室蘭漁協はイベント出店や加工品の販売を通じ、収益基盤の多角化を目指している。営業企画部が中心となり、地域のイベントで販促活動を展開。オリジナルのグルメ商品を開発し来場客の好評を博すなど、順調な滑り出しを見せた。今後は道の助成金を活用し急速冷凍設備を導入、干物などを売り出す。
羅臼漁協のニシンは7月27日現在、数量が前年同期比18%減の319トンと下回っているものの、雌雄選別出荷したことなどによりキロ平均単価が3.3倍の137円に上昇、金額を2.7倍の4380万円に伸ばしている。
天然コンブが始まるまで刺網に着業していた漁業者は、春の操業でニシンを雌雄選別して出荷。「オスメス込みだとキロ60~50円程度だが、選別してメスは400円に付いた。平均的にメスの漁獲割合が高いので、手間は掛かるが選別した方がいい」と話す。同漁協は「オスの価格も高かった」と示す。
羅臼漁協の天然コンブ漁が7月20日に始まった。総体的に不漁だった昨年を上回る繁茂状況で、増産に期待がかかる。一方、ウニの食害が目立つ漁場も点在し、着業者は良質なコンブを選びながら採取している。
噴火湾の稚貝採取は、渡島・胆振管内とも各地で順調に進んでいる。採苗器の付着量が多いため「若干小ぶり」と話す着業者もいるが、必要量は十分確保できる見通し。現時点では昨年のような高水温とはならず、例年同様の作業スケジュールで進んでいる。
紋別市の株式会社ヤマイチ水産(栗山太社長、電話0158・23・5188)が市内渚滑町7に建設を進めていた新食品工場が竣工した。全自動魚体処理機などを新規に備え、冷凍魚肉すり身の原魚を迅速に1次加工処理する体制を構築。HACCPの基準に沿った衛生管理と併せて高品質・高鮮度のすり身の安定生産を図り、国内はもとより海外にも販売を進めていく。試運転を経て9月から本格稼働する。
岩手県水産技術センター(釜石市)は7月26日、2022年度(9月~2023年2月)の秋サケ回帰が数量11万尾、重量354トンになるとの予測を公表した。県内で本格的な稚魚放流が始まった1984年度以降で最低だった昨年度を割り込み、東日本大震災前(2006~10年度)平均値のわずか1%にとどまる見込み。採卵数不足に対応するための種卵確保も課題となる。
北見市常呂の株式会社しんや(新谷有規社長、電話0152・54・2181)は、ホタテ加工品のボイル時に煮出しされるエキス(煮汁)を使った「帆立醤油」=写真=を商品化した。「帆立屋の旨塩」に続く、煮汁を有効活用した調味料の商品展開。昨年12月から自社売店、ネット通販、DMで販売を始め、道内の小売店などに販路を拡大している。
東京・豊洲市場で殻付きカキが品薄だ。主力の岩手・宮城県産がコロナ禍による行動自粛で生産量を満足に伸ばせなかった状況に加え、新規感染者が少なく飲食店需要が期待できた4~6月に集中出荷したため。主産地は北海道に移り、昆布森(仙鳳趾)、厚岸を中心に入荷している。
荷受は「7月からは北海道産を中心に1日20箱(5キロ入れ)。入荷量が多かった4~6月は東北産主体で400~500箱だった」と説明。「年明けから消流環境が回復傾向だったため、岩手・宮城県は早めに出し切った。またコロナが目立ち始めた頃に生産を始めたため、あまり数量を確保していなかった」と続ける。
釧路市東部漁協青年部(髙嶋啓二部長)は鮮魚販売を通した地域貢献活動に取り組んでいる。高齢化率が高く、スーパーの撤退で食品購入が不便になった地域に出向き、その日水揚げした新鮮な旬魚を販売する「青空マーケット」を毎週土曜日に開催。白樺台、美原の両地区を隔週で回り、地域の生活を支えている。
株式会社リクルート(東京都)の調査・研究、地域振興機関「じゃらんリサーチセンター」ご当地グルメ開発プロデューサーの田中優子さんのオンライン講演会が15日、岩手大釜石キャンパスで開かれた。漁業関係者ら約60人が聴講。先進事例を参考に、今秋の事業化に向け釜石湾で養殖試験が進むサクラマスの売り方を探った。