宮城県漁協は、県産乾のり「みちのく寒流のり」の今季入札を12月2日に開始する。高水温の影響で生産が停滞し、最も遅い初入札会となるが、海況は回復傾向。国内最大産地の九州・有明海産の大不作で、昨季の国内総販売数は54年ぶりに50億枚を割り込み、メーカーが製品の値上げに踏み切るなど影響が出た。宮城産はコンビニのおにぎり用として引き合いが強まっている。今季の販売目標は前季実績比2割増の4億枚。優等級をそろえて高単価も狙う。
一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ、宮城県石巻市、阿部勝太代表理事、電話0225・98・7071)など3者は、天然由来成分を売りにする自然派化粧品「KAISO」を共同開発した。ソープとハンドクリームの2品。磯焼け対策の役目を終えたコンブを有効活用した。未利用資源を付加価値の高い原材料に転換し、藻場再生活動に役立てるとともに循環型社会の実現にも貢献する。
今季の宮城県産生食用むき身カキの出荷が10月30日、始まった。県漁協石巻総合支所で開かれた初入札会には前年同期比8%減の9.7トンが入荷。10キロ当たりの平均単価は同10%高の3万851円、最高値は同14%高の4万1千円だった。卵持ちはほとんどなく、全般に小ぶりながら身入りも良好だったが、夏の記録的な猛暑に伴う減産を懸念する声が出ている。
岩手県大槌町で10月28日、町内で淡水養殖するギンザケ「桃畑学園サーモン」のPRイベントが開かれた。主会場の大槌駅前などでフィレーやさけとば、オリジナル料理などを販売。脂が少なくあっさりした味の魅力を発信した。同月までに3季目の出荷が終了。主力魚種の秋サケの不漁が深刻化する中、養殖物で水産資源を安定的に確保しブランド化を目指す。
岩手県漁連は10月26、27の両日、2023年度第1期(11月分)県産アワビの浜値を決める事前入札会を盛岡市内で開いた。124.3トン(前年同期比0.3%増)の水揚げ予定数量に対し、10キロ当たりの平均単価は9万6593円(同29.5%安)。東京電力福島第一原発のALPS処理水海洋放出を受け、大消費地の中国が日本産水産物の輸入を全面的に停止したことが相場を大きく押し下げる要因になった。
宮城、山形両県で製造されている食品を売り込む「おいしい山形・食材王国みやぎビジネス商談会」が24日、仙台市青葉区の仙台国際センターで開かれた。水産加工会社など90社が出展。地元の食材や独自の技術を生かした自慢の商品を首都圏や関西の小売業者など75社にアピールし、販路開拓・拡大につなげた。
宮城県名取市の閖上漁港で特産アカガイの水揚げが順調に続いている。日量500~600キロペースで、浜値は平年より3割ほど高いキロ2千円超で推移。閖上産は約8割が東京・豊洲市場に出荷され、高級食材として都内のすし店などで使われる。貝毒による出荷規制の懸念は常につきまとうが、訪日客(インバウンド)需要も追い風に、漁期を通した安定供給と好値の維持を目指す。
石巻専修大理工学部生物科学科の角田出教授は19日、宮城県石巻市の同大で開かれた「共創研究センター研究成果報告会」で、市内で栽培されたオリーブを餌に混ぜて育てた養殖ギンザケの特長を解説した。ストレスが軽減され、身が締まり、色や香りも良く生食向き。早ければ2024年度中の出荷、事業化を目指す。
株式会社海遊(宮城県石巻市雄勝町、伊藤浩光社長、電話0225・25・6851)が販路を国内一本に絞り、売り上げを伸ばしている。東京電力福島第一原発のALPS処理水海洋放出を受け、中国や香港が日本産水産物の輸入規制を継続する中、全国のバイヤーらが集う商談会に積極的に参加。新規顧客を開拓し、9月の売上高は前年同月比4割増を達成した。徹底した安全検査体制も武器に、国内需要のさらなる取り込みを目指す。
東北最大の歓楽街・国分町(仙台市青葉区)に14日、ホヤやカキ、ギンザケなど宮城県の海産物を提供する居酒屋「地物のめしと酒 仙臺(せんだい)テラス」がオープンした。東京電力福島第一原発のALPS処理水海洋放出による風評被害を防ぎ、消費拡大を後押ししようと株式会社スタイルスグループ(青葉区、佐々木浩史社長)が出店。酒のつまみから焼き物、揚げ物、ご飯もの、甘味、各種アルコールまで多彩なメニューでもてなす。