道の駅「しかべ間歇泉(かんけつせん)公園」は2019年4月から(株)シカベンチャー(大関将広社長)が指定管理者として運営を担い、スタッフの意識改革や商品・売り場の改善、情報発信に注力。16年の開業以来右肩下がりだった売り上げ(間歇泉公園入園料と物販)は上向き基調へと転じ、今年度もコロナ禍の中で好調に推移している。また、緊急事態宣言に伴う春の休業期間を契機に、通話アプリで買い物ができるウェブ来店システムを導入するなど、コロナ対策も大きな話題を呼んでいる。
市場・水産卸をイメチェン! 札幌市中央卸売市場の荷受・髙橋水産(株)(髙橋清一郎社長)は、女性を中心に若手社員らで「イメチェンプロジェクトチーム(PT)」を立ち上げ、写真共有アプリ・インスタグラムを活用した情報発信に臨んでいる。市場に入荷した旬魚や食べ方をはじめ、社員の趣味なども投稿。「皆で楽しめ、それが外にも伝われば」と、社内コミュニケーションの活性化も意識し、今後もさまざまな活動を展開していく考えだ。
商業捕鯨の再開に伴って水揚げの中心になったニタリクジラが、ミンククジラの人気を追い越しつつある。一方で北海道では依然としてミンクの引き合いが根強い。調査捕鯨の頃、生体研究の副産物として、主にミンクやイワシクジラが販売されていた名残でもあるが、捕鯨国内大手の共同船舶(株)はニタリの需要底上げに注力。特に北海道で普及させたいと力を込める。
サンマや秋サケなどの水揚げ不振や魚食離れ。流通現場を取り巻く状況は厳しさを増すばかりだが、「仲卸の見える化」をコンセプトに反転攻勢に挑むのが札幌市中央卸売市場の大手仲卸・一鱗共同水産(株)だ。SNS(会員制交流サイト)を駆使した広報活動や異業種との連携などを切り口に活路を見いだす。
昨年の小売の販売実績は、コロナ禍の影響による外食自粛要請もあり家庭内での消費需要が増えたため、食料品全般で好調に推移した。水産品も実績を残し、前年比で2桁増の伸び率を示した月も。この機会に、今まで小売店の売り場では見かけなかった商品構成を積極的に仕掛け、リピーターをつかんでいる店がこの伸び率の数値をけん引しているようだ。
南かやべ漁協大船地区青年部オーナー会(高谷恵太会長)が取り組むコンブオーナー制。道内漁業オーナー制の先駆けとしてスタートし15年余り。高級銘柄「白口浜真昆布(促成)」が小売価格より安く手に入るため、全国から応募が寄せられ高いリピート率を誇る。ただ、ピーク時に比べオーナー数が減っているのが現状で、高谷会長は「新規獲得に向けた周知・PR不足が課題」と話す。
コロナ禍により、飲食業界は時短営業や営業自粛を余儀なくされて苦難に直面している。一方で、集客を維持するため食材や調理品を通販・テイクアウトにして巣ごもり需要に応え、新たな購買層を獲得している店も出始めている。それを支えているのが冷凍技術。家で解凍しても店で食べるのと変わらない味。コロナ禍後、“冷凍ミールキット”のような形態に注目が集まっている。
北海道のコンブは減産傾向が続き、近年は低水準で推移している。道水産物検査協会の格付実績によると、2020年度は11月末現在の累計で前年同期比9トン増の1万64トン。3月末の最終実績でも過去最低だった前年度並みとなる見通し。管内別で宗谷やオホーツクが増産の一方、道東が苦戦。根室の格付けは過去最低実績だった2011年度を下回る可能性もあるという。
昨年は新型コロナウイルス感染症の拡大で「3密」回避などに代表される生活様式の変化を水産物の普及促進に結び付ける取り組みが脚光を浴びた。北海道内の漁協や行政では、ドライブスルーやネットに着目した販売活動が活況を呈した。
人と地域をつなぎ、北海道の食産業と明日をつくる─。釧路市出身の佐藤大樹さん(31)は1次産業を中心に北海道の魅力を発信するユーチューバー。秋サケ定置やコンブ採り、エビかごにカキ養殖……。漁業現場では精力的に船に乗り操業風景を撮影、自身のチャンネル「ダイキの大冒険」で配信する。家は持たず相棒のキャンピングカーで生活。昨年10月には1年半かけて道内179市町村を巡る旅をスタートさせた。広い大地と海、そこで育まれた食材や人々の思いを伝えていく。