2023年産三陸ワカメの共販が10日終了した。全漁連東北事業所(仙台市)によると、数量は前年比6%減2万646トンで、過去最低だった21年とほぼ同水準。栄養塩不足による最盛期の生育不良が大きく響いた。減産を受け、平均単価は17%高キロ266円と高騰。金額は9%増54億9258万円だった。
株式会社北三陸ファクトリー(岩手県洋野町、電話0194・75・3548)はオーストラリアで、磯焼け海域で採捕したウニを身入りの良い個体に育て直す「再生養殖」事業に乗り出す。来年にも現地生産を開始する計画で、「北三陸の地から世界の水産業の未来を創っていきたい」と下苧坪之典代表取締役CEO(最高経営責任者)。北海道大などと6年かけて確立した技術を生かし、商品価値の低い痩せウニの活用を藻場の保全・再生に役立てて豊かな海を取り戻す。
えさん漁協椴法華地区のホッケ刺網春漁は水揚げが堅調に推移している。寿孝丸で操業する川口孝秀ほっけ刺網部会長は「まずまずの漁模様。連休明けも切れずに獲れている」と話す。一方浜値は安く、中サイズでキロ100円台に付いている。
北海道のコンブ漁は道南の養殖や道東のさお前を皮切りに始まり徐々に本格化、夏場に最盛期を迎える。生産量を示す道水産物検査協会の格付実績は昨年度、渡島と釧路、根室の主要3地区が過去最低に低迷、道内全体で1万970トンに落ち込み4年連続で最低を更新した。流氷被害や天候不順といった自然環境だけでなく着業者数の減少も減産要因の一つに挙げられ、増産対策と併せ担い手対策も喫緊の課題となっている。
海洋土木が主力の株式会社菅原組(函館市、菅原修社長、電話0138・44・3710)は、創業地の松前町でコンブ養殖事業も手掛けている。新規就業者も募り昨年と今年で3人が加入。同事業を長年支えてきた先輩漁業者の指導の下、新たな担い手として人材育成に努めている。全道的にコンブ着業者数が減少し生産低迷が続く中、地域のコンブ産業を守り次世代へとつなげていく。
コンブ漁場の維持・回復で重要な取り組みの一つが雑海藻の駆除。民間業者による機械式のほか漁業者が自ら行う駆除もあり、道内各地でさまざまな手法で実施、コンブ胞子の岩盤への着生環境を整備している。
昆布やワカメ、海産物を加工する株式会社タイヨー(境秀和社長)は、本社兼工場を千葉県茂原市に移設、5月に本稼働を始める。建屋は全体的にコンパクトにし、管理の行き届きやすいようにした。従業員には働きやすく、また衛生度を高めた施設で安全安心に配慮した製品を供給していく。
オホーツク海沿岸の4月末ホタテ水揚量は、昨年より千トン余り多い2万4600トンとなった。宗谷漁協は4月上旬に漁場造成を終え本操業入り。猿払村、頓別漁協も5月の連休明けから本操業をスタートする。漁場造成の歩留まりは昨年より低く、大半が7~8%と例年並み。値決め価格は昨年より抑えられている。
紋別漁協のホッキ資源に回復の兆しが見えてきた。1隻平均100~150キロと上々の水揚げ。混獲のエゾバカガイは引き続き潤沢だ。鍋島智嘉ほっき部会長は「数量が安定してきた」と話し、昨年までの不安定な漁模様から好転への手応えを感じている。一方浜値はホッキが昨年並み、エゾバカガイは強含み。
枝幸漁協のホタテけた引自営船「第十八えさし丸」が竣工した。村上鉄工所のえさし丸建造は2018年以降4隻目。おもてブリッジ構造の採用で中央部の甲板スペースを拡大。サイドスラスターは船首尾に搭載し安全と機能性に配慮した最新鋭の新造船が誕生した。近く漁場造成に入る予定で、本操業から本格的な水揚げを開始する。