東京都・豊洲市場の北海道産ボタンエビ消流は浜値の上昇圧から卸値が高値のまま商戦終盤を迎えた。仲卸業者は「近年は高過ぎて需要の先細りを感じる」と肩を落とす。荷受は「全体的な不漁で浜値が高いことが背景。さらに産地荷主は消費市場の相場動向を見ながら出荷を調整し、価格を維持している」と話す。
富山県以西の日本海で6日、ズワイガニ漁が解禁された。石川県では、メス「香箱ガニ」の最高級ブランドとして県漁協が今年新設した「輝姫(かがやきひめ)」の初競りで、橋立漁港(加賀市)の1尾が30万円の最高値を付けた。昨年の初競りで最高値が500万円だったオス「加能ガニ」の最高級ブランド「輝(かがやき)」には同漁港の1尾が認定され、100万円で落札された。
ギンザケ養殖に取り組む岩手県の久慈市漁協(川戸道達三組合長)は海面いけすへの稚魚投入を完了し、今季の生産を本格的にスタートさせた。大手回転ずしチェーンのメニューに使われ、「久慈育ち琥珀サーモン」のブランド名が全国に浸透する中、市内サケふ化場の未稼働期間を活用した稚魚中間育成実証事業にも注目が集まる。今季は来年8月ごろまでに600トン以上の水揚げを計画している。
むかわ町が建設を進めてきたシシャモふ化場が10月末に完成した。1級河川である鵡川の河口近くに位置。施設内には自然の産卵河床を再現した養魚池を整備、採卵数も旧施設の約3倍となる約1億4千万粒と拡大しており、シシャモ資源の安定・増大に期待が寄せられている。
釧路管内のシシャモ漁は、低水準ながら不漁の昨年を上回る出足となった。先行して始まった白糠漁協は過去最低の昨年比で2割増となる序盤の漁況。釧路3単協(釧路市、釧路市東部、昆布森)も昨年を超える日量でスタートし、今後の漁本格化に期待がかかる。良型主体の組成で、浜値はキロ4千円台に付くなど昨年同様に高値で推移している。
大幅回復を見せた北海道の秋サケ定置は10月末で7万5千トンを超え、終盤に入った。オホーツクで先行して出足から順調だった西部は陸網の網揚げや切り上げの漁場も出ているが、終漁まで最近はあまり見えなくなったメジカ系の乗網が注目点。今年は魚価高に恵まれ、昨年は切れた10月も漁が続き、歴史に残る漁況の年となっている。
オホーツク海沿岸の水揚量(速報)が10月末で30万トンを突破した。漁場造成を含め前年同期比3%減の30万950トン。北部の宗谷、猿払村、頓別、枝幸、南部の雄武、沙留、紋別、常呂の計8単協が計画超え。歩留まりは10%前後と下降し、組成は4S、5Sが増加傾向、キロ200円を割り込む浜が増えた。6単協が3万トン以上となり終盤戦を迎えている。
イカのまち・函館で漁獲が増えているマイワシを有効活用した新たな産業基盤の確立を目指すプロジェクトが進んでいる。レストラン、水産加工・販売業者、漁業者らが連携。先導役に「アンチョビ」を選定し、商品の販売拡大と併せて自家製の普及などで地域の食文化を形成。イカ同様に全国に認知される土台を築いていく。
日高中央漁協のコンブ採りは10月下旬までに全地区が終漁した。全8地区延べ操業日数は低調だった昨年(56日)を大幅に上回る161日を確保し増産となる一方、実薄を指摘する声も多かった。来年採取対象となる水コンブの繁茂も見られ、着業者は今後の順調な生育を願う。
いぶり噴火湾漁協の秋サケ定置は、大きく減産した昨年より増加しているものの、盛漁期に上向かず苦戦を強いられている。10月末の漁獲量は180トンで前年同期比44%増となるが、同漁協では「平年の半減に近い」と説明。着業者は「ハシリから薄いまま終盤に入った」と肩を落とす。薄漁のため浜値は堅調で、メスがキロ千円台前半を付けている。