岩手県山田町の三陸やまだ漁協(生駒利治組合長)は15日、山田湾で養殖試験中のトラウトサーモン(ニジマス)を初水揚げした。昨年秋に投入した400グラムの種苗は5カ月で2キロほどに成育。型も良く、キロ平均1200円台の高値で取引された。秋サケの不漁が深刻化する中、2023年秋の事業化移行が目標で、自動給餌機を活用した省人化効果も確認した。今季は7月上旬までに約50トンの出荷を目指す。
岩手県の久慈市漁協(皀健一郎組合長)は14日、久慈湾で養殖しているギンザケ「久慈育ち琥珀(こはく)サーモン」の今季の水揚げを開始した。3カ年の実証試験を経て、念願の事業化移行を果たした初年度。海況変化の影響もほとんど受けず、成育はおおむね順調という。8月上旬までに600トンの生産を目指す。
一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ、宮城県石巻市、阿部勝太代表理事)は5日、鹿児島県垂水市にある道の駅で、三陸産海産物の販売を始めた。水産養殖管理協議会(ASC)の認証を取得したカキを使った加工品などを並べ、持続可能な方法で獲れたサステナブル・シーフードの普及に努めていく。
水産庁は東日本大震災で被災した東北・関東6県の水産加工業者の復興状況をまとめた。売り上げが震災前の「8割以上に回復した」との回答は49%にとどまり、前回調査と比べて横ばいだった。生産設備などの復旧は進んだが、人手不足や風評被害、原材料の不足・価格高騰などが復興の足かせになっている。
岩手県の2021年度秋サケ漁は3年連続で過去最低を更新することが確定した。県の漁獲速報(最終)によると、河川捕獲などを含めた2月28日現在の回帰実績は13万9403尾(前年同期比76%減)、413トン(同)。人工ふ化放流事業が本格化した1984年度以降、千トン割れは初。
経済産業省の萩生田光一大臣は5日、東京・中央区の全漁連の事務所を訪れ、多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の放出に関し全漁連が要望していた5項目の「超大型の基金創設」などを盛り込んだ回答書を岸宏会長に手渡した。岸会長は「政府の基本的姿勢が示され、国民や漁業者の理解が得られない放出は行わないと理解している」とし、「超大型基金」には「既に発表している300億円と別枠と理解している」(岸会長)とした。ただ、「(処理水放出に)断固反対の姿勢は変わらない」とあらためて強調。「安心して漁業をできるようにしてほしい」と訴えた。
3代目となる宮城県水産高校(石巻市、瀧田雅樹校長)の小型実習船「みさご」(FRP、16トン)が竣工した。漁業実習を充実させる目的で、横揺れ低減装置やタッチパネル式の情報共有モニター航海計器など最新式装備を多く導入。さまざまな沿岸漁業を学べる環境を整え、後継者育成を目指す。
海藻が吸収する二酸化炭素(CO2)「ブルーカーボン」によって温暖化対策を進めようと、宮城県水産業基盤整備課は12日、仙台市内でシンポジウムを開いた。豊かな海の生態系を育むコンブなどの藻場を広げれば、磯焼けの解消にもつながる。基調講演やパネルディスカッションを通じ、CO2の貯蔵庫として注目されるブルーカーボンを生かす道を探った。
総務省が発表した2021年の家計調査によると、全国1世帯(2人以上)当たりのワカメの年間消費支出額は前年比11%減の1472円だった。購入量は同14%減の745グラムと11年連続の1キロ割れ。100グラム当たりの平均価格は同4%高の198円と3年連続で過去最高を更新した。国内流通は消費低迷と、三陸の減産傾向などを受けた高値が続く。
岩手県産養殖ワカメの今季初入札会が15日、大船渡市の県漁連南部支所で行われた。ボイル塩蔵70トンが出荷され、中芯を除いた平均単価は前年同期比20%高の10キロ9645円。海況の影響で生育はやや遅れ気味だが、品質は上々だった。今季は原藻ベースで1万4520トン(昨季実績1万1469トン)の生産を目指す。