渡島噴火湾で稚貝の本分散作業が始まった。鹿部、砂原、森漁協と落部漁協の一部が9月頭から地元産中心にスタート。昨年同時期に各地で散見された空貝はほとんど見られず、数量も十分に確保している状況。成長も平年並みで「順調そのもの」と着業者。秋に多発する台風に警戒しながら作業を進めている。長万部、八雲町漁協は9月中旬から開始する予定。
オホーツク海沿岸のホタテけた引は、8月末で22万3200トン余りを水揚げし、計画達成率は76%となった。宗谷、猿払村が3万トン台、枝幸、紋別、湧別、常呂が2万トン台。7単協が前年同期を上回っている。歩留まりは14%台から下は11%台まで幅広く、アソートは大半が3S中心。浜値はキロ200円台後半~100円台前半と、組成次第で差が開いている。
いぶり噴火湾漁協の稚貝分散は、各地区で仮分散を終え、伊達の一部が本分散に入った。数量は問題なく確保しており、順調に成長しているもよう。ザラボヤの付着を避けるため本分散を9月後半に遅らせていた虻田は、昨年の成長不良を鑑み9月頭にスタートする見通し。
七飯町の中水食品工業株式会社(園田哲三社長、電話0138・65・5631)は、主力のレトルト食品で、北海道産ホタテなどをメインにした「パエリアの素」を商品化した。炊飯器で出来上がる簡単・時短調理が特長。コロナ禍の巣ごもり需要などをつかんで順調な売れ行きを見せている。
留萌管内の稚貝仮分散は、一部の地区を除き先週までにおおむね終了した。各漁協とも採苗器の付着時期がずれ込み例年より一回り小ぶりだが、必要量は確保している。高水温が長期にわたり休止を余儀なくされた地区がほとんど。苦戦しながらも8月末までに全地区で終了する見通しだ。
噴火湾の稚貝分散作業は、各地で仮採り(種採り)を終え、7月末から8月前半にかけ仮分散を計画している。付着量やサイズはおおむね例年並み。現時点の作業スケジュールは順調に進んでおり、9月以降、順次本分散に入る予定だ。
留萌管内の稚貝は、採苗器の付着がずれ込んだため、仮分散が遅れている。目合いの小さい1分のふるいでも抜け落ちる割合が多く、遠別漁協は21日時点で4軒が始めたものの、採苗器本数を減らしてスタート。新星マリン漁協は臼谷、鬼鹿両地区とも20日に始めたが、翌日には中断し26日に再開予定。北るもい、増毛漁協も成長待ちの状態で26日以降に開始する。
陸奥湾養殖ホタテの2021年度春季実態調査結果がまとまった。20年産のへい死率や異常貝率は平年並みで、成育は順調。昨年の稚貝分散の作業時期が早く、1段当たりの収容枚数も平年並みで、12~3月の水温はほぼ平年並みに推移したことが要因と示している。
ベビーホタテを主力とする森町砂原の株式会社小泉水産(小泉満社長、電話01374・8・2130)は、ウロ取り後の洗浄など、砕けた殻を排除する検品作業に力を入れている。以降、殻の混入クレームは毎年ほぼ0件となり品質が向上。コンビニエンスストアのセブンイレブン・ジャパン(東京)では、噴火湾産ホタテの入ったラーメンとおにぎりの期間限定販売に同社のベビーを使用している。
新型コロナウイルス禍の影響を受け2年目となった玉冷の消流環境は、予想以上の内販消化で期首在庫が払底した中、大型組成と旺盛な海外需要を背景に相場高で新シーズンを迎えた。小型化した昨年とは打って変わって大型組成と見られる今年は、東南アジアや北米中心に海外需要が堅調。3Sの消費地価格はキロ3千円に達した。内販は売り場を回復した量販店や回転ずし店など国内マーケットの吸収力に注目が集まっている。