東北太平洋沿岸のスルメイカ昼釣りの水揚げは8月末まで、岩手県の久慈、宮古で昨年同期を上回り、青森県の三沢、八戸は大きく下回った。好漁場が青森に先駆け7月中旬に岩手北部沖で形成されるなど、漁場が両県の明暗を分けた形だ。船団は群れの厚い漁場をめがけ両県沖を忙しく行き来するが、不安定な漁が続いている。
宮城県では、大震災での稚魚被害により今季の秋サケ来遊で大幅減が見込まれることから、県と県さけます増殖協会などの業界が一丸となり種卵確保に全力を挙げる。来遊と河川遡上(そじょう)親魚の昨シーズン比「4割減」(県水産業基盤整備課)を前提に、各ふ化場の旬ごとの確保計画と、不足した場合の海面での網揚げ協力などの対策をまとめた。
宮城県の養殖マボヤは大震災後、被嚢(ひのう)軟化症の感染が見られなくなった。震災後採苗の3年子(満2歳)が今春から出荷されピークを過ぎたが、同県水産技術総合センターの調査や生産者の水揚げ、流通関係者の扱いでも発症は確認されていない。原因となる鞭毛虫(べんもうちゅう)が震災の津波でホヤとともに流失し「漁場がリセットされた」と考えられる。
宮城県石巻市桃浦地区のカキ養殖漁業者と株式会社仙台水産で構成する桃浦かき生産者合同会社(大山勝幸代表社員)はこのほど、「桃浦かき」のブランドマークを商標登録した。また、株式会社仙台水産のテレビコマーシャルと「桃浦かき」のポスターが仙台広告賞を受賞。オリジナルパンフレットも作製し広くアピールしている。
宮城県石巻市で「たらこ専門メーカー」として知られる湊水産株式会社(木村一成社長)は8月、新工場と「直売店みなと」を併設した新社屋の建設工事が完了し、業務を開始した。衛生管理を徹底した生産施設とおしゃれな雰囲気の店舗が好評。
進水披露で下蛸ノ浦漁港に入る第15三笠丸(左)と第21三笠丸
岩手県の鎌田水産株式会社(鎌田仁社長、大船渡市)は8日、進水した大型サンマ船第15、第21三笠丸の2隻を地元の下蛸ノ浦漁港で披露した。同社の大型サンマ船は4隻となり、20日に北海道の花咲、釧路両港から出漁。今季は水揚げと合わせ、加工処理でも1万8千トンと倍増を目指し、両翼で羽ばたく。
岩手県水産技術センター漁業資源部は4日、本年度の同県の秋サケ回帰予報を公表した。230万~607万尾、7006~1万9925トンと予測し、震災年級(平成22年度)が主群の4年魚で回帰することを考慮すると、予測範囲の下限に近づく可能性が大きいとした。下限だと尾数、重量とも昨年度の半分にも届かない不漁となる。
産業ガス大手のエア・ウォーター株式会社(本社・大阪市)の子会社で札幌市に本社を置くエア・ウォーター物流株式会社(川田博一社長)は、岩手県釜石市に水産物流センター「釜石低温センター」を建設した。9月竣工の予定で、同3日には竣工式典を開催。三陸を主体に東北エリアを視野に入れた物流拠点を目指す。
岩手県産養殖干し(本干し)コンブの今季初入札が5日、宮古市の県漁連北部支所で開催された。3漁協が6294箱(1箱20キロ中心、121.4トン)を上場、全量落札され、最高値は重茂産長切1等の1万8099円(10キロ値)。昨年初回に比べ、長切が田老町産(A種)1等20%ダウンなど下げ幅が大きく、棒は昨年並みから小幅下げとなった。北海道産の下げが影響したとの見方が強い。
高値で終始した養殖ギンザケ(7月29日、石巻市場)
宮城県の養殖ギンザケが高値のまま終漁を迎える。産地市場への出荷は石巻と南三陸が2日に終わり、女川では入札が5日、相対販売が7日の終了を予定。今季の平均は500円台半ばとなって昨年(376円)を5割近く上回る。生産者には国のがんばる養殖復興支援事業の最終年にもあたり絶好のシーズンに。水揚げは昨年(1万1383トン)をやや超えそうだ。