ホタテ養殖の株式会社隆勝丸(岩手県宮古市、平子昌彦社長、電話0193・65・7910)はまひ性貝毒の影響で、3カ月以上にわたって活貝の出荷ができていない。昨夏の猛暑で大量へい死も経験した。「自然相手の仕事。どうしようもない」。平子社長(宮古漁協理事)は半ば諦めの表情を見せつつ「後世につなぎたい。知恵を絞る」と気合を入れ直す。
三陸産ホタテはへい死が増えている。黒潮続流が北上し海水温が上昇した影響とみられる。2023年度の共販数量は宮城県が前年度比19%減の5372トン、岩手県が同8%減の1530トンにとどまった。まひ性貝毒による出荷の自主規制が長期化している浜もある。
関連産業向けに乾燥機を展開する株式会社オカドラ(神奈川県横浜市、金井正夫社長)は、乾燥、炭化など従来の技術を応用してホタテの貝殻を溶出脱塩する技術を確立した。細かい粉末にした貝殻はセメントの材料として有効活用できる。事業化に向けては産業廃棄物として処理される貝殻の実態把握が不可欠で、漁業者など現場からの情報を切望している。
北海道定置漁業協会(馬場浩一会長)は、今年の秋サケ定置漁解禁を前に、6月26日から7月9日にかけて全道8カ所で現地対話集会を開催。全道の定置業者らに資源状況、消流動向と今年の流通対策事業、ブリのTAC管理の動向、漁業共済と積立ぷらすの事業推進について情報提供し、意見交換した。
南かやべ漁協大船地区でキタムラサキウニ(ノナ)採りが8日に始まった。1人当たり日量25㌔に制限して水揚げ。「身入り状況は良い」と話す着業者も多く、同日はキロ3千円強の高値に付いた。ノナと併せてアワビも採取可能だが「今時期はまだ姿が見えない」と着業者。初日の浜値はキロ4500円だった。
本場折浜の促成マコンブは6月が天候に恵まれ順調に収穫が進行、順次終漁している。生育状況はばらつきがあるものの、昨年に比べて毛(ヒドロゾア)の付着が少なく増産を見込む浜もある。ただ、間引き時期などに付着が散見したコンブノネクイムシによる脱落の影響が残り減産となる着業者もいる。
東しゃこたん漁協のウニ漁は、赤(エゾバフンウニ)、白(キタムラサキウニ)とも減産傾向で推移している。着業者は「特に赤は全然いない」と強調。ハシリからシケ続きで操業回数も伸び悩み。漁獲不振を受け、浜値は6月2日の漁開始から高値を維持している。塩水パック(1個100グラム)の出荷数は6月の単月で赤が前年同期比72%減の823個、白が48%減の2420個。8日現在の浜値は赤が1個2万1千~1万4千円、白が5千~3千円。
株式会社イービス藻類産業研究所(宮城県石巻市、寺井良治社長)が、新たな海洋バイオ産業を創出しようと奮闘している。微細藻類「ナンノクロロプシス」の大規模培養技術を国内で初めて確立。タンパク質やエイコサペンタエン酸(EPA)、葉酸といった種類豊富な栄養素と含有量の多さに着目し、食品や医薬品などへの利用を進める。高成長を促す養殖魚の餌としても通年で供給可能。粉末化することで用途の広がりを目指す。
正式名・ウバガイのホッキは、全国の漁獲量(2023年)4500トンのうち、太平洋を主体に北海道が8~9割を占めている。サイズが大きく肉厚でジューシー、甘味を含んだ軟らかい食感が特長。生食用などの活・生鮮に加え、むき身、ボイル済みなども流通。首都圏での需要も定着している。
北海道産の貝類で最近存在感を放っているのがアサリ。国内生産量は愛知、三重、静岡など主産地が減少し、1983年の約16万トンをピークに5千トン台にまで落ち込んでいる中、北海道は2013年から増産傾向で、21年は過去30年間で最高の1869トン。22年も1728トンと好漁。都道府県別で愛知に次ぐ2位に浮上している。また価格は首都圏などで引き合いが強まって消費地相場は4桁に上昇している。