北海道の秋サケ定置は高水温下、近年最低ペースで盛漁入りの時期を迎えた。9月下旬まではスポット的に一部の浜で上向く兆しも見られるものの、休漁を挟む浜もあって定置業者は海況の好転を切望。降温後、集中水揚げも想定され、浜値を含め動向が注目される。
本場折浜の天然コンブ漁は、総体的にガゴメの資源低迷が続いておりマコンブ主体の水揚げ。根崎地区が比較的操業日数を確保したほか、小安地区でも資源回復の兆しが見え始め3年ぶりに採取した。函館市漁協根崎地区は9月上旬に終漁。
中国の日本産水産物禁輸措置から1カ月が経過した。大きな影響を受けているホタテの販路拡大を目指し内販消費、輸出先の転換に向けた国、道県の支援策が示される中、国内では消費行動の機運が高まり、外食産業や量販店に加え、ふるさと納税返礼品での露出も顕著に現れている。円安に伴う輸出増大で高騰した玉冷相場は徐々に下方修正されているが、底値には至らず、生産・加工・販売が連携し流通面で折り合いを付け高値の在庫を消化させながら、その先の流通拡大につなげられるかが焦点となる。
白糠漁協の毛ガニかご漁は、大・中サイズのみを水揚げし、序盤は順調に推移したものの海水温の上昇に伴い鈍化した。山田明毛ガニ篭部会長は「平年比で平均4度くらい高い」と指摘する。一方、小サイズや稚ガニが昨年に比べて見えており、着業者は今後の資源安定・増大に期待を寄せている。
枝幸町のホタテを柱とする水産物の海外輸出拡大に向け新たな事業が動き出した。町内水産加工業者はじめ漁協、商工会、運送事業者、町の13団体は「枝幸水産物輸出促進協議会」(会長・三國浩司枝幸水産加工業協同組合長)を発足。生産・加工・物流面の効果的な体制整備を目指す。農林水産物・食品の輸出拡大を支援する農水省の「GFPグローバル産地づくり推進事業」にこのほど採択され、刻々と変化する輸出環境に対応しながら、新たな輸出先の掘り起こしにつなげたい考えだ。
森漁協の大定置は、8月まで順調だった主力のイワシやサバが9月に入り低調な水揚げ。高水温の影響を懸念する着業者は、9月末以降の挽回に期待を寄せている。浜値はイワシが高値傾向。着業者はミール需要の高まりを指摘する。
えりも漁協庶野地区の秋サケ定置が9月上旬に始まったが、序盤は海水温が高く総体的に低調に推移。ただ中旬に入って若干乗網数が上向いてきた漁場もあり、着業者は今後の来遊増に期待を寄せている。
丸大佐藤水産(佐藤大紀社長)は、「魚屋大ちゃん」と冠した移動販売の鮮魚店で魚食需要に応えている。4月から札幌市郊外の拓北・あいの里地区に週5回、箱型の軽トラックで出向いて提供する。その日に札幌市中央卸売市場で仕入れた魚介類の鮮度や接客サービスの評判が口コミで広がって顧客を獲得。飲食店卸で経営基盤を固めながら、商品の充実など”行商スタイル”の進化を目指していく。
大樹漁協の秋サケ自営加工は、大樹さけ定置共同経営体が手掛ける船上活じめ製品の拡販に取り組んでいる。生鮮出荷に加え、昨年から塩蔵品(新巻き・山漬け)を差別化して売り込み。また、生筋子も血合いがなく、きれいで鮮やかな見栄えなどが評価を得て、量販店からの引き合いが強まっている。
道漁連は、本年度の道内コンブ生産見込みを1万2508トンとした。8月末時点の集計で、6月末に示した当初見込みから92トン下方修正した。過去最低だった昨年度実績(1万970トン)に比べると14%上回る。地区別では、当初見込みに比べて函館地区が233トン減3813トン(うち養殖178トン減3553トン)、日高地区は変わらず2400トン、釧路地区は198トン増3228トン、羅臼を含む根室地区は175トン増2350トン(同15トン増90トン)、北見地区は6トン増141トン、稚内地区は240トン減568トン(同128トン減109トン)。