羅臼漁協昆布青年会(佐野亘会長)は昨年、羅臼昆布を粉末化した商品「羅臼昆粉(こんぷ)」を開発した。原材料は昆布のみで天然、養殖の2種類を瓶詰めで展開。料理に混ぜたり、ふりかけて使える。購入者から「おいしい」と応援する内容の手紙が届くなど反響もあり、佐野会長は「積極的にPRしていきたい」と力を込める。
豊浦町の有限会社北海スキャロップ(外山明社長、電話0142・85・7500)は、前浜・礼文華産ホタテの加工品で缶詰を商品展開している。町の水産物アイヌブランド化事業と連動し、ラベルデザインにアイヌ語・文様を使用。地域特産品として土産品・贈答需要などにアプローチ。現在、新商品の開発も進めている。
第三十一豊佑丸は今年もブドウエビの休漁に伴い、例年6月で切り上げるメンメ(キチジ)刺網を延長して水揚げを確保する計画。他の刺網船同様に活じめ出荷にも取り組んでおり、藤本繁樹船頭は「値段に反映している」と実感。「今後も継続していきたい」と力を込める。同漁協では一部の刺網船がホッケやサメガレイ、メンメ、メヌキなど各魚種の活じめ出荷に注力している。もともとサメガレイの活じめを手掛けていたものの「陸の手が足りずしばらく休止していた」(藤本船頭)という第三十一豊佑丸も「一昨年くらいから再開」。付加価値対策として取り組む。
積丹町の鮮魚卸・有限会社丸み三上商店(三上一孝社長、電話0135・45・6102)は3年ほど前から「仕立て」技術を追求した前浜産魚介の高付加価値化に取り組んでいる。漁業者と連携し、活ソイをはじめアンコウやサクラマスなどで手掛け、札幌市中央卸売市場などに出荷している。
ひやま漁協乙部支所ナマコ協議会の加工部門(日沼賢澄部門長)は4年ほど前から前浜産タコの加工品を製造し、町民向けの販売やふるさと納税返礼品のほか、レストランなど飲食店を中心に需要が伸長。コロナ収束後は通年出荷に取り組んでいる。
前浜資源の維持・増大に欠かせない海藻藻場。増毛漁協(石田和夫組合長)は2004年から海中に鉄分を供給する日本製鉄株式会社の鉄鋼スラグ製品「ビバリーユニット」の設置に取り組んで、磯焼けで減少したコンブ漁場の再生・回復の効果を実感している。22年にも設置地区を拡大した結果、藻場造成を確認。22年度に引き続き、今年3月19日にJブルークレジットとして認証された。
海洋環境の変化を受けたサケの来遊不振、スルメイカやサンマなど回遊性魚類の水揚げ低迷など天然資源をめぐる漁業環境が不安定化する中、道内でも回転ずしなど生食需要で人気の高いトラウトサーモン(ニジマス)を主体にサケマス類の試験養殖が拡大。新たな漁獲資源の創出を目指している。
枝幸漁協のミズダコ漁が出足好調だ。5月開始のいさり樽流し漁を中心に1隻で日量平均300~400キロ、多い船は500キロ以上の水揚げ。阿部克彦タコ部会長は「昨年より多くサイズも大きい」と話し、継続することを期待する。一方、浜値も堅調だ。不漁かつ引き合いの強かった昨年より3割ほど下回るもののキロ900円台の好値を付けている。
歯舞漁協は23日に理事会を開き、貝殻さお前の解禁日を6月15日に決定した。5月16日に実施した前浜(太平洋側)の資源調査で、浅場中心に流氷接岸の影響が残り着生・生育状況が芳しくなかったことを考慮し、例年に比べて解禁日を半月遅らせた。同漁協は毎年、前浜調査の結果などを踏まえて貝殻さお前の解禁日を決めている。近年はロシアによる軍事侵攻の影響で操業条件を決める日ロ交渉の妥結が遅れた2022年を除き6月1日に解禁していた。資源状況を考慮して解禁日を遅らせたのは17年以来となる。
オホーツク海沿岸のけた引は、北部4単協(宗谷・猿払村・頓別・枝幸漁協)が5月20日までに本操業海区での水揚げを開始した。宗谷の日産は340トン、猿払村は300トンのスタート。漁場造成、稚貝放流と並行して始めた漁協もあり、6月から全船そろっての本格操業に入る。