河川捕獲などを含めた2月28日現在の回帰実績は13万9403尾(前年同期比76%減)、413トン(同)。人工ふ化放流事業が本格化した1984年度以降、千トン割れは初。
一般財団法人函館国際水産・海洋都市推進機構調査・研究部門の安部智貴氏は、函館市の委託事業であるキングサーモン養殖に向けた取り組みについて説明。2021年度は天然魚で受精能力を有した凍結精子を得られたほか、北大飼育魚で人工授精により次世代の作出に成功したことを報告。今後の課題に稚魚の飼育条件の検討などを挙げた。