青森市の(有)塩谷魚店(塩谷孝社長)が10月~11月初旬の季節限定で販売する「越冬真鯛」が好評だ。平内町漁協清水川支所のホタテ養殖漁業者とタッグを組み、漁業者が釣り上げたマダイを活じめ・神経じめ処理し関東・関西の顧客に提供。「活魚は体力の回復が肝心要」と話す塩谷社長が鮮度保持の手順を指導しており、漁業者と二人三脚で付加価値を高めている。
コロナ禍の影響で末端消費に不安を抱えながらスタートした今季のホタテ消流。春先の巣ごもり需要に伴う量販店での販売と、テイクアウトを始めた回転ずしの消化が順調で、他の外食産業が低調ながら消費回復に向け前進している。しかし秋口からは原貝の歩留まり低下が著しく5S~6Sが増産、4Sを含む大型のフリー在庫はほぼ払底状態。輸出が期待薄の中、小型アソートの消化が今後の焦点となる。
三陸のホタテ養殖が苦境に立たされている。宮城、岩手両県の生産海域は近年、長期にわたり規制値を超えるまひ性貝毒が検出され、主力の活貝が安定出荷できない状況が続く。両県は出荷基準の緩和で打開を図るが、今季は新型コロナウイルスの影響も直撃。飲食店の休業による需要の落ち込みで浜値は3割下がった。出荷形態は生玉や玉冷にシフト。販売戦略の見直しを迫られる加工業者も苦悩の日々を送る。
青森県漁連は2020年度の最終水揚量を前年度比20%減7万5千トンと試算している。来年1~3月の成貝出荷は4千トン前後の見込み。最終金額は減産に加え半成貝、成貝の単価安も響き税込みで約3割減の90億円前後とみている。
宮城県は、石巻市渡波の県水産技術総合センターに閉鎖循環式陸上養殖研究施設を整備する。サンマや秋サケなど主力となる冷水性魚類の水揚げが不調の中、加工原料の確保は喫緊の課題。温暖化による急激な魚種変動に対応しながら、栽培事業の高度化や新たな原料供給につなげたい考えだ。2023年度の運用開始を目指す。
秋サケの記録的な不漁が続き、岩手県内でサケ・マス類の海面養殖試験に乗り出す動きが相次ぐ中、今度は釜石市でサクラマスの試験が始まる。釜石湾で稚魚から飼育や越夏試験を行い、陸上では種苗開発に挑戦する海面・内水面一体のプロジェクト。岩手大学が主導し、海面いけすへの稚魚投入は11月の計画だ。高速大容量の第5世代移動通信システム(5G)も活用し、事業化の可能性を見極める。
宮城県産生食用むき身カキが高値で始まった。県漁協は12日、今季の共販入札を開始。初日は計10.25トン(昨年11.9トン)が上場され、10キロの平均単価は前年同期比1割高の4万210円。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「巣ごもり消費」で量販店が引き合いを強めたためとみられる。高水温などの影響で成育が遅れ、県が指針とする解禁日から約2週間待っての初出荷となったが、放卵は進み身入りも良好だ。
岩手県宮古市は1日、陸上養殖調査事業で育てた高級魚ホシガレイを市魚市場に初出荷した。秋サケなど主要魚種の不漁が続く中、安定供給が見込める魚種の養殖生産体制構築は急務。500尾を目標に来年1月まで週1回のペースで出荷し、流通状況や市場評価、採算性などを調査する。宮古湾で海面養殖したトラウトサーモンと並ぶ新たな特産品に育て上げたい考えだ。
水産研究・教育機構水産技術研究所主任研究員の伊藤克敏氏(環境応用部門環境保全部化学物質グループ)は7日、岩手県大槌町で「魚類養殖と漁場環境について」と題して講演した。秋サケの記録的な不漁が続く中、県内ではサケ・マス類の海面養殖試験に乗り出す動きが相次いでいる。伊藤氏は「ワカメやカキ養殖との共存も十分可能。海洋環境と調和した、未来につながる養殖業を作り上げてほしい」と呼び掛けた。
技術開発の向上と漁業者の担い手不足や漁船老朽化を背景に、近代化、省力化が加速している漁船建造と搭載機の業界。水揚げを左右する漁船性能は大きな進化を遂げている。漁業現場で活躍する最新鋭の新造船とともに業界をリードする関連企業の主力製品を紹介する。