えりも漁協営業部販売課がネット通販を手掛ける塩水ウニが好評を博した。新型コロナウイルス感染拡大を受け、今春は「えりもうに祭り」や日高振興局が旗振り役で昨年初めて開催した札幌市での即売会も中止。4月と5月は外食需要が消失し通常出荷が苦戦した一方、ネット販売で一般消費者から多数の注文が寄せられた。
斜里第一、ウトロ両漁協の春定置はトキサケの水揚げが振るわない。サクラマスは昨年より獲れている漁場があるものの、ニシン、ホッケなど他魚種も昨年より低調。6月に入ってブリが乗りだしている。
余市郡漁協で浅海漁業などを営む有志6人が挑戦するカキ養殖試験が順調だ。昨冬からSEAPA社(オーストラリア)製の専用バスケット(養殖かご)に移し替えた種ガキはへい死も少なく成育しており、6月中に出荷する。さらに今夏から種ガキの育成段階でもバスケットを使用。作業負担の軽減を図る。
北海道沿岸の春定置は、トキサケの水揚げが5月にまとまり、不調だった昨年に比べて全般的に好ペース。組成は小型傾向。一方、浜値は3~4割安で、3キロ台がキロ2千円割れ。日高などで5月末から途切れたが、漁業者は6月中旬以降の盛漁に期待をかけている。
八雲町とひやま漁協熊石支所、落部漁協で養殖試験に取り組んでいるトラウトサーモン(ニジマス)の初水揚げが1日、熊石支所で行われた。平均体重は目標の3キロを超え、生残率も9割以上と高成長。今年は市場に流通させず、生食用で町のふるさと納税返礼品に使用。「北海道二海(ふたみ)サーモン」と名付けブランド展開することも決めた。
宮城県石巻市雄勝町水浜の(株)海遊(伊藤浩光社長、電話0225・25・6851)は、新型コロナウイルスの感染リスクを減らす「新しい生活様式」に合った営業形態を模索している。自社便を使い、5月に始めた海産物や加工品の宅配サービス「うみでり」は好調な出足。インターネット通販などにも力を入れ、コロナ禍の苦境をチャンスに変えていく考えだ。
根室市の(株)兼由(濱屋高男社長、電話0153・27・2231)は、根室産サンマ、マイワシの加工で商品展開する煮魚などレトルト食品の販売が海外市場でも伸びてきている。今年は10月に開催予定の輸出商談会に初出展し、さらに販路拡大に乗り出す。
後志沿岸のコウナゴは昨季同様に三陸や西日本など本州の不漁が相まって、コロナ禍の影響もなく高値で推移している。5センチ前後の大サイズを中心に本州の加工筋の引き合いが強く、5月下旬の漁期終盤でもキロ700~600円の好値を付けている。一方、つくだ煮に使う小サイズの浜値も底上げされ、地元加工業者は原料手当てに苦戦している。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で販売が滞る地元水産加工会社を支援しようと、宮城県内の若手漁師らでつくる一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ、本部・石巻市、阿部勝太代表、電話0225・98・7071)は「加工屋さんのおさかなアウトレット便」を始めた。加工会社で過去にインターンシップに参加した県内外の大学生7人が全面協力。冷凍殻付きカキや骨抜き加工した「金華さば」など、行き場を失った主に業務用食材を全国の消費者向けにインターネットで販売している。
根室市のカネ共三友冷蔵(株)(石田一志社長、電話0153・23・5261)は、近年前浜で水揚げが増加傾向のマイワシの加工を強化する。小型魚に対応したフィレーラインを新たに備え、急速凍結の新技術「3D冷凍」でワンフローズンのフィレーを生産。昨年から手掛ける生食可能なラウンド凍結品と合わせ、回転ずし店、量販店などの販路拡大に取り組む。