ニチモウ(株)(東京都、松本和明社長)が紋別事業所(内田弘二所長)に建設を進めていたホタテ加工の専用工場が完成し、10月に稼働を開始した。玉冷の増産・販売拡大に向け選別・パッキング機能を先行整備。今後原貝処理施設も整備し、来季には原料から最終製品まで一貫した自社の生産体制を確立する。併せて対米HACCP認定取得を進めて国内外への安定供給を目指す。
猿払村漁協(沖野平昭組合長)所属のホタテけた引船「第二十八善見丸」(14トン、本澤日出夫さんと台丸谷広行さんの共同代表)が11日に竣工した。地元の知来別漁港で家族、関係者らが見守る中、その勇姿を披露した。
興部町の広瀬水産(株)(廣瀬哲二社長、電話0158・83・2111)の紋別工場が9月に一般社団法人日本食品認定機構の米国向け水産食品加工施設HACCP認定制度の認定を取得した。対象製品は冷凍ホタテ貝柱(玉冷)。国内市場での商品力向上に加え、米国など海外市場への販売拡大を目指す。
噴火湾でカキ養殖に力を入れる森町の(株)イワムラ水産(岩村雅美社長)は、日本最深漁場となる水深70メートル海域での養殖に成功した。夏から秋に7~10度の低い水温帯に垂下し良好な身入りを保つことで、品薄期となる9~10月の生食用出荷が可能となった。岩村雅弘社長代理は「ぎゅっと熟成させ身入りの良いカキになった。中には抱卵前のカキも確認できた」と驚く。今年は1万個を生産し10月中旬ごろまで販売。来季の生産量は3倍に増やす計画だ。
むかわ町の(有)丸中舛岡水産(舛岡博美社長、電話0145・42・2178)は、主力商材のシシャモで、漁期後半に獲れる完熟のオスの有効活用にも取り組んでいる。魚体が黒みがかって脂分が抜け、従来卸売では荷動きが鈍く、新たな商品開発に挑戦。昆布巻や甘露煮に加え、粉末にし塩やふりかけも打ち出している。
日高中央漁協浦河地区の高桑陵さんは、天日乾燥の作業効率化と体への負担を減らす新たな道具を自作した。胴縁にピンチを等間隔で取り付けたもの。コンブをまとめて干場に並べられるため、かがむ回数が減り腰への負担が軽減。同様に回収も楽で、急な天候悪化にも素早く対応できる。拾いコンブ中心に今年から本格的に使用している。
いぶり噴火湾漁協のアナゴは、コロナ禍の影響で安値基調だ。7月後半にキロ4千円前後と一時的に上振れたが、9月以降は前年同期と比べ5割安2千円台と安値に振れている。
散布漁協の養殖ウニは、9月末で出荷がいったん終了した。コロナ禍による価格低迷が懸念されたが、後半は上値でキロ6千円まで上昇。南晃仁うに養殖部会長は「大きな影響がなくてよかった」と安ど。一方で「例年に比べてへい死が多いことが心配」と話す。出荷は年末に再開する。
いぶり噴火湾漁協は、ホタテへい死対策の一環で礼文、豊浦支所に計27台の高酸素海水製造ユニットを導入した。今春の耳づり作業から順次、使用している。 コンプレッサー内蔵型で、循環ポンプをつなげると、くみ上げた海水の酸素濃度が一気に上昇する仕組み。近年、高水温に伴う溶存酸素の低下によって、へい死の発生が増加傾向にある中、生存率向上が期待できるため、使用者はホタテ養殖漁家を中心に北海道各地で増えている。
札幌市中央卸売市場の生筋子消流は、昨年比3~4割高の高値相場を形成する中、取扱数量が10月上旬まで堅調に推移している。在庫払底で加工筋が早々にいくらの生産で手当て。一方、量販店は昨年実績を追った販売攻勢で引き合いは強いものの、逆ざやで消耗戦の様相も呈している。