岩手県水産技術センター(釜石市)は、東日本大震災の津波で国内から消滅したとされていた欧州原産のヨーロッパヒラガキが同県沿岸で生息していることを確認した。以前はマガキにはない独特の渋みが市場で受け入れられなかったが、現在は世界的に味が評価される高級食材。養殖の事業化に向け、既に種苗生産に成功している。海水温の上昇でホタテなどの不漁が続く中、高温耐性のある新たな資源として漁業者の期待も大きい。
今年の秋サケ商戦を展望する一般社団法人北海道水産物荷主協会(根田俊昭会長)主催の全国大手荷受・荷主取引懇談会が6日、札幌市の京王プラザホテル札幌で開かれた。商社や荷受が競合する輸入鮭鱒の生産・搬入動向、相場観などを情報提供。平成以降最低の生産予想下の需要先堅守や消流安定に向け、チリギンとの値差や国産の魅力訴求などが焦点に挙がったほか、マスを主体に海外産も生産状況が低調で価格が上昇局面の中、シーズン入りする秋サケに期待感も示された。
苫小牧漁協の夏ホッキ漁(夏ホッキ部会・工藤政吉部会長)は7月単月の漁獲量が前年比76%増74.614トン、金額2.2倍5323万円(税抜き)。キロ平均単価は23%高713円で高止まりが続いている。
道東沖のマイワシ漁は餌不足に起因する小型化が進行している。加えて漁場の変動が大きく、漁獲量も伸び悩み。加工業者は「量もなく魚も小さい」と、1尾80グラム以上の需要サイズとかい離した50グラム主体の組成に苦慮。期待薄ながら今後のサイズアップを切望している。
水産庁が7月30日に発表した北西太平洋(道東~常磐海域)のサンマ長期漁海況予報によると、今年の漁期(8~12月)を通じた来遊量は漁獲量が過去3番目に少なかった昨年と同等の低水準。また、1歳魚の割合は昨年並み、体重は昨年を下回り、厳しい漁況が続く様相。ただ、日本に近い1区の分布量が昨年より多く、加えて中・大型船が前倒しで出漁予定。商戦の早期本格化と水揚げ増につながる展開が期待される。
青森、岩手、宮城の東北3県はサバの不漁と小型化が続いている。太平洋の不漁要因は資源量の減少ではなく、水温の変化により漁場である沿岸から回遊経路が沖合に移動したためとみられる。
各県のまとめによると、2023年の水揚量は青森4892トン(前年比19%増)、岩手1万5676トン(同28%減)、宮城3万2755トン(同33%減)。青森県は過去5年平均(1万9386トン)の4分の1にとどまった。3県とも、200グラム前後の小型が多い。八戸前沖さばブランド推進協議会は7月25日、定時総会で会の名称を「サバのまち八戸協議会」に変更することを決めた。八戸前沖にサバ水揚げの大半を担う巻網の漁場が形成されず、脂乗りも不十分なため22、23年度と2年連続でブランド認定を見送り、24年度も認定は厳しい見通しにある現状を踏まえた。
「調理が手間」「骨が多くて食べにくい」など消費者の敬遠要因を踏まえ、魚食拡大に貢献する水産食品の創出を目指し、食品加工研究センターを中心に道総研が開発した「一夜干し+レトルト処理」製法の「骨まで食べられる一夜干し」。青魚では既にニシンは余市町の有限会社丸イ伊藤商店(電話0135・22・3616)が製造技術を活用、商品展開しており、道総研ではマイワシ、サバも研究開発。道内水産加工業者への技術普及で実用化を目指している。
首都圏・小売りのマイワシ商戦は近年、訴求に力を入れていた道東産の売り込みが小型化などで苦戦している。東京都や神奈川県中心に展開する量販店では、コロナ禍直前の数年にわたって6月下旬に道東マイワシの販促フェアを展開してきたが、以降の年は期間中に漁がまとまらず、実施を断念している。
サロマ湖3単協(湧別・佐呂間・常呂漁協)で稚貝の仮分散が始まった。外海の採苗は昨年より少なく、湖内の付着も低調のため、ふるいから落ちる下のサイズも丁寧に採取している。着業者は「ぎりぎり間に合う程度」と話し、慎重に作業を進めている。
羅臼漁協の天然コンブは資源状況が悪く減産の見込み。繁茂漁場は限られ、特に下側で悪い。また、7月20日に解禁以降天候や海況にも恵まれず、同月の採取が2回にとどまる厳しい出足となった。8月からは自由操業で水揚げしている。