鹿部漁協は今年、町の補助を受けシングルシードのカキ養殖試験に乗り出した。殻長1センチほどの種苗をオーストラリア製バスケットに投入し、初年度は3千個の養殖に挑む。8月に収容済みで来年6月の出荷を計画。試験に取り組む盛田州秀監事は「3年ほど試行した上で、成功すればブランド化を見据えながら、ホタテ養殖と両輪で生産量を増やしたい」と力を込める。
砂原漁協のカレイ刺網は、水揚げが落ち込んでいるアカガレイが8月後半から徐々に掛かりだした。9月前半はシケが増え伸び悩んだものの、1隻300キロ前後と上々の水揚げ。浜値は大がキロ800~700円とやや弱含み。一方ソウハチは春先から順調で、昨年を上回る水揚量。良型の大は200円と好値を付けている。
北海道沿岸一円で定置網を中心に水揚げが定着したブリ。ここ数年、サンマ、イカ、秋サケなど主要魚種が軒並み低迷する中、量販店の鮮魚売り場、加工原料などで存在感が高まっている。船上活じめによる鮮度・品質の向上、商品開発など産地の取り組みも進展。首都圏など本州市場にも流通量が増え、脂の乗りなどの品質が評価されてきている。
松前さくら漁協大沢地区で促成に着業する鳴海年蔵さん・康之さん親子は今季、乾燥施設を従来の約1.8倍に拡張して操業。1日当たりの乾燥本数が増え収穫終漁時期が早まったことで、毛(ヒドロゾア)の付着を軽微に抑えた。来年に向け扇風機の配置などを改良、乾燥むらをさらに軽減し品質向上を目指す。
道東沖のサンマ漁は9月下旬に入っても漁獲が伸びず、記録的不漁だった昨季を下回る漁況が続いている。根室・花咲港を拠点とする着業船は操業1回当たりの水揚げが平均で1桁のトン数にとどまっている。漁場も遠く、同港で荷揚げする漁業者は「漁場がロシア水域や日本水域に近づく気配は乏しい。水揚量も不漁だった昨年に増して少ない」と表情を曇らせる。
道東巻網のマイワシは9月23日までにTAC(25万トン)の56%となる約14万トンを漁獲した。昨年に比べ群れが小さく船間差のある漁模様。小型中心の組成で、主体のミール向けは徐々に価格が上昇。漁は終盤に入り20カ統前後が操業、多い日で5千トン弱を水揚げしている。
留萌管内(増毛・新星マリン・北るもい・遠別漁協)の稚貝本分散は、苫前地区を皮切りに9月中旬から順次始まった。選別機の通し穴は13ミリと例年並み。韓国向け活貝出荷中の羽幌と、水温低下を待つ遠別は9月末に開始する予定。
「恋問鮭」の専用シールを発泡箱に貼付
白糠漁協のサケ定置部会(新保太平部会長)は今季、生鮮出荷に取り組む「恋問鮭」の船上活じめに乗り出した。低水準の水揚げが続く中、限られた資源の付加価値を高める試みで全漁場が足並みをそろえて実施。地元仲買、漁協直販加工部を通じ道内外に流通、価格にも反映され、上々のデビューを果たしている。
網走湖産ヤマトシジミの資源回復を目指し、西網走漁協は今年からシジミ部会、青年部が中心となって人工種苗生産に挑戦している。7月の人工採卵後、着底した2691万個の稚貝を飼育中。6基の水槽で給餌、無給餌に分類し稚貝数や殻長など成育の比較検討を行っている。飼育は順調に進んでおり、10月末にも殻長1ミリサイズでの放流を予定している。
白糠漁協の毛ガニかご漁は、操業を始めた9月上旬から順調な水揚げで推移している。日量を調整するほどかご入りが良く、前期漁(9月1日~10月15日)の漁獲許容量達成まで残りわずか。大、中サイズ主体の組成で小は全て海中還元、資源保護に努めている。