ホタテの新物商戦を展望する一般社団法人北海道水産物荷主協会(根田俊昭会長)主催の第29回全国ホタテ大手荷受・荷主取引懇談会が23日、京王プラザホテル札幌で4年ぶりに開催された。昨年並みの供給量が見込まれる冷凍ボイルは玉冷やベビーの製品高を背景に順調な消化が期待される一方、玉冷は米国の景気後退に加え福島第一原発処理水放出後の輸出環境に不安感が強く、内販強化を見据えた価格修正を望む意見が示された。
刺身、すし種をはじめ和洋中さまざまな料理に使われ、人気素材のエビ。世界各地で養殖も盛んに行われ、市場は緩やかな成長が見込まれている。天然の北海道産は2016年以降減産傾向を示し、資源回復が懸案の様相だが、量販店や飲食店などの集客商材として需要は健在。各浜では資源保護、鮮度・衛生管理などに注力している。
23日に開催した全国ホタテ取引懇談会では、道漁連販売第一部の川崎喜久部長が「ほたての生産動向等について」、マルハニチロ株式会社水産商事ユニット水産第二部の長谷正幸副部長が「海外市場の現状とALPS処理水の放出を控えた23年相場見通しについて」と題し講演した。川崎部長は玉冷需要が2021、22年と2年連続で輸出が内販を上回り、3月期末在庫は4500トンと示唆。今年も40万トン計画となり「各立場で課題を克服し良いシーズンとなるよう取り組みたい」と述べた。
えさん漁協尻岸内地区で25日、養殖ミツイシの収穫が始まった。今後最盛期に向けて徐々に実入りが向上していく。佐藤光行昆布養殖部会長は「初日に揚げた分の実入りは悪くなかった。まだハシリ。さらに生育が進むよう、天気に恵まれることを期待したい」と話す。
ひやま漁協上ノ国地区のホッケ刺網は、順調な漁模様で推移している。日量400~500キロを水揚げ。着業する市山智敏さんは5月10日に開始し、「ハシリからまずまず」と話す。石崎漁港を拠点に操業。11月末まで漁を行う。市山さんは「本来なら5月はそれほど多くホッケが掛からない」と説明。「水温は13度と低いが、来遊が例年に比べ早い」と続ける。
宮城県産乾のり「みちのく寒流のり」の2022年度共販実績がまとまった。数量は前季比29%増の3億3826万枚で、1枚当たりの平均単価は同62%高の16円23銭。国内最大産地の九州・有明海の記録的な不作に伴う高単価を受け、金額は同2.1倍の54億9143万円に達した。一方、のりメーカーは値上げを余儀なくされ、消費者離れが進む懸念もある。
宮城県女川町飯子浜でホタテ養殖を営む長瀬辰哉さんは浜の温かさを励みに生産意欲を高めている。東日本大震災の津波で家族や家を失ったが、周囲に支えられ再起。「今度は自分が誰かの力になりたい」と奮起する。宮城大に漁場環境の調査や貝柱の成分分析を依頼。より大きく、より甘みの強いホタテを作り、浜独自のブランド構築に生かす考えだ。
東京都・豊洲市場の北海道産活じめヒラメ消流は卸値がキロ千円以下と値ごろ感が強い。仲卸業者は「安く入荷でき、拡販しやすい。量販、飲食など引き合いは十分ある」と商機を強調。組成は2キロ前後が主体。サイズが近い千葉県産も入荷がまとまっているため、両者を比較しながら商材を決めている。
水産研究・教育機構水産大学校の研究グループは、給気加熱装置と真空断熱装置を備えた微粒子捕集フィルターを搭載したディーゼルエンジンを開発し、電気自動車(EV)と比較しても地球温暖化ガスの削減に貢献可能なシステムを確立した。実用化されればブラックカーボンの規制対応に貢献が期待される。
白糠漁協のタコ縄が18日に終漁した。今季は漁期序盤の12月にシケが重なり一度も出漁できなかったことなどが影響し、累計数量は前年比で1割強減少。一方キロ平均単価は1割高と高値が付き、金額を微減にとどめた。