リサイクル事業などを推進している株式会社鈴木商会(札幌市)が道内でナイロン製廃棄漁網の再生事業を本格展開する。衣類などプラスチック製品の原料になるペレットを生産。廃棄漁網で再生ナイロン樹脂をつくる技術を確立しているリファインバース株式会社(東京・中央区)と提携、漁網リサイクル拠点となる「苫小牧プラ・ファクトリー」を苫小牧市晴海の臨海地域に開設した。
株式会社帝国データバンク釧路支店が集計した2021年の北海道内水産加工業売上高ランキングによると、釧路市の株式会社マルサ笹谷商店が2年連続で首位の座に着いた。上位100社の売上高合計はホタテの好漁やコロナ禍の巣ごもり需要などで取扱量を伸ばした企業が多く、微増ながら3年ぶりに前年比増となった。道内に本社を置く水産食料品製造企業の21年1~12月期決算を集計。上位100社の売上高合計は4326億2200万円で、前年比3.7%(153億2300万円)増加した。
東京・豊洲市場で散発的だったトキサケの入荷量が7日ごろから増えてきた。高騰していた卸値も落ち着き、これまで取引を控えていた飲食店からの注文が活発化。一方で荷受は「現在の相場は当分維持される。切り身原料として北海道の加工筋の手当てが強く、相場が弱い豊洲は集荷に苦戦している」と明かす。
2021年度の宮城県産乾のりは記録的な減産となった。県漁協によると、共販実績は数量が前年度比30%減の2億6240万枚。シーズンを通して天候不順が続いたことが大きく響いた。金額は同24%減の26億3303万円で、1枚当たりの平均単価は同8%高の10円03銭と、2季ぶりに10円台を回復した。
「賠償なんていらない。とにかく流さないでほしい」―。宮城県漁協の組合員を対象に開かれた、東京電力福島第一原発の処理水を海へ放出する政府方針を巡る説明会。原発事故後、信頼回復のため懸命に努力を重ねてきた漁業者は方針の撤回を強く訴えた。放出となれば「沿岸漁業への影響は計り知れない」などと憤りの声も上がった。国や東電の担当者が安全性や風評対策を説明したが、放出を容認する意見は全く出なかった。
ウトロ漁協所属・有限会社睦漁業部(代表・深山和彦ウトロ漁協組合長)の定置船「第十八睦丸」(19トン、アルミ)がこのほど竣工した。船体・エンジンの大型化をはじめ、ポンプ・サイドスラスターなど各種スイッチやボンブの位置、ドラムの高さなど特に作業性を重視した設計・装備を施した。建マス(カラフトマス)の水揚げから本格的に操業を開始する。
斜里第一漁協の有限会社北洋共同漁業部(伊藤正吉代表)は、定置網漁で水揚げしたサケ・マス、カレイ類など漁獲物の価値向上に挑戦を重ねている。「1円でも高く」の意識を共有し、12人が一丸で実践。従来の活じめに加え、今年から春定置のサクラマスを皮切りに胃洗浄の鮮度保持技術を導入した。併せて加工場を構え、液体急速凍結などを基盤に個人客を中心に斜里産の拡販に乗り出す。
オホーツク海南部8単協(雄武・沙留・紋別・湧別・佐呂間・常呂・網走・西網走漁協)の本操業は、5月中旬に始まった網走を皮切りに6月から順次開始した。常呂が日産260~270トン、雄武、湧別は190トン、沙留は150トン前後の水揚げ。歩留まりは11%程度と上昇傾向にあり、アソートにも期待がかかる。浜値は漁場造成からキロ200円前後と堅調。今年も好漁に向け順調なスタートを切った。
函館市漁協根崎地区の養殖ガゴメは今季の収穫を終えた。序盤は例年に比べ生育状況が遅かったものの、施設によっては徐々に改善。一方で減産を見込む着業者もいる。
5月下旬に収穫を開始した岩田和晴養殖部会長は「ハシリは成長が遅かったが、その後昨年並みの実入り、長さにまで成長した」と説明する。「不純物が付くためガゴメの収穫は1カ月間が勝負だが、今年は序盤の生育遅れの影響で水揚げペースは若干遅れ気味だった」と話す。
岩内郡漁協の太田誠組合長ら有志で取り組むカキの試験養殖が5月30日を皮切りに初水揚げを迎えている。成育状況は良好で太田組合長は「身入りや大きさも十分」と手応えをつかむ。荷揚げ後は岩内沖の海洋深層水で5日間蓄養しており、「味がマイルドになる」と実感する。出荷個数は1万個以上を予定。水揚げは週2回の頻度で6月末まで続く見通し。